取材「人と街の記憶」

12月

     12月

年の瀬の夜空彩る

取材日 2025年12月20日(土)、同26日(金) 場 所 柏市     我孫子市



これからアート学×たしなむアート 受講者作品展

開 催 2025年12月19日(金)~同23日(火)
時 間 10時~17時
    (初日13時から、最終日16時まで)
場 所 柏市文化・交流複合施設「パレット柏・市民ギャラリー」
柏市柏1-7-1-301号
(Day Oneタワー3階)
主 催 柏市文化・交流複合施設「パレット柏」
入 場 無料



旧武者小路実篤邸跡へ
ようこそ!

開 催 2025年6~12月13日の第2、第4土曜日
時 間 10時~15時
場 所 旧武者小路実篤邸跡
    我孫子市船戸2-21-9
主 催 三協フロンテア(株)グループ
後 援 我孫子市教育委員会
協 力 我孫子の景観を育てる会
入場料 無料



小さな交流 広がる友情
第25回日中美術交流展

開 催 2025年12月9日(火)~同14日(日)
時 間 10時~17時
    (初日13時開場、最終日15時閉場)
場 所 流山市生涯学習センター
    (流山エルズ)
    流山市中110
    ☏04-7150-7474
主 催 日中水墨画研究会
後 援 中国大使館文化部、日本中国友好協会
入場料 無料


年の瀬の夜空彩る
ランタンフェスに電飾

――日本漢字能力検定協会が決めた今年の漢字は「熊」だそうだ。北東北を中心に各地の里山に熊が出没し、死傷者が相次いだためだろう。

 

 

今年も残り少なくなった。12月20 日夜、我孫子市の手賀沼湖畔で「手賀沼ランタン Xmasフェスティバル」と銘打ったイベントがあった。我孫子市制施行55周年のフィナーレだという。

 

 

写真上:「水の館」の展望塔を包み込むように浮かんだランタン
(我孫子市手賀沼親水広場・水の館)

 

 

 

写真左:ランタンに「けんこう」「平和」などの想いを書き込む参加者
写真右:真冬の冷え込む夕方、会場に置かれた石油ストーブを囲む

(いずれも我孫子市手賀沼親水広場・水の館)

 

 

 

大勢の市民が集まり、思い思いの願いを書き込んだほのかなLEDライトのランタンを寒空に浮かべた。湖畔に出現した無数の小さな灯り。遠目には盛夏のホタルが乱舞しているかのようだ。

 

 

写真上:街角の看板、マンション群の灯りが電飾街路樹との夜景に溶け込む(我孫子市)

 

 

 

写真上:色とりどりの灯りが入園者を招き入れる(柏市北柏ふるさと公園)

 

 

 

写真左:音符で遊ぶような3匹のウサギ
写真右:園内の池に浮かぶハクチョウ

(いずれも柏市北柏ふるさと公園)


 

 

住宅街にある道路の植え込みに電飾が巻き付けられ、街路灯や看板灯とともに年の瀬の寒空を彩った。公園のアーケードや園路の木々の飾りつけ、小動物のあしらいも楽しい。

 

 

街角や公園で点滅する無数のイルミネーションの一つひとつが、新年を迎えるカウントダウンのようでもある。

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

アート学び、たしなむ
受講者の合同作品展

――「これからアート学×たしなむアート」というサブタイトルの作品展が12月19日から柏市文化・交流複合施設「パレット柏・市民ギャラリー」で開かれた。

 

 

写真左:二つのアート講座受講者の作品を楽しむ入場者
写真右:受講者作品展のポスター

 

 

 

2023(令和5)年から「パレット柏」が始めた絵画など、アートの入り口となる月1回の「アート学」、この修了者らが月4回集まる「たしなむアート」の両受講者の作品展だ。

 

 

数百人に上る両講座の受講者有志による初めての合同展。「アート学」の27人が色紙に描いた100点、「たしなむアート」の13人は自由サイズの50点を展示した。風景から静物を始め、心象画風だったり、イラスト風だったり、様々な作風が楽しい。

 

 

写真左:自身の作品を説明する講師の久保文音さん
写真右:作 久保文音

 

 

 

講師は京都市立芸術大学大学院で日本画を専攻した柏市在住の久保文音さん。一堂に展示された受講者作品を目の当たりにした久保さんは「同じテーマで描いていても違うし、しゃべり方が柔らかい方は絵も柔らかい。逆に普段の姿からは見えてこない、独特の作品といった発見もありました」。

 

 

比較的初心者が多い「アート学」講座の募集チラシに「今さらを、これからに! まずは筆を持つところから始めてみましょう」とあった。

 

 

写真左:「春爛漫」(龍春実)
写真右:作 宮内貴子

 

 

 

