取材「人と街の記憶」

8月

     8月

子どもの第3の居場所「Mi-coco」

開 設 2025年8月8日(金)~不定期(インスタで確認)
連絡先:Instagram→
時 間 13時~17時
喫茶晴レル 金曜・土曜11時~17時
場 所 鎌ケ谷市道野辺本町1-4-12
    (アーバンパークライン鎌ケ谷駅徒歩3分)
運 営 一般社団法人「アイルゴー」
入 場 無料



戦後80年 平和都市宣言40年
あびこ平和の日~伝える・祈る・つなぐ~

開 催 2025年8月15日(金)~同29日(金)
場 所 我孫子市生涯学習センター
    「アビスタ」
    我孫子市若松26-4
    手賀沼親水広場じゃぶじゃぶ池
    我孫子市高野山新田194-1
主 催 我孫子市、我孫子市原爆被爆者の会、我孫子市平和事業推進市民会議
入 場 無料



第13回夢花アレンジパーティ
サマーフェスティバル
 

開 催 2025年8月17日(日)~同20日(水)
時 間 10時~18時
    (初日13時から、最終日17時まで)
場 所 柏市文化・交流複合施設
    パレット柏・柏市民ギャラリー
    柏市柏1-7-1-301号
    (Day Oneタワー3階)
主 催 夢花会
連絡先 uzuki1949@gmail.com
入 場 無料



子どもの「第3の居場所」
鎌ケ谷に「Mi-coco」開設

――8月8日、東武アーバンパークライン(東武野田線)鎌ケ谷駅近くの住宅前に「オープニングイベント開催中!」の看板が立った。「こどもも大人も出入り自由!」とある。

 

 

写真左:住宅街の一角にある「Mi-coco」
写真右:オープンを知らせる看板

 

 


中に入ると、子どもたちの歓声や笑い声が聞こえてきた。大きなクッションシートや座卓がある部屋でドミノ倒しや大人相手にオセロを楽しんでいた。

 

 

写真上:オープン初日からキッズルームで遊ぶ小学生


 

 

オープン記念イベントという、ビーズを使ったアクセサリーづくりワークショップも開かれ、スタッフの手ほどきを受ける子どもたちもいた。奥の方には裸電球のようなライティングのレトロな喫茶店も併設されている。

 

 

 

写真左:スタッフとゲームをしたり、話をしたりの子どもたち
写真右:物作りのオープニングイベントを楽しむ小学生

 

 

 

鎌ケ谷市を中心に子育て支援活動をしている一般社団法人「アイルゴー」(榎本美紅代表理事)が開設した「Mi-coco」(ミーココ)。看板にある通り、地域の子どもから大人が触れ合う「子どもの居場所」だ。

 

 

写真上:ドミノ倒し(左)やオセロ(右下)が用意されているが、得意の手品を披露する小学生もいた

 

 

 

榎本代表によると「子育て支援イベントの時だけでなく、子どもたちのタイミングで利用できて、親とは違う地域の大人と話ができる場をつくりたかった」が開設理由。

 

 

男女二人の母親でもある榎本代表が「ママの輪が広がって子育てに優しい街になれば」との願いから2012(平成24)年に立ち上げたのがママサークル「アイルゴー」。

 

 

写真上:榎本美紅代表(右から2人目)ら「Mi-coco」のスタッフ

 

 

 

2年後には地元企業や鎌ケ谷市と協働し、子育てや企業を応援する「ニコカマフェス」と名づけたイベントを始めた。翌年から市民会館・公民館、食品スーパー、物品販売店などが入る「ショッピングプラザ鎌ケ谷」を会場に同市と共催するようになった。

 

 

これが市民、民間企業、行政が互いに「ウィンウィン」なる連携――と評価され、2017(平成29)年度、千葉県の「ちばコラボ大賞」(県知事賞)を受けた。

 

 

「Mi-coco」は家庭、学校に次ぐ子どもたちの「第3の居場所」を目指し、榎本代表らは知人の空き家を借りて取り組んだ。

 

 

資金は国が監督する10年以上取引のない休眠預金等の活用事業を採り入れ、多数から少額の資金を募るクラウドファンディングも併用した。空き家の改修にはスタッフのほか、高校生や大学生らも応援に駆け付けた。

 

 

写真上:部屋の改修には高校生や大学生らも駆けつけた(アイルゴー提供)

 

 

 

喫茶「晴レル」は筋野園子さん、長男の陽光(はるき)さん親子が運営する。園子さんは、童謡文化をこよなく愛し「童謡喫茶」を開いた母親の児童書を引き継ぎ「晴レル」でも展示、読んでもらっている。

