取材「人と街の記憶」

6月

     6月

大野隆司 即興画展

開 催 2026年6月10日(水)~同30日(火)
時 間 11時~16時
場 所 喫茶店「Café LA BIENVENUE」(カフェ ラ ビアンヴニュ)
柏市光ヶ丘団地4-200-1
(グリーンタウン光ヶ丘ショッピングセンター内)
☎04-7173-1771
定休日 日曜日、木曜日
主 催 「Café LA BIENVENUE」
入 場 1品オーダーが必要



第30回風の会絵画展

開 催 2026年6月11日(木)~同14日(日)
時 間 10時~18時
(初日は13時から、最終日は17時まで)
場 所 柏市文化・交流複合施設「パレット柏・市民ギャラリー」
柏市柏1-7-1-301号
(Day Oneタワー3階)
主 催 風の会
入 場 無料



さとうふみお作品展

開 催 2026年5月31日(土)~6月6日(土)
場 所:東京交通会館シルバーサロンA(地下1階)
東京都千代田区有楽町2-20-1
JR有楽町駅京橋口、地下鉄有楽町線有楽町駅直結
時 間:11時~17時 (初日13時から、最終日16時まで)
主 催:佐藤文夫
入 場:無料



第25回記念
我孫子アートな散歩市

開 催 2026年5月9日(土)~同6月7日(日)
場 所 我孫子市生涯学習センター「アビスタ」、我孫子市手賀沼公園、志賀直哉邸跡ほか
主 催 我孫子手づくり散歩市
協 力 我孫子市教育委員会
後 援 我孫子市
会場提供 アビイクオーレ、千葉銀行我孫子支店、カスミフードセンター我孫子寿店
入 場 無料

今度は「独眼竜」?
「大野ネコ画」のゲリラ展

――駄洒落メッセージ付きの愛らしいネコ画がトレードマークの木版画家大野隆司さんの作品展が、柏市光ヶ丘団地にある喫茶店で開かれている。ライブハウス、児童書籍店、居酒屋、カフェなどで続く「ゲリラ展」だ。

 

 

写真上:店頭で案内する大野隆司さん(左)と直筆のメッセージ

 

 

 

「大野隆司 即興画展」とのタイトルで、左目に黒い眼帯をしたネコ画が10点、店内に展示されている。眼帯姿のネコ画は初めてだ。

 

 

この半年、大野さんの自宅に左目が白濁していて見えていないような野良ネコが毎日えさを食べに来るようになった。

 

 

「その姿が自分の潜在意識にあったのかもしれない」と大野さん。

 

 

白の背景に水色で縁取られた眼帯姿のネコが片手をあげたり、しゃがんだりのポーズをとる。開いた右目は垂れ目や切れ長、円らと様々で微笑んでいるようでもあり、怒っているようでもあり、考え込んでいるようでもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

写真右:「You Tube」でシミズメガネが提供する3コマ漫画「大野隆司わーるど」のQRコード付きカードもさりげなく置かれた

 

 

 

作品展に寄せた大野さんのメッセージに「目は、かため。でも、こころは、やわらかめ」とあった。その通りにいろんなネコの表情が観る者の癒しになるような気がした。

 

 

会場の喫茶店「Café LA BIENVENUE」(カフェ ラ ビアンヴニュ)は手作り菓子とこだわりのイタリアンコーヒーが自慢だ。

 

 

店主の栃平幸子さんは「大野さんの人柄が作品に表れていますよね。皆さん、絵に励まされ、癒されているようです」と話していた。

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

個性派ぞろいが並ぶ
第30回風の会絵画展

――絵画グループ「風の会」(松谷登代表、会員12人)の第30回絵画展が6月11日から柏市のパレット柏・市民ギャラリーで開かれた。

 

 

写真左:初日から入場者が絶えなかった会場
写真右:絵画展の案内はがき

 

 

 

休会中を除く会員10人が1人3~7点を出品した。風景などの具象画やイラストのような抽象画など、100号の大作から小品まで40点が展示された。今回は「空」の共通テーマが設けられ、全員が挑戦した。

 

 

写真上:松谷登代表(中央)ら「風の会」のメンバー

 

 

 

会場に入ってすぐの左側に佐藤香里さんの赤が基調の「女Ⅰ」、白の「女Ⅱ」という100号2点が飾られた。

 

 

「どちらの絵にも象形文字で『女』を描いてる。いつもは赤を使うけど、夏で暑苦しいから白でも描いてみた」。共通テーマの「空」は夕焼けなど赤が際立つ2点を出した。

 

【展示作品の一部、右がテーマ「空」】

 

 

写真:「女Ⅱ」  「空」/佐藤 香里

 

 

 

写真:「交錯」  「春の空に」/稲田 マリ

 

 

 

写真:「キラメキ」  「空(天の川)/江田 澄子


 

 

写真:「夢追人」  「空に架ける」/深澤由美子

 

 

 

写真:「再生するⅢ」  「空」/丹羽千賀子

 

 

 

