子どもの「第3の居場所」
鎌ケ谷に「Mi-coco」開設
――8月8日、東武アーバンパークライン(東武野田線)鎌ケ谷駅近くの住宅前に「オープニングイベント開催中!」の看板が立った。「こどもも大人も出入り自由!」とある。
■写真左:住宅街の一角にある「Mi-coco」
■写真右:オープンを知らせる看板
中に入ると、子どもたちの歓声や笑い声が聞こえてきた。大きなクッションシートや座卓がある部屋でドミノ倒しや大人相手にオセロを楽しんでいた。
■写真上:オープン初日からキッズルームで遊ぶ小学生
オープン記念イベントという、ビーズを使ったアクセサリーづくりワークショップも開かれ、スタッフの手ほどきを受ける子どもたちもいた。奥の方には裸電球のようなライティングのレトロな喫茶店も併設されている。
■写真左:スタッフとゲームをしたり、話をしたりの子どもたち
■写真右:物作りのオープニングイベントを楽しむ小学生
鎌ケ谷市を中心に子育て支援活動をしている一般社団法人「アイルゴー」(榎本美紅代表理事)が開設した「Mi-coco」(ミーココ)。看板にある通り、地域の子どもから大人が触れ合う「子どもの居場所」だ。
■写真上:ドミノ倒し(左)やオセロ(右下)が用意されているが、得意の手品を披露する小学生もいた
榎本代表によると「子育て支援イベントの時だけでなく、子どもたちのタイミングで利用できて、親とは違う地域の大人と話ができる場をつくりたかった」が開設理由。
男女二人の母親でもある榎本代表が「ママの輪が広がって子育てに優しい街になれば」との願いから2012(平成24)年に立ち上げたのがママサークル「アイルゴー」。
■写真上:榎本美紅代表(右から2人目)ら「Mi-coco」のスタッフ
2年後には地元企業や鎌ケ谷市と協働し、子育てや企業を応援する「ニコカマフェス」と名づけたイベントを始めた。翌年から市民会館・公民館、食品スーパー、物品販売店などが入る「ショッピングプラザ鎌ケ谷」を会場に同市と共催するようになった。
これが市民、民間企業、行政が互いに「ウィンウィン」なる連携――と評価され、2017(平成29)年度、千葉県の「ちばコラボ大賞」(県知事賞)を受けた。
「Mi-coco」は家庭、学校に次ぐ子どもたちの「第3の居場所」を目指し、榎本代表らは知人の空き家を借りて取り組んだ。
資金は国が監督する10年以上取引のない休眠預金等の活用事業を採り入れ、多数から少額の資金を募るクラウドファンディングも併用した。空き家の改修にはスタッフのほか、高校生や大学生らも応援に駆け付けた。
■写真上:部屋の改修には高校生や大学生らも駆けつけた(アイルゴー提供)
喫茶「晴レル」は筋野園子さん、長男の陽光(はるき)さん親子が運営する。園子さんは、童謡文化をこよなく愛し「童謡喫茶」を開いた母親の児童書を引き継ぎ「晴レル」でも展示、読んでもらっている。
■写真左:「大正ロマン」をイメージしたという喫茶「晴レル」
■写真右:運営する筋野園子さん、陽光さん親子
ニカラグラ、ペルー、コロンビア産をブレンドした童謡珈琲「七つの子」と園子さん手づくりの焼き菓子が自慢だ。
「Mi-coco」を拠点にイベントを企画したり、参加したりの「ニコキッズビジネスプロジェクト」、ゲームを楽しむ一方、企業・社会見学などをする登録制キッズクラブなどを展開予定だ。
榎本代表は「たくさんの方々に支えられて子育てをしてきた。自分もそうだが、子どもたちにも自信をもって『自分は幸せだ』と思うことができる強さを持ってほしい」と願っている。
(文・写真 佐々木和彦)