 

 

写真左:「大正ロマン」をイメージしたという喫茶「晴レル」

写真右:運営する筋野園子さん、陽光さん親子

 

 

 

ニカラグラ、ペルー、コロンビア産をブレンドした童謡珈琲「七つの子」と園子さん手づくりの焼き菓子が自慢だ。

 

 

「Mi-coco」を拠点にイベントを企画したり、参加したりの「ニコキッズビジネスプロジェクト」、ゲームを楽しむ一方、企業・社会見学などをする登録制キッズクラブなどを展開予定だ。

 

 

榎本代表は「たくさんの方々に支えられて子育てをしてきた。自分もそうだが、子どもたちにも自信をもって『自分は幸せだ』と思うことができる強さを持ってほしい」と願っている。

 

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

灯籠に込めた祈り
戦後80年「あびこ平和の日」

――夕闇迫る手賀沼湖畔で、平和を祈る灯籠のほのかな明かりが風に揺れた。戦後80年を迎え、我孫子市の平和祈念事業があった8月16日夕、手賀沼親水広場のじゃぶじゃぶ池で灯籠流しがあった。

 

 

毎夏、我孫子市平和事業推進市民会議、同市原爆被爆者の会、同市による平和祈念事業の一つ。今夏も夕方から自作の灯籠を手にした家族連れなどがじゃぶじゃぶ池の周りに集まり、100を超える灯籠を浮かべた。

 

 

写真上:平和を祈る灯籠流し(手賀沼親水広場じゃぶじゃぶ池)

 

 

 

我孫子市は1985(昭和60)年、恒久平和のため、核兵器廃絶を求める「平和都市宣言」をした。中学生らを広島、長崎の被爆地に派遣するなどの平和祈念事業を続け、戦後80年とともに今年、平和都市宣言40年を迎える。

 

 

8月16日午前11時から我孫子市生涯学習センター「アビスタ」で、平和祈念式典があった。中学時代、広島への派遣事業に参加した高校3年吉田陽菜乃さんが司会した。

 

 

写真左:平和祈念式典の司会者吉田陽菜乃さん
写真中:広島中学生派遣報告をする工藤希咲団長(中央)
写真右:谷川俊太郎の「平和」を朗読する植田ひなたさん

 

 

 

星野順一郎市長が「核兵器のない、恒久平和を強く願う」との式辞の後、戦争犠牲者の冥福を祈って全員で黙とう。吉田さんと一緒に広島派遣に参加した高校3年植田ひなたさんが、谷川俊太郎の平和をテーマにした詩を朗読した。

 

 

今夏の広島派遣に参加した市内6中学校の代表15人が紹介され、最前列に並んだ。団長の我孫子中学2年工藤希咲さんが「広島に行ってみないとわからない歴史の真実を受け止めることができました」と報告した。

 

 

写真上:式辞を述べる星野順一郎市長

 

 

 

式後、手賀沼湖畔に立つ被爆した旧広島市役所庁舎の側壁や敷石をあしらった「平和の記念碑」に一人一本ずつピンクのランを献花した。

 

 

写真上:手賀沼湖畔の「平和の記念碑」に献花する参列者

 

 

 

「アビスタ」1階通路では市の平和祈念事業の写真パネルや市民から寄贈された折り鶴が展示された。

 

 

写真左: 自分で折った折り鶴を飾る幼女
写真右上:スタッフの指導で折り鶴に挑戦する中学生
写真右: マスコット「手賀沼のうなきちさん」の缶バッジ

 

 

 

2階ホールの「平和のひろば」には大勢の親子連れが訪れ、折り鶴や缶バッジ、「平和な未来」「幸せな世界を」などのメッセージを描いた高さ25㌢、15㌢四方の灯籠作りを体験した。

 

 

写真左:平和事業パネル展・平和祈念の折り鶴展」会場
写真右:灯籠づくりに参加した家族

 

 

 

1階ホールでは、被爆者から話を聞き、悲惨な実態を語り継いで平和の尊さを訴える、広島市養成の「被爆体験伝承者」が画像を使って講話した。

 

 

写真上:被爆体験伝承者の中塚慧さん

 

 

 

3年の研修を受けたという「被爆体験伝承者」、朝日学生新聞社の中塚慧記者(都内在住)が「アメリカ、ロシア、中国など9か国が核兵器を保有している今が平和かどうか考えてほしい」と紹介した被爆者の訴えが印象的だった。

 