写真:「佐原の渡し船」  「空を見ながら」/和倉 儀一

 

 

 

「子どもの頃から妄想癖があった」という、きつないえりこさんは、新しいナイーブアート(童画)を目指す「現代童画会」の会員。海の底で歌う人魚と魔法使いを描いた。

 

 

「話を考えるのが好き。デッサンするのではなく想像したものを描いている」という。油彩と水彩と両方の性質がある画材・アキーラを使い、砂を混ぜるミクストメディアだ。「天翔る(あまがける)」の「空」は龍や人魚が泳いでいた。

 

 

娘さんがフラメンコを習っている深澤由美子さんは「夢追人」と名づけ、女性二人が躍る様子を100号に描いた。「元々は裸婦をよく描いている。娘からもらったフラメンコの写真を観てイメージし、裸婦を想い重ねた」という。

 

 

松谷代表はスペインの街並みや農村、スペインに似た雰囲気があるという福島・南会津の風景に加え、パリ郊外のシャンティイ城を護るスフィンクスの心象画などを出品した。

 


 

写真:「花と蝶」  「空」/萩原 良一


 

 

写真:「スフィンクス」(sphinx)  「”空”」/松谷  登

 

 

 

写真:「はじまりの歌」  「天翔ける」/きつない えりこ

 

 

 

写真:「見えない時間」  「散歩コース」/内田 正子

 

 

 

「定期的に集まるわけではなく、日頃は各々が独自に活動し、年一回の絵画展に作品を持ち持ち寄る」(松谷会長)が会の趣旨だ。

 

 

「風の会」は2015(平成27)年11月、第30回展で幕を閉じた公募展「柏市美術展」の入賞者らで結成された。

 

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

再び絵筆を執って11年
銚子の海、故郷の廃鉱描く

――定年退職後、好きだった絵を再開し、2025(令和7)年の第118回総合美術公募展「日展」で入選した野田市の画家さとうふみお(本名・佐藤文夫)さん(75)の作品展が6月6日まで東京・有楽町の東京交通会館シルバーサロンAで開かれた。

 

 

写真上:100号から小品の33点が展示された会場

 

 

 

日展入選作の「或る海岸」(100号)を始め、油彩、水彩、パステル、素描の33点が出品された。

 

 

写真左:作品を紹介するさとうふみおさん
写真右:第118回日展(2025年)入選作品「或る海岸」(油彩)

 

 

 

「或る海岸」は銚子の海がモチーフ。静かに打ち寄せる白い波、積み重なった灰色の消波ブロックという「動」と「静」を狙った。

 

 

青系、赤系と色合いの違う二つの「遺された風景」は、生まれ故郷の秋田県鹿角市にあった尾去沢鉱山跡。国内最大規模の銅鉱脈といわれ、1978(昭和53)年に閉山した。季節が違う帰省時に訪れて描いた作品だ。

 

 

写真左:「遺された風景(赤)」(油彩)
写真右:「遺された風景(青)」(油彩)

 

 

 

銚子の海辺を始め、故郷や野田周辺の風景が多い。同じ場所を素描、水彩、油彩、パステルと画材を代えて描いた作品も少なくない。控え目な配色、そしてソフトな仕上げは、さとう流なのかもしれない。

 

 

「きれいな所でなくても、大した景色でなくてもいい。その場所をいかに丁寧に観て描くセンスと根気が、創作につながると思う」

 

 

写真左:「仰ぎ見る」(油彩)
写真中:「山門 白川郷にて」(水彩)
写真右:「森へつづく」(水彩)

 

 

 

写真左:「橋の見える水路」(パステル)
写真中:「雪の峰」(パステル)
写真右:「一本の木」(油彩)

 

 

小学校の頃から絵や漫画を描くのが好きだった。クラスメートからノートを渡され、漫画をねだられることもしばしばだった。旧花輪高校(現鹿角高校)を卒業後、美術系大学への進学を目指して上京したが、断念。都内の金融機関に就職した。

 

 

仕事は忙しく、60歳で定年退職するまで1枚の絵も描かなかった。鹿角の両親を引き取って介護の生活を続けた。二人の入所先も決まり、自分の時間ができ始めた頃の「絵でもまた始めたら」という妻の一言が、背中を押した。

 

 

写真左:「社の夏草」(油彩)
写真中:「庭先の春」(油彩)
写真右:「沼の影」(水彩)

 

 

 

写真左:「広い風景」(素描)
写真右:「広い風景」(油絵)

 

 

 

写真左:「やわらかな光」(パステル)
写真右:「暗い海」(油彩)

 

 

 

2014(平成26)年、誰に習うでもなく、独学で油絵を始めた。その年のMBCサムホール展に出品して奨励賞、翌年には近代日本美術協会展新人賞を受けた。以後、現代パステル協会展、公募美術団体・一水会、千葉県展などで次々と受賞している。

 

 

柏市や茨城県取手市のカルチャーセンターで水彩やパステル画を教えている。自身も水彩、パステルを使うが「基本は油絵」だという。

 

 

