取材「人と街の記憶」

5月

     5月

「柏に美術館を創りましょう」講演会 アートと美術館はほんとうに必要か

開 催 2026年5月24日(日)
時 間 12時30分開場
    13時30分開演
場 所 柏市教育福祉会館
    「ラコルタ柏」講堂
    柏市柏5-8-12
主 催 柏の文化を育てる会
  (E-mail:daitou@daitoin.net)
後 援 柏市教育委員会、柏市観光協会、柏商工会議所
協 賛 (公財)摘水軒記念文化振興財団、シミズメガネ、柏ロータリークラブ、ライオンズクラブ、柏南ロータリークラブ、柏ライオンズクラブ、朝日れすか、たけしま出版、大洞院
入 場 無料




野草フォトクラブ19
第15回写真展

開 催 2026年5月22日(金)~同26日(火)
時 間 9時30分~16時30分(初日は13時から、最終日は16時まで)
場 所 柏の葉公園センター・緑のギャラリー
    (柏市の県立柏の葉公園内)
主 催 野草フォトクラブ19
後 援 柏市教育委員会、流山市教育委員会
入 場 無料



とり・鉄写真愛好会写真展

開 催 2026年5月12日(火)~同17日(日)
時 間 9時~17時(最終日は16時まで)
場 所 柏の葉公園センター・緑のギャラリー
    (柏市の県立柏の葉公園内)
主 催 とり・鉄写真愛好会
入 場 無料



久保文音 日本画展
~Happy~

開 催 2026年5月6日(水・祝)~同12日(火)
時 間 10時~18時30分
場 所 松坂屋上野店7階アートスペースⅠ
    東京都台東区上野3-29-5
    ☎050-1782-1000
主 催 松坂屋上野店
入 場 無料

各世代、階層の支持を
講演会「美術館、本当に必要?」

――公立美術館建設を目指す「柏の文化を育てる会」(三坂俊明代表)の第3回講演会が5月24日、柏市教育福祉会館「ラコルタ柏」であった。今回は「アートと美術館はほんとうに必要か」とのタイトル。千葉県立美術館(千葉市中央区)の貝塚健(かいづか・つよし)館長が講演した。

 

 

写真上:「アートと美術館はほんとうに必要か」のテーマで講演する千葉県立美術館の貝塚健館長

 

 

 

冒頭、貝塚氏は個人の立場で参加して話したい、と前置き。そして「アートと美術館は、人間社会に絶対に必要である、が私の結論。ただし、柏市に市立美術館が必要かどうかは、よくわからない。きょうは皆さんに道しるべを示すものではなく、皆さんが自ら道しるべをつくることを励ますだけのもの」と切り出した。

 

 

アートの起源として1万3千年~2万年前のアルタミラ洞窟(スペイン)、ラスコー洞窟(フランス)の壁画、世界最古の絵画とも評されるブロンボス洞窟(南アフリカ)で見つかった7万3千年前の模様付き石を取り上げた。

 

 

南アフリカの洞窟で発見され、人間の顔のように見える300万年前の「マカパンスガットの小石」の写真を投影して考察。アートに必要なものは「想像力」「共感力」「期待力」と指摘した。

 

 

「マカパンスガットの小石」は人類の祖先(アウストラロピテクス)が見つけて持ち帰ったとされる。貝塚氏は「小石を観て人間の顔だと思い、大事にしたい心が芽生えるのがアートではないか」と分析した。

 

 

写真左:常磐線沿線住民の誘客に力を入れるという貝塚館長
写真右:第3回講演会のチラシ

 

 

 

美術館に欠かせないものは理念、作品などの蓄積、施設、活動、職員、利用者、運営資金。特に理念はいろんな人の意見を聴いて、市民が納得できるものにすべきだ、という。

 

 

「美術館を造ると決まってから理念づくりに最低3年はかかると思う。文句を言う人も出てくるが、拒絶しないで巻き込んでいくことが大切だ」

 

 