写真左:作 岡田悦男
写真右:作 水谷郁子

 

 

 

写真左:作 石塚梨沙
写真右:作 地引里沙

 

 

 

月1回の講座で毎回テーマを決め、植物や果物、魚などを持ち込んだり、模写用にゴッホ、モネなどの作品を用意したりする。

 

 

「受講者が描いたのを観て良い点を伸ばすため、絵の具の使い方などを含めて技術的なアドバイスをします」と久保さん。

 

 

写真左:作 棚田豊子
写真中:作 樋渡いづみ
写真右:作 横江悠子

 

 

 

写真左:作 早川二郎
写真中:「満月の夜」(山口久美子)
写真右:作 染谷美千子

 

 

 

写真左:作 白田ちりこ
写真中:作 杉山惠子
写真右:作 J.Akita

 

 

 

写真左:「ことりさんと」(堀洋子)
写真右:作 藤嶋節子

 

 

 

写真左:作 中嶋隆
写真右:作 石山沙智

 

 

 

写真左:作 Karen Potts
写真中:「雨の日」(近藤みはる)
写真右:作 鈴木芳子

 

 

 

今年の「アート学」は12月13日で終了。次回は1月10日から再開されるが、定員20人でリピーターも多く、受講者が飽きないよう、内容が重複せずに楽しめるよう工夫する。毎回好評で15人前後のキャンセル待ちが出るという。

 

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

「白樺派」文豪を偲ぶ
武者小路邸跡の一般公開★★

――手賀沼湖畔の我孫子市船戸2丁目にある「白樺派」の文豪、武者小路実篤邸跡の一般公開が12月13日、最終日を迎えた。青空が広がる好天に恵まれ、大勢の見学者が訪れた。

 

 

写真上:初冬の日差しの中で武者小路実篤邸跡を見学する市民

 

 

 

邸跡は湖畔の斜面林「船戸の森」の隣接地約5千平方㍍。武者小路は手賀沼の景色が気に入り、近くの湖畔に住む志賀直哉らの勧めもあって家を建て、1916(大正5)年から住み始めた。

 

 

ここで身分や貧富の差を排し、農業を中心に自給自足に近い暮らしを目指す「新しき村」を構想。1918(大正7)年に宮崎県木城町に創設し、転居した。

 

 

写真上:庭園に展示された写真。「之は私の家です」として武者小路と志賀直哉が写っている(武者小路実篤「AとB」から)

 

 

 

現存する木造平屋の邸宅(約240平方㍍)は1953(昭和28)年頃、書籍に残る写真などを参考に当時の邸宅を模して再建されたものだという。

 

 

手賀沼に面する庭園側に大きな和室が3室あり、掛軸のある床の間、欄間、障子が歴史を感じさせる。窓からの眺めは松や梅、桜、藤など植生豊かな庭が広がる。庭から下りる斜面林に石畳の散策路が「ハケの道」と呼ばれる湖畔まで続く。

 

 

写真左:邸内の座敷から庭園を望む
写真右:武者小路邸跡公開のチラシ

 

 

 

武者小路は湖畔の住人で同じ「白樺派」の志賀や柳宗悦らと手賀沼に浮かべた小舟で行き来しながら交流した。「我孫子より」「AとB」など「我孫子刊行会本」と名づけた8冊を書いたとされる。

 

 

邸跡の所有者はユニットハウス製造・販売・レンタルなどの大手「三協フロンティア」(本社・柏市)。我孫子の貴重な歴史的、文化的、景観的資源を公開し、地域貢献しようという試みだ。

 

 

写真左 :邸宅の白壁と庭園にある赤い椿が際立った
写真右上:優しい日差しの中で名残紅葉がひっそりたたずむ

写真右下:軒先につるされたミニ石灯籠が時代を感じさせる

 

 

「新しき村」の100周年にあたる2018(平成30)年、我孫子市教育委員会と協働し、期間限定で公開を始めた。コロナ禍で2020年(令和2)年から中止になったが、今年、景観を守り、育てる活動に取り組む「我孫子の景観を育てる会」の協力で再開。6月からの第2、第4土曜に公開した。

 

 

本来は11月22日の第4土曜で終了の予定だったが「園庭の紅葉も楽しんでもらおう」として12月13日まで延長した。ところが、今年の紅葉は早く、モミジなどはすっかり落葉してしまった。

 

 

受付を担当する「我孫子の景観を育てる会」副会長の龍岡慎一さんは「いやー、紅葉は残念ですが、樹々が葉っぱを落としたおかげで、手賀沼がよく見えるようになりました」と手賀沼方向を指さした。

 

 

写真上:落葉した斜面林の間から手賀沼を望む

 

 

 