紙に描く水彩、パステルには限界があるが、油絵は削る、かぶせ塗りも出来る。何回でも、満足いくまで描くことができるからだという。

 

 

 

写真左:「廃鉱其の後」(パステル)
写真右:「菅生の夏」(素描)

 

 

 

写真左:「年開ける」(水彩)
写真右:「冬の岳」(水彩)

 

 

 

写真左:「西日」(パステル)

 

 

「64歳から描き始めた。世の中、早出の絵描きもいるが、私のように遅れて出てきた者もいていいのでは。90歳まで描いても画歴は25年。短い絵の道でも誰にもまねのできない道を描きたい」

 

 

銚子の海や故郷の鉱山跡をライフワークとして描き続けるつもりだ。

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

アリスの国と神獣が「協演」
我孫子の「散歩市」にお目見え

――「不思議な国のアリス」のお茶会、大きな半獣半人が我孫子の旧家や大型スーパーに現れた。我孫子市の公園や街角、スーパーなどで6月7日まで開かれた「我孫子アートな散歩市」の作品だ。


 

写真上:「不思議な国のアリス」のお茶会登場者のアリス(左)、「いかれ帽子屋」(右)を説明するやちぐちひろゆきさん/旧村川別荘母屋

 

 


展示する空間全体をアートとするインスタレーション、「薬師十二神将」ならぬ干支の「十二神獣」という独創的な作風のやちぐちひろゆき(本名・谷内口博幸)さん=松戸市在住=の作品。

 

 

「散歩市」に初めての出品にあたって、やちぐちさんは、会場の旧家・旧村川別荘母屋を下見した。竹林に囲まれ、爽やかな風が吹き抜ける縁側の和室でお茶を飲んだらうまいだろう、と想像した。

 

 

そこで想い浮かんだのは児童小説「不思議の国のアリス」で描かれた終わらないお茶会の場面。登場するアリス、いかれ帽子屋などを制作して展示した。

 

 

隣の和室にはお茶から上がる湯気、茶会の客人が亭主にしたであろう土産話をイメージ、抽象化した大小複数の造形物を配した。両和室へ通じる玄関で「十二神獣」のうさぎ、ねずみが出迎える。

 

 

写真上:お茶の湯気、客人の土産話をイメージした作品/旧村川別荘母屋

 

 

写真上:和室の隅でさりげなく展示された作品/旧村川別荘母屋

 

 

 

大正末期から昭和初期にかけての純和室と、そこに陣取るカップを手にしたアリス、天井にも届こうかという神獣のミスマッチがファンタジーを醸し出した。

 

 

写真上:左から干支の神獣「子」(ね)と「卯」(う)/旧村川別荘母屋

 

 

 

「散歩市」の会場はJR我孫子駅南口からの公共施設やスーパー、公園などに広がる。我孫子インフォメーションセンター「アビシルベ」やアビイクオーレ(イトーヨーカドー我孫子南口店)、手賀沼湖畔の水の館などにやちぐちさんの神獣が展示された。

 

 

やちぐちさんは、北海道函館市出身。小学生の頃、風景画で金賞を取り、中学、高校の美術の時間が好きだった。一時上京して美術系大学を目指した時期もあったが、家業の自動車整備工場で働いた。

 

 

美術とは縁遠くなったものの、毎年の年賀状に描く干支の絵が「アートこころ」をつなぎとめた。30歳の頃、再上京してガス設備の仕事をしながら、造形インスタレーションの知人に頼まれ、個展を手伝うようになった。

 

 

写真左:左から神獣「巳」(み)、「申」(さる)、「辰」(たつ)/カスミフードスクエア我孫子寿店2階
写真右:左から神獣「丑」(うし)、「午」(うま)/アビシルベ

 

 

 

ある春の夜、「我ら干支に形を与えよ」という夢を見たという。夢に出てきた獣の姿を追い求め、駆り立てられるように制作を始めた。

 

 

材料は柔らかく、しなやかでクッション材や断熱材の建材などに使われる発泡ポリエチレン。美術系の材料は使わない。後から着色もしない。建材そのものの色を使う。

 

 

写真左:4㍍ある神獣「亥」(い)/水の館
写真右:「亥」が背負う我孫子市の鳥・オオバン

 

 

写真上:2体並んだ神獣「寅」(とら)(左)と「戌」(いぬ)/アビイクオーレ2階

 

 

 

設計図はない。獣の姿を想い描き、生きもののように「暴れる」(自由にならない)建材を抑えつけながら足から組み上げるという。

 

 

「手の内から奇妙な獣がどんどん姿を現し、まるで神のように世界を見渡す。観ての通り破天荒なありさま。観た人は『えー、これはなに?』って驚くが、未来、次世代ではわかる人が出てくるかもしれない」

 

 

「散歩市」の事務局を務める陶芸家関谷俊江さんは、毎回、新しい作家、新しい作品を集めるようにしている。見学者を案内して旧村川別荘母屋にやってきた関谷さんは「今までになかった作風、作品ですよね」と話した。

 

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)