聴衆との質疑応答の中で、貝塚氏はあらゆる世代、階層に支持される美術館を目指すため、各世代、階層をターゲットにした展示内容を選ぶことでトータルに支持される、との考えを示した。

 

 

文化庁が今年2月、国立博物館・美術館の展示事業費に関し、入場料やグッズ販売などで自己収入比率を高める数値目標を示した。税金依存度を減らし、自力運営を高める方向性を打ち出した。

 

 

国の意向は、地方の公立美術館にも波及、影響しそうだ。そんな背景から貝塚氏は「アートと美術館は必要だ」としながらも「柏市に市立美術館が必要かどうか」と一歩、引いた言い回しになったような気がした。

 

 

柏市単独でなく、隣接市との連携、東葛地域レベルの広域施設とする構想も示唆したのではないか。人口減、それに伴う財政難が懸念されるため、確かに行政連携による持続可能な施設運営も考えるべきだ、と思う。

 

 

写真左:美術館実現を訴える「柏の文化を育てる会」の寺前好人幹事
写真中:来賓として招かれ、あいさつする田牧徹・柏市教育長

写真右:講師の貝塚館長を紹介する第1回講演会講師の佐々木秀彦さん

 

 

 

講演に先立ち、来賓として招かれた田牧徹・柏市教育長は「柏には優れた美術品や遺跡から出土した土器類が保管庫に眠っている。市民や子どもたちが間近に観られる美術館誕生のため、課題はあるが、皆さんの賛同を得ながら一緒に活動したい」とあいさつした。

 

 

「育てる会」は2024(令和6)年10月、経済人や作家、書家、文化人ら22人が集まってスタート。25年4月、東京都歴史文化財団・アーツカウンシル東京企画課長の佐々木秀彦さんが「柏にふさわしいミュージアム」と題して講演会。

 

 

同11月の講演会では「育てる会」独自調査の各地美術館調査報告や「育てる会」幹事で芸術・陶芸家の寺前好人さんの「パブリックアート」講演、柏市の「清水メガネ」によるweb美術館「みんなのミュージアム」が紹介された。

 

 

講演会と並行し「育てる会」が街角や公共施設で展示されている彫塑やモニュメント、絵画などの美術品を取材して作った「まちなかアートマップ」(A4判四つ折り)の発行も始めた。発足して3年、活動成果を積み重ねている。

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

自生地保護の願いも
野草ファンの写真展

――身近な野草に魅せられ、野山を歩いて写真撮影している「野草フォトクラブ19」(黒田準介会長、会員11人)の第15回写真展「こんな素敵な野草たち~早春から夏の野草」が5月22日から柏市の県立柏の葉公園公園センター・緑のギャラリーで開かれた。

 

 

写真上:写真展初日に勢ぞろいした黒田準介会長(前列左から2人目)ら「野草フォトクラブ19」のメンバー

 

 

 

休会中の1人を除く会員10人が近くの里山や新潟、長野県など県外に遠征して撮ったA3判の作品計38点が展示された。

 

 

「夏から晩秋の野草」だった昨年10月の第14回展と比べると、よりカラフルな色合いの草花が多い印象だ。新緑の中で咲く黄や赤、紫、オレンジの花びらが鮮やかだ。

 

 

写真左:会場にぐるりと展示された作品
写真右:写真展のポスター

 

 

 

黒田会長も「秋の草花はどうしても地味な感じなんだけど、春から夏は見栄えする色になる」と話した。

 

 

山本修史・前会長時代から野草の図鑑的要素となる花、茎、葉をワンカットに収めることを基本に芸術性も加味している。

 

 

これに撮影環境がわかるよう野草周辺も入れるようになった。撮影時に踏み入れる足元の植生にも十分気をつけるようにしている。

 

【展示作品の一部】



写真左:「タテヤマリンドウ」(澤村 康子)
写真右:写真上:「ヒメアマナ」(林田 次江)

 

 

写真左:「ミスミソウ」(案志 精造)
写真右:「ナガミヒナゲシ」(林  慶三)