写真上:手賀沼湖畔から武者小路邸へ向かう斜面林の入り口(左)。 ここから志賀直哉ら文豪が登ったであろう坂道(右)に枯れ葉が舞い落ちていた

 

 

 

公開最終日と知って駆け付けた柏市在住の農業組合法人役員貴島則雄さん(77)は「新しき村」の村外会員だった。20代の頃、「新しき村」の東京支部があった東京・神保町で武者小路と会って話したことがあるという。

 

 

「武者小路先生を囲む会があって、先生はいつも着物姿だった。温厚でとつとつと話す好々爺といった感じ。我孫子での暮らしを偲ぶ邸跡を保存していることに敬意を表したい。有効活用してほしいですね」

 

 

公開に立ち会っている「三協フロンティア」の監査役石黒博さんによると、来年も公開を予定しているという。

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

日中友好を願って
四半世紀続く交流展★★

――中国・北京出身で松戸市在住の水墨画家、史志輝さんが主宰する日中水墨画研究会「第25回日中美術交流展」が12月9日から流山市生涯学習センター「流山エルズ」で開かれた。

 

 

写真上:日中の書画を鑑賞する入場者

 

 

 

写真上:史志輝さんの作品「翠羽披露」(右)をあしらった日中美術交流展の案内はがきの表裏

 

 


中国からの招待作家として元駐日中国大使館員や高名な画家ら12人の書画を始め、史さんの指導を受けた同研究会員41人と史さんの作品計70点が展示された。

 

 

繊細なタッチと鮮やかな色合いの工筆画、墨の濃淡で描く、シンプルの中にも味わいがある水墨画。さらに詩や熟語、中には絵入りの書などもあってバラエティーに富んでいた。

 

 

【中国書画招待作家作品】

 

 

写真上 :「平沙落雁図」(史怡公)

 

 

 

写真上:「聚友(書)」(耿墨学)

 

 


写真上:「現代版画」(史志国)

 

 

 

描き始めて20年以上という福地裕子さんは工筆画、小林美代子さんは水墨画で共にクジャクをモチーフにした作品。隣り合わせの展示で白と黒のコントラストが目を引いた。

 

 

「小林さんが黒い作品を出すと聞いたので、私は白いものを出すことにした」と福地さん。

 

 

2人とも「出来上がった時の達成感が何とも言えなくて、長年、書き続けることができた」と口をそろえた。

 

【日中水墨画研究会会員作品】

 

 

写真左上:「寒冬晩霞」(田中清咊)
写真左下:「霜降蓮葉」(矢野千里)
写真右 :秋山琴さん(左)の作品「日落群峯」と指導者の史志輝さん

 

 

 

史さんが「92歳で最年長」と紹介したる秋山琴さんは水墨画「日落群峯」を掛け軸にして展示した。「もうすぐ93になります」と照れながら教えてくれた。

 

 

史さんの祖父・史怡公さんは中国画壇で著名な画家。大勢の門弟が自宅に出入りする中で育った。絵を始めるのは自然の成り行きだった。

 

 

写真上:「春暁」(史志輝)

 


 

30代前半の1988(昭和63)年、来日して神戸大学に留学し、文化サロンなどで水墨画の講師を務めた。90(平成2)年以降、日中韓芸術文化交流展、日本国際書画展「大江東流」、日中水墨画交流展などで次々と入選した。

 

 

「小さな交流 広がる友情」を合言葉に1998(平成10)年に日中水墨画研究会を立ち上げた。「友好の懸け橋になろう」と日中交流展を始めた。コロナ禍で開催できない年もあったが、年1回、続けている。

 

 

写真左:「朝顔繁茂」(山田淑子)
写真右:「花鳥図(翡翠)」(中村一三)

 

 

 

写真左:「風神」(古山充)
写真右:「水月観音」(佐藤明美)

 

 

 

写真上:福地裕子さん(左)の「孔雀秋艶」(作品左)と小林美代子さんの「高貴孔雀」(同右)

 

 

 

写真左:「仙境の滝」(瀬戸川春輝)
写真中:「秋山晨曲」(中村久美子)
写真右:「美雪」(石井玲子)

 

 

 

写真左:「近代詩文(書)」(稲石桂月)
写真右:「切磋琢磨(書)」(和井田昭代)

 

 

 

写真上: 「史志輝先生詩意」(青柳保)

 

 

 

史さんは「流山エルズ」を始め、松戸、柏の計5か所で日曜、月曜を除く月1回、水墨画教室を開いている。20代から90代の40人が通う。

 

 

「小さい頃、祖父に厳しく教え込まれて嫌だった。だから教室では優しくしている。だって皆さん、楽しむために通ってきている。楽しくなきゃだめだよね」

 

 

今回の交流展には祖父や弟・史志国さんの作品も展示されている。

 

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)