取材「人と街の記憶」

4月

     4月

うんがいい こいのぼり

開 催 2025年4月5日(月)~同5月6日(火祝)
時 間 終日
場 所 利根運河水辺公園
    流山市東深井368-1
主 催 流山市利根運河交流館
協 力 東京理科大学野田地区理大祭実行委員会
入 場 無料
取材日 同4月5日(土)、同9日(水)


獄の空より 第二回獄中作品展

開 催 2025年4月10日(木)~同15日(火)
時 間 9時~19時(初日は12時から、最終日は12時まで)
場 所 松戸市民会館
    松戸市松戸1389-1
主 催 おみとも
入 場 無料



ふなばし三番瀬海浜公園
潮干狩り

開 催 2025年4月17日(木)~同5月29日(木)
時 間 日時とも日中干潮日のため
HP(https://www.sambanze.jp)参照
場 所 ふなばし三番瀬海浜公園
    船橋市潮見町40
    ☎047-435-0828
主 催 ふなばし三番瀬海浜公園
入場料 子ども(4歳以上)350円、大人(中学生上)700円(セブン―イレブンのマルチコピー機による前売り販売、当日の園内販売なし)アサリ持ち帰り別途100グラム当たり120円)
入 場 無料

「柏に美術館を創りましょう」
講演会
柏にふさわしいミュージアム
―学芸員からの提案―
  

開 催 2025年4月19日(土)
時 間 13時開場、13時30分開始
場 所 柏市教育福祉会館
    「ラコルタ柏」
    柏市柏5-8-12
    ☎04-7164-1811
主 催 柏の文化を育てる会
後 援 柏市教育委員会
協 賛 柏ロータリークラブ、柏南ロータリークラブ、柏ライオンズクラブ、大洞院
入 場 無料


青空似合う「こいのぼり」
復活4年目の春も揚がる

――「こどもの日」を前に一足早いこいのぼりが揚がった。流山市の利根運河水辺公園。色とりどり、大小様々なこいのぼりが陽光そそぐ青空の下、利根運河で泳いでいる。

 

 

写真上:青空の下、満開の桜並木を背に泳ぐこいのぼり

 

 


利根川から柏、野田、流山3市を抜けて江戸川に続く全長8.5キロの利根運河。地域交流に生かそうと、流山市利根運河交流館(山本忠館長)が2014(平成26)年から「うんがいい! こいのぼり」として続けている。


 

コロナ禍で一時途絶えたが、2022(令和4)年に復活させた。4年目の今年も「こいのぼり泳がせ隊」を募集し、集まった親子連れ、ボランティアなど16組50人の隊員が4月5日に作業した。

 

 

市民から提供されたり、持ち寄ったりしたこいのぼりを運河交流館の前館長中村光佐子さん、同職員古川みゆきさんらスタッフの指導で、まずは結束バンドでロープにつるした。

 


写真左右:こいのぼりを広げ、ロープに結びつける家族連れ

 

 

 

こいのぼり付きロープは約100メートルに及ぶ3本。赤い時計塔に結び、手分けして引っ張りながら移動、向こう岸に渡した。事前準備がしっかりしていたため、作業はほぼ1時間で完了した。

 


写真左右:ロープにつないだこいのぼりを対岸に運ぶちびっ子たち

 

 

 

1本あたり体長0.6メートルから5メートルが30~70匹付いている。コウノトリ飼育施設がある野田からこうのとり、地元の東京理科大から学生デザインの作品が寄せられた。

 

 

運河交流館から「うなぎのぼり」、オーガニック農園から「かぶのぼり」も揚がった。

 


写真上:お花見とこいのぼりを楽しみながらお弁当を広げる家族連れ

 

 


株が上がって、景気もうなぎ上り?「トランプ関税」で経済の先行き不透明の中、暮らしの安定求める願いも込められた。

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

受刑者の日常に触れる
文通者が「獄中作品展」

――刑事事件で懲役刑などになった受刑者の絵やデザイン画、書などを集めた作品展が4月10日から松戸市民会館で開かれた。その名も「獄中作品展」。全国の刑務所にいる受刑者と文通する秋本なおみさんが企画した。

 

 

写真上:ロビーのギャラリーに展示された受刑者の作品

 

 

 

階段を上がって二階の玄関から入る。左手奥にあるロビーの壁が展示スペースになっていた。入り口に受刑者の墨字「獄中作品展」の書があった。

 

 

封書の消印ある郵便切手を使い、秋本さんが描いたサブタイトル「獄の空より」の作品から始まる。

 

 

写真左:作品に添付されている作者のメモを読み込む入場者
写真右:獄中展のチラシ

 

 

 