 

 

 

写真左:「ミミガタテンナンショウ」(黒田 準介)
写真中:「トモエソウ」(澤村 康子)
写真右:「セイヨウタンポポ」(勝田 絢一)

 

 

 

前回から始めた草花などの外来種を取り上げる写真コーナー「外来種問題、一緒に考えてみませんか?」と併せ、写真展を通じて外来種問題や生息地を守ろうという社会貢献もしたい意向だ。入場者への会員写真プレゼントも2LサイズとともにA4サイズも加えた。

 

 

写真左:「バイカオウレン」(林田 次江)
写真右:「ミヤマキケマン」(山本 修史)

 

 

 

写真左:「アメリカオニアザミ」(間渕 耕司)
写真右:「ヤブレガサ」(渡辺 敏章)

 

 

 

写真左:「カテンソウ」(勝田 絢一)
写真右:「シラネアオイ」(黒田 準介)

 

 

 

写真左:「オオバノトンボソウ」(間渕 耕司)

写真右:「ムヨウラン」(渡辺 敏章)

 

 

 

写真左:「コセリバオウレン」(山本 靖恵)
写真右:「オオチゴユリ」(山本 修史)

 

 

 

同クラブは前身の「野草フォトクラブ なずな」時代から20年近くになる。黒田会長は当時からの会員。「山歩きをする。野草を見つけてシャッターを切る。その度にしゃがみ込むことを繰り返すことで、自然にスクワットも出来て健康にもいい」

 

 

会員も活動を続けることで撮影技術が上がり、全体的に図鑑的要素とともに芸術性、作品性も高まってきた。

 

 

「最近は一般受けするものより、マニアックな作品が多くなってきた。ポスターの写真選びに苦労するようになった」(黒田会長)という新たな傾向が出てきた。

 

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

野鳥、鉄道ファンがコラボ
「とり・鉄写真愛好会写真展」

――野鳥愛好家と鉄道ファンの「撮り鉄」がコラボした「とり・鉄愛好会写真展」が5月12日から柏市の県立柏の葉公園センター・緑のギャラリーで開かれている。

 

 

写真上:写真展メンバーの鈴木悦子さん、鈴木昇さん、塚野たけしさん、尾崎拓雄さん、宮口弘志さん(左から)

 

 

 

「鳥」と「撮り鉄」の駄洒落が利いた写真展。出品者は写真グループ「柏シルバー写友会」の塚野たけしさん、尾崎拓雄さん、鈴木昇さん。それに鈴木さんの妻で「フォト2000」の悦子さん、「フォトフレンズ2015」の宮口弘志さん。

 

 

普段はそれぞれのグループで活動するメンバー。「とり・鉄写真愛好会」は、この写真展のために結成した5人のグループだ。

 

 

写真上:写真展の案内はがき

 

 

 

言い出しっぺは塚野さん。会員仲間の「撮り鉄」尾崎さんが40年にわたって撮りためている蒸気機関車(SL)の写真展を思い立った。それでグループの枠を超えて鉄道写真を撮っている仲間を集めた。

 

 

尾崎さんは小学生の頃、旧国鉄御殿場線(神奈川・国府津―静岡・沼津)沿線に住んでいた。教室の窓から煙をもうもうと上げてトンネルから抜け出るSLの姿に憧れ、写真を撮るようになった。

 

【作品の一部】

「野鳥を撮る」(宮口 弘志)

 

 

写真左:「微動だせす」 アオバズク/佐倉城址公園
写真右:「雛の見守り」 サンコウチョウ/埼玉県毛呂山町

 

 

 

写真上:「王者の風格」 オオワシ/茨城県涸沼周辺

 

 

 

「動力の近代化」(尾崎 拓雄)

 

 

写真上:「後補機力闘」 北海道石北本線常紋峠

 

 

 

写真左:「只見線・昭和48年秋」 福島県奥会津
写真右:「警報発令中」 群馬県水上駅

 

