昭和にタイムスリップ
柏の歴史、今昔写真展
――昭和30~40年代に首都圏屈指のベッドタウン・商業都市に急成長した柏市の「昔」と「今」を写真で紹介し、発展の歴史を今に紡ぐ「柏ALWAYS『私とまちの物語』プロジェクトチーム」(小形秀子代表)による今年度の活動が4月4日から始まった。
■写真上:カフェ店内の壁面ボードに展示された写真
第1弾は「柏の今昔写真展 in大津ヶ丘 クルトコ」。柏市大津ヶ丘の大津ヶ丘中央商店街にあるふれあいカフェ「クルトコ」で、地元の大津ヶ丘団地や周辺の変遷を展示した。
「クルトコ」は「来る処」で、NPO法人がボランティアの住民とともに開設する食事しながら交流したり、子ども食堂を開店したりの施設だ。
壁面利用の展示ボードで木造駅舎からデッキが設けられて近代的になったJR柏駅東口、建設途中の大津ヶ丘団地、「クルトコ」がある商店街の移り変わり、大型商業施設の造成工事から完成後の混雑……。まさに地元の「変わりゆく様」を14枚の写真で描いた。
■写真:写真展の開催チラシ
「柏ALWAYS」のメンバーは「昭和」生まれの70~80代の5人。2008(平成20)年に公共施設「アミュゼ柏」や高柳、田中両近隣センターで開かれた柏市生涯学習講座で「昭和」を学んだ仲間たちだ。
■写真上:「柏ALWAYS」のスタッフ。左から小形一夫さん、小形秀子代表、栗原和子さん、栗原忠さん、田中光子さん
柏は1954(昭和29)年に柏、田中、土、富勢の旧町村合併で市制施行後、57(同32)年のニュータウン「光が丘団地」の入居を機に人口が激増。60(同35)年に6万3千余人だったのが、年に1万を超えるペースで増え続けた。旧沼南町の編入もあって現在は約43万2千人を超える。
柏の発展が自分たちの育った「昭和」の高度経済成長期と重なることもあって、その歴史を写真で刻もうと、3施設の受講者有志で2009(平成21)年3月にグループを立ち上げた。当初は11人いたが高齢化などで今の人数に減ったという。
■写真上:昭和の風景が上、今の同じ場所の写真が下に配されている
メンバーがスタッフになって柏市を中央、北、南、旧沼南の4地区に分け、市の所有やスタッフ、スタッフの知人らが持っている古い写真を集めてデータ化。同じ場所の写真をスタッフが手分けして撮影する。
グループ結成以来、多い時で年16回、市内ほぼ全域の公共施設などでの写真展に加え「出前授業」として小学校などに赴き、写真やDVDなどを使った柏の歴史セミナーのような活動もする。
草創期からのメンバー、田中光子さんは「写真展に親子で来て、写真を観た親が子どもに昔のことを懐かしそうに話している姿に接することがあります。うれしいし、やりがいを感じます」という。
■写真上:1962(昭和37)年頃のJR柏駅東口。当時は木道駅舎で西口はなかった(左)、今の柏駅東口はデッキが造られ、人通りが絶えない(右)
栗原忠さんも草創期のメンバーで、写真をパソコンでスキャンして引き伸ばしたり、DVDやチラシを制作したりのディスプレー担当。元は電機設備の仕事をしていたが、写真やパソコン作業はメンバーになってから。「だんだん面白くなってきたので続けているが、奥が深い作業なのに忘れっぽくなってきてねぇ-」
■写真上:1966(昭和41)年に計画され、建設中の大津ヶ丘団地(左)は78(昭和53)年に完成した(右)
写真展は開催地にちなんだ写真を中心に展示する。訪れた市民が趣旨を知って、古い写真を提供してくれることもしばしばで、グループ活動の支えになっている。
小形代表は「写真展を通して人と人のコミュニケーションが取れればいいですね。特に子どもたちには郷土の歴史を知るきっかけになれば。まずは健康に気を付けて活動を続けることが目標です」という。
■写真上:造成中の大型商業施設「セブンパーク アリオ柏」(左)と2016(平成28)年に完成した施設(右)
(文・写真 佐々木和彦)