ずらり並んだ作品1点ずつを送ってきた封筒の再利用で額代わりの台紙とし、四隅を付いていた切手で貼る。絵やイラスト、書、版画などに交じって俳句やエッセーもあった。

 

 

写真上:作品展のサブタイトルを描いた秋本さんの切手アート

 

 

 

秋本さんは左翼系政治犯の刑務所暮らしを支援する団体で活動していた。明治期に制定された旧監獄法が2006(平成18)年に大幅改正され、刑事収容施設法に生まれ変わった際、近親者以外でも文通ができるようになった。

 

 

秋本さんは「人を傷つけて刑を受けているが、やったことは取り戻せない。でも、文通で更生したいという受刑者を応援、協力したい」という。

 

 

写真上:受刑者コラボで生まれた紙芝居を披露する秋本なおみさん

 

 

 

支援団体から独立し、北は青森から南は沖縄の一般受刑者20人と文通を始めた。そのうち自然に絵などの作品が送られてくるようになった。

 

 

受刑者の作品を発表する場として2017(平成29)年、交流誌「おみとも」(B4判)を創刊して文通者に送っている。年2回の発行でこの4月で第20号を数えた。

 

 

写真上:年2回発行する受刑者との交流誌「おみとも」

 

 

 

物語や詩を書いたり、絵や音楽が得意だったりの受刑者を結び付け、紙芝居や楽曲が生まれた。手元に作品がたまったことから一般向け展示を思い立ち「獄中展」として昨年から松戸市民会館で始めた。

 

 

期間中の4月11日、会場隣接の会議室でギャラリートーク代わりの催しがあり、秋本さんは受刑者の手紙朗読やコラボ作品となった紙芝居を披露した。

 

 

鉛筆一本ままならない獄中生活だが、絵画などのクラブに入ると、ある程度の画材などが利用できるのだという。

 

【受刑者作品】

 

 

 

 

 

 

 

 

秋本さんは「獄中のことを少しでも知ってもらえれば、と思っている。検閲などもあるが、私自身、いろんな人と知り合えて視野が広くなった」と話している。

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

春、潮干狩り始まる
にぎわう船橋三番瀬

――東京湾最奥部の干潟、船橋市の「ふなばし三番瀬海浜公園」で、4月17日から潮干狩りが始まった。初日を待ちかねたように100人を超える家族連れが長靴姿でバケツを手に干潟に入った。

 

 

写真上:潮干狩りを楽しむ家族連れ。沖合で貨物船が行き交う

 

 

 

初日は柔らかい日差しがそそぎ、最高気温も22度を超える好天に恵まれた。西側の遠くに浦安のビル群がかすみ、すぐの沖合を時折、貨物船が航行する。潮が引いた干潟にはあちらこちらに潮溜まりが残っていた。

 

 

写真上:潮溜まりでアサリを探す親子

 

 

 

家族連れは思い思いの場所に陣取り、両手で掘ったり、小さな熊手を使ったりしながらお目当てのアサリを探した。潮溜まり周辺が人気で、脇には楕円形や縦長にアサリを掘った跡がくっきり残っていた。

 

 

 

写真左:干潟のあちこちにアサリを採った跡があった

写真右上:採った直後のアサリ
写真右下:洗われてネットに入ったアサリ

 

 

 

中には1時間もたたないうちにバケツ一杯分を収穫したグループもいる。夫婦でやってきた男性もその一人。採ったアサリを潮溜まりで洗って砂を落とし、ネット2袋に詰め込んだ。

 

 

「よい場所を見つけた。バター炒めにして食べる。楽しみだ」

 

 

県内では都心に最も近い潮干狩り場として期間中、三区域に分け、延べ68トンのアサリを放流し、日中に干潮となる日を選び、区域を変えながら開放する。

 

 

写真上:「ふなばし三番瀬海浜公園」の干潟。所々に潮溜まりがある

 

 

 

コロナ禍前は1日2万人が詰めかけたことがあるが、今は土曜、日曜、祝日に5000人の入場制限を設けた。

 

 

三番瀬は習志野、船橋、市川、浦安各市にまたがる1800ヘクタールの干潟と浅瀬。かつて東京湾の埋め立てが進む中、1990年代に三番瀬の計画も持ち上がったが、住民らの反対運動で一部が残った。

 

 

写真上:「ふなばし三番瀬海浜公園」見取り図(ホームページから)

 

 

 

同海浜公園の干潟は人工的なものだが、それでもスズキやカレイの稚魚、ホンビノスガイをはじめ、多くの水鳥も飛来する。9割以上が埋め立てられたといわれる東京湾の干潟の姿をとどめる貴重な場所だ。

 

 

写真左:環境学習館にあるジャンボアサリ模型
写真右:潮干狩りのチラシ

 

 

隣接する「ふなばし三番瀬環境学習館」では期間中の企画展「これでバッチリ! 潮干狩り2025」で、製作したジャンボアサリ模型で、アサリの生態や採り方などとともに残った干潟の歴史的背景などを紹介している。

 

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

大事なオーナーシップ
複合・融合施設的な美術館を

――柏市立美術館建設構想を進めるグループ「柏の文化を育てる会」(三坂俊明代表)主催の「『柏に美術館を創りましょう』講演会 柏にふさわしいミュージアム―学芸員からの提案―」が4月19日、柏市教育福祉会館「ラコルタ柏」であった。

 

 

写真上:「柏に美術館を創りましょう」講演会会場

 

 

 

講師は柏市在住で、東京の独自性や多様性を生かした芸術文化活動を展開する東京都歴史文化財団・アーツカウンシル東京企画部企画課長の佐々木秀彦さん。江戸東京博物館、東京都美術館などの学芸員を務め「文化的コモンズ―文化施設がつくる交響圏」(みすず書房、2024年)などの著作がある。

 

 

写真左:学芸員の立場から美術館を語る佐々木秀彦さん

写真右:講演会のチラシ

 

 

 

佐々木さんは「集めたコレクションを観てもらうだけの施設は二十数年前に終わっている」として、美術館を建てる目的、使命が重要と力説した。

 

 

上野公園にある都美術館は1995(平成7)年、東京都江東区で開館した都現代美術館にほとんどのコレクションが移り、存在意義が問われた経験談を披露した。

 

 

職員が知恵を絞って新たなミッションを考え、子どもたちのニュージアムデビューとなる「アートの入り口」を目指すことにした。一般ボランティアの「アートコミュニケーター」を募り、隣接の東京藝術大学などと連携し、特別展の対話型鑑賞やコミュニケーターが考えたワークショップなどを展開した。

 

 

近くにある国立科学博物館、藝大美術館のコレクション巡りなども企画、実践した。佐々木さんは「コレクションはなくても、連携によるコネクションで一定の使命は果たせるのではないか」。

 

 

写真上:アートセンター志向施設を説明する佐々木さん

 

 

 

目指す美術館の方向性として①収蔵品中心のコレクション志向(市川市東山魁夷記念館など)②展覧会会場としてのギャラリー志向(国立新美術館など)③音楽とアート、ワークショップなどのアートセンター志向(川口市立アートギャラリー・アトリアなど)④コレクション、展示、センター機能の総合志向(千葉市美術館など)の4タイプを挙げた。

 

 

① 美術館にふさわしいコレクションがあるか②話題の展覧会などは都内で鑑賞できる③テーマや活動方針が決まれば着手可能④これから始めて何年かかるか――として、柏にはアートセンター機能がふさわしい、との考えを示唆した。

 

 

佐々木さんは「いかにして持続可能な施設にするか。そのためには地域に役立つ意味のある施設、地域の活力に貢献できるものを考えるべきだ」と強調した。

 

 

税金を使って箱モノを造ることに嫌悪感を持つ住民も多い、とも指摘。「税金を払って美術館のオーナーになるとの意識を持ち、建設、実現だけを目的とせず、オーナーシップをもってミッションづくりなどに関わっていくべきだと思う」と述べた。

 

 

街づくりに貢献できる施設として、図書館などの文化施設とともに教育、市民運動、福祉活動なども採り入れた複合・融合施設がベターとの考えも明らかにした。

 

 

柏には風景画の高島野十郎、浮世絵師の川瀬巴水、素朴な「下総玩具」の松本節太郎らゆかりの作家が少なくない。砂川コレクション(染色家芹沢銈介、板画家棟方志功)、クレヨン画の中村順二美術館、摘水軒記念文化振興財団江戸絵画コレクションなどもある。

 

 

写真左:美術館建設を訴える三坂・柏の文化を育てる会会長
写真右:地域に貢献する複合・融合施設を提言する佐々木さん

 

 

 

佐々木さんは、柏や隣接各市を含めた文化・芸術資源をリサーチするとともに全国の中核市を見本に市民ニーズを汲み取り、財政事情に応じた美術館施設の規模を柏市や市議会に提案すべきだ――として講演会を閉めた。

 

 

主催した「柏の文化を育てる会」は昨年10月20日、旗揚げのキックオフミーテングを開き、市内の経済人や画家、書家、文化人ら23人が参加した。

 

 

講演会の冒頭、三坂会長は「市民で議論を続け、県や周辺都市とともに美術館などの文化施設を充実させ、柏を潤いのある文化・芸術都市に昇華、発展させよう」と参加者に訴えた。

 

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)