 

宮口さんは普段、野鳥の写真を撮っているが「撮り鉄の『撮り』は『鳥』にも通じるものがある」(塚野さん)として招かれた。

 

 

宮口さんの「フォトフレンズ2015」は同じ会場で定期的に写真展を開き、手慣れている。「準備を手伝うだけで写真を出すつもりはなかったんだけど……」という宮口さんだが、いつの間に出品者にもなっていた。

 

 

 

「ぽっぽやの記憶」(鈴木  昇)

 

 

 

 

「13番線からの北行」(鈴木 悦子)

 

 

 

 

「小湊鉄道 春・秋」(塚野たけし)

 

 

 

 

会場には「野鳥を撮る」(宮口さん)、映画「鉄道員」の舞台となった駅舎などの「ぽっぽやの記憶」(鈴木昇さん)、東北への入り口だった上野駅の「13番線からの北行」(鈴木悦子さん)、北海道で先頭と最後尾に連結されたSLを捉えた「動力の近代化」(尾崎さん)、「小湊鉄道 春・秋」(塚野さん)。各々のタイトルでA3判以上の1人5~8点が展示された。

 

 

塚野さんは「初めてとしてはまぁまぁかな。これからも同好の士を集めて続けていきたい」と意欲を燃やす。

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

日本画材で描く
「ハッピー」な世界

――柏市文化・交流施設「パレット柏」の絵画講師などを務める柏市の久保文音(あやね)さんの日本画展「~Happy~」が、5月6日から東京・上野の松坂屋上野店7階アートスペースⅠ」で開かれた。

 

写真上:長女をモデルにした作品「Murmur-妄想記録-」を紹介する久保文音さん

 

 


岩絵具中心の日本画材で描かれた花やおもちゃなど、大小22点が展示された。作品にちらっと登場するオリジナルキャラクター「Kohako」(コハコ)の立体造形も出品した。

 

 

写真左:会場の松坂屋上野店7階アートスペースⅠ
写真右:案内はがきの作品「コハコのVACO」

 

 

「1点1点、心を込め、愛情も持って描いたが、いっぱい課題はある。こうすれば良かったとか、アドバイスを頂いて、次はこうしよという構想も浮かんでいる」

 

 

日本画と言えば花鳥風月をイメージするが、久保さんは身近なモチーフを色鮮やかなデザイン画のように描いている。「日本画みたいではないって、よく言われる。でも、これが私の絵」

 

【展示作品の一部】

 

 

写真左:「ミチバタの風景」
写真右:「コハコのひととき」

 

 

 

写真左:「木香薔薇」
写真右:「薔薇」

 

 

 

写真左:「白詰草」
写真右:「Murmur」

 

 

 

写真左:「薊(アザミ)」
写真右:「テントセン」

 

 

滋賀県出身。着物の染色をしていた母の影響もあって、幼い頃から「美」に興味があった。京都市立銅駝美術工芸高校(現美術工芸高校)から京都精華大学造形学部、さらに京都市立芸術大学院に進んで日本画を学んだ。

 

 

大学時代の2011(平成23)年、「日展」本展への登竜門とされる「日春展」で、翌年には「日展」で入選。卆院後も入選を繰り返して、今は「日展会友」だ。

 

 

写真左:「Toi Toi Toi」
写真右:「コハコの日常」

 

 

 

写真左:「ひとやすみ」
写真右:「ダイナソアのねがいごと」

 

 

 

写真左:「Play+ Play+ Play」
写真右:「Kohako」(コハコ)

 

 

 

「パレット柏」が月1回開催するアート講座「これからアート学」と、受講修了者グループが月4回集まる「たしなむアート」の講師を務める。

 

 

個展は精華大学卒業時の2013(平成25)年に「学割」で借りた京都市内のギャラリー以来、2回目という。

 

 

「花鳥風月にも挑戦したことはあるが、自分には描き切れなくて違和感があった。これからも心から描きたいというものを描いていきたい」

 

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)