不動堂の竹林照らす
市民グループの「竹宵」
――我孫子市の手賀沼湖畔にある滝前不動を囲む竹林で、年末年始の「滝前不動 新春竹宵」が12月21日始まった。滝前不動のお堂周辺のうっそうとした竹林が500を超える大小さまざまな竹灯籠で飾られた。
■写真上:竹林の坂道を照らす竹灯籠
2004(平成16)年に発足したNPO「住み良いまちづくり研究所」(米澤外喜夫代表)主催。同研究所は市内の荒れた竹林を手入れし、間伐した竹で灯籠を手作りしてイベントなどで活用している。
■写真左:お堂や境内が竹灯籠で浮かび上がった
■写真右:参道の足元も明るく照らされた
滝前不動は市内岡発戸にある曹洞宗白泉寺を開山した竹厳宗嫩(ちくげんそうどん)和尚が江戸前期にお堂を建てたのが始まりとされる。定かではないが、滝前山宝積寺とも呼ばれた白泉寺の末寺らしい。今のお堂は江戸末期に建立され、明治から昭和にかけて補修されたものだ。
同研究所はお堂の歴史的価値に着目し、長年放置されていた周辺竹林を2015(平成27)年10月から週3回の世話を始めた。整備が進んだ3年後から公開し、2019(令和元)年暮れから竹灯籠でライトアