うーん、進化、変化?
ライブハウスで異色作品展
――木版画家大野隆司さんが、JR柏駅東口のライブハウス「柏Studio WUU」(スタジオ・ウー)で作品展を開いている。観られるのはライブ開催時だけ、しかも照明がつく入退場時や休憩時間にしか観られないという、一風変わった展示法だ。

■写真上:作品展示会場でギターを抱える大野隆司さん

■写真上:作品の中にはめ込まれた案内チラシ
「すたじお うー 地蔵どうぶつ縁」というタイトル。新聞見開きとほぼ同じA1サイズにラクダ、ウサギ、カメなど動物の身体に様々な表情をしたお地蔵さんの顔が描かれている。
大学で仏教を学んだこともあり「色即是空」「空即是色」を採り入れ「おまえの音楽はひとを救う」といったメッセージの作品もある。これまでにはなかった作風で、全12点のすべてが非売品という。
「音楽のついでに観ていただくもの。小さいものを並べてもなぁ、と思い、ここに合う展示作品にした」
大野さんは可愛いネコと駄洒落のメッセージが代名詞のようでもある。が、2021(令和3年)9月、パレット柏・市民ギャラリーで開いた個展で全く別な一面も見せた。

■写真左:ライブ会場の照明に浮かんだ作品
■写真右:ライブ奏者のステージ
一つ目女や三つ目小僧、蛇が突き刺さっているような頭にベローンと伸びた舌を出す女……。見るからに気色悪い化け物の絵。
さらに神戸で起きた少年による児童殺傷事件をイメージし、人が剣を持って踊り狂ったり、苦しみもがいたりのショッキングな絵柄を発表した。
【大野作品の一部】




ネコの絵とは真逆と思える作品に「紙に表と裏があるように、私にも表裏両方がある」と説明した。
夢か、現実か、幻惑的な作風で知られる版画家谷中安規(1897-1946)の作品に感銘して版画の道に進んだ大野さん、安規の影響もあるのだろう。
「若い時は認めてもらいたいと思った。観て、観て―というようにね。でも今回は音楽を聴きに来たけど、絵もなんか印象に残った、と思ってもらえれば」
作家として進化してきた?
「いや、年を重ねてきた結果の変化です。売れなくてもいい、一つの作品がその人の人生を変えるようなもの。そんなものを作っていきたい」
(文・写真 佐々木和彦)

