短い花の命、美しく
夢花会フラワーアレンジ
――市民ギャラリーが数多くの生花で飾られ、色鮮やかに華やいだ。「第13回夢花アレンジパーティ サマーフェスティバル」が8月17日から4日間、JR柏駅東口の柏市文化・交流複合施設「パレット柏・柏市民ギャラリー」で開かれた。

■写真上:「夏花火」(高尾桂子)=左=などで華やかな会場を楽しむ入場客
ヨーロピアンフラワーアレンジメントの「夢花会」(主宰者・卯月彩花〈本名・啓子〉さん)会員による作品展。100を超える作品が出品され、生花の香りと際立つ色合いが入場者を魅了した。

■写真上:作品を紹介する「夢花会」の卯月彩花さん
室町時代に生まれた華道生花は、様々な流派があるものの自然を尊重し、流儀に裏付けされた伝統美がある。ヨーロピアンフラワーアレンジメントは、一定の基本形をこなせばより自由に創造的にできる、という。
花材、花器は自由で剣山の代わりに水をたっぷり含ませたスポンジに花を刺す。扇状もあれば縦長、横長、円錐などとサイズも形状も様々に活ける。

■写真左:「ラップフラワー」(橋本美紀)
■写真右:夢花アレンジパーティ「サマーフェスティバル」の案内はがき
花の色合わせに一定のルールがあるという華道生花と違い、個人の好みに合わせた大胆な色彩の組み合わせも大きな魅力だ。
今回の作品展ではバルーンやプラスチック容器、レース地といった素材との組み合わせもあった。花や葉を保存加工液に浸して水分を抜き、数年に寿命を延ばす「プリザーブドフラワー」のアレンジメントも紹介された。

■写真上:「いろいろなプリザーブドフラワー」(橋本美紀)
単に花を飾るだけでなく、空間を彩るアートとしての面もあり、社交ダンスの衣装と2作品とのコラボコーナーもあった。

■写真左:社交ダンスの鮮やかな衣装とのコラボ作品もあった
■写真右:「ワクワーク諸島のフェスティバル」(高橋孝子)
卯月さんは月に2回、自宅で会員35人に教えている。元教員だが、定年退職後の今も非常勤講師として松戸市内の小学2校に通い、初任者指導に当たっている。
千葉市に住んでいた頃、華道生花を代表する流派の門弟となり、師範級の資格を得るまで稽古した。柏に転居後、生花の師匠を探しているうち、ヨーロピアンフラワーアレンジメントと出合った。
「華道よりは自由な活け方ですが、三角形、四角形、長方形など30種の基本形があります。この基本を習っていないと自由に活けてと言われても難しいですよ」と卯月さん。何でも基本が肝心なのだ。

■写真左:「ヴィシェーブ」(廣瀬奈穂美)
■写真右:「風と遊ぶ」(小林美智子)

■写真左: 「アンシンメトリートライアンギュラー」(齊藤京子)
■写真中央:「サマースター」(西野久美子)
■写真右: 「グリーンフェスティバル」(福原美豊子)

■写真左:「ビブラントフラワー」(縄田浩子)
■写真右:「ラウンド」(岡野洋子)

■写真左: 「フラワーウェディング」(菅谷さつき)
■写真中央:「ファン」(青山和子)
■写真右: 「マーメード」(清水明奈)

■写真左: 「レクタングル」(川本祥子)
■写真中央:「早朝に微笑む」(堀切浩子)
■写真右: 「灼熱のハーモニー~太陽に捧ぐ~」(佐野綾香)
教員を定年退職後に「夢花会」を本格的に始めた。通ってくるのは30~70代だが、60代が中心。5月から始めたという人もいれば20年選手もいる。
新人からベテランまで同じ花材を使っても各々の個性あふれる作品になる。そんな楽しさがモチベーションになって長く続くようだ。

■写真上:舞台裏で来場者に贈るミニアレンジを用意するスタッフ
「花をやるには花と会話をしてどう活けるか。花の心を持てばね、家庭が明るく、きれいになるんですよ。玄関に花を飾ってごらんなさい。私は花で家庭も学校もきれいにしたい」と卯月さん。
そのためにとして、こう付け加えた。
「花の命を頂いて活ける。せいぜい1週間かな。でもその間、花が美しく咲き続ける技術を教えたいのです」
(文・写真 佐々木和彦)