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

短い花の命、美しく
夢花会フラワーアレンジ

――市民ギャラリーが数多くの生花で飾られ、色鮮やかに華やいだ。「第13回夢花アレンジパーティ サマーフェスティバル」が8月17日から4日間、JR柏駅東口の柏市文化・交流複合施設「パレット柏・柏市民ギャラリー」で開かれた。

 

 

写真上:「夏花火」(高尾桂子)=左=などで華やかな会場を楽しむ入場客

 

 

 

ヨーロピアンフラワーアレンジメントの「夢花会」(主宰者・卯月彩花〈本名・啓子〉さん)会員による作品展。100を超える作品が出品され、生花の香りと際立つ色合いが入場者を魅了した。

 

 

写真上:作品を紹介する「夢花会」の卯月彩花さん

 

 

 

室町時代に生まれた華道生花は、様々な流派があるものの自然を尊重し、流儀に裏付けされた伝統美がある。ヨーロピアンフラワーアレンジメントは、一定の基本形をこなせばより自由に創造的にできる、という。

 

 

花材、花器は自由で剣山の代わりに水をたっぷり含ませたスポンジに花を刺す。扇状もあれば縦長、横長、円錐などとサイズも形状も様々に活ける。

 

 

写真左:「ラップフラワー」(橋本美紀)
写真右:夢花アレンジパーティ「サマーフェスティバル」の案内はがき

 

 

 

花の色合わせに一定のルールがあるという華道生花と違い、個人の好みに合わせた大胆な色彩の組み合わせも大きな魅力だ。

 

 

今回の作品展ではバルーンやプラスチック容器、レース地といった素材との組み合わせもあった。花や葉を保存加工液に浸して水分を抜き、数年に寿命を延ばす「プリザーブドフラワー」のアレンジメントも紹介された。

 

 

写真上:「いろいろなプリザーブドフラワー」(橋本美紀)

 

 

 

単に花を飾るだけでなく、空間を彩るアートとしての面もあり、社交ダンスの衣装と2作品とのコラボコーナーもあった。

 

 

写真左:社交ダンスの鮮やかな衣装とのコラボ作品もあった
写真右:「ワクワーク諸島のフェスティバル」(高橋孝子)

 

 

 

卯月さんは月に2回、自宅で会員35人に教えている。元教員だが、定年退職後の今も非常勤講師として柏市内の小学2校に通い、初任者指導に当たっている。

 

 

千葉市に住んでいた頃、華道生花を代表する流派の門弟となり、師範級の資格を得るまで稽古した。柏に転居後、生花の師匠を探しているうち、ヨーロピアンフラワーアレンジメントと出合った。

 

 

「華道よりは自由な活け方ですが、三角形、四角形、長方形など30種の基本形があります。この基本を習っていないと自由に活けてと言われても難しいですよ」と卯月さん。何でも基本が肝心なのだ。

 

 

写真左:「ヴィシェーブ」(廣瀬奈穂美)
写真右:「風と遊ぶ」(小林美智子)

 

 

 

写真左: 「アンシンメトリートライアンギュラー」(齊藤京子)
写真中央:「サマースター」(西野久美子)
写真右: 「グリーンフェスティバル」(福原美豊子)

 

 

 

写真左:「ビブラントフラワー」(縄田浩子)
写真右:「ラウンド」(岡野洋子)

 

 

 

写真左: 「フラワーウェディング」(菅谷さつき)
写真中央:「ファン」(青山和子)
写真右: 「マーメード」(清水明奈)

 

 

 

写真左: 「レクタングル」(川本祥子)
写真中央:「早朝に微笑む」(堀切浩子)
写真右: 「灼熱のハーモニー~太陽に捧ぐ~」(佐野綾香)

 

 

 

教員を定年退職後に「夢花会」を本格的に始めた。通ってくるのは30~70代だが、60代が中心。5月から始めたという人もいれば20年選手もいる。

 

 

新人からベテランまで同じ花材を使っても各々の個性あふれる作品になる。そんな楽しさがモチベーションになって長く続くようだ。

 

 

写真上:舞台裏で来場者に贈るミニアレンジを用意するスタッフ

 

 

 

「花をやるには花と会話をしてどう活けるか。花の心を持てばね、家庭が明るく、きれいになるんですよ。玄関に花を飾ってごらんなさい。私は花で家庭も学校もきれいにしたい」と卯月さん。

 

 

そのためにとして、こう付け加えた。

 

 

「花の命を頂いて活ける。せいぜい1週間かな。でもその間、花が美しく咲き続ける技術を教えたいのです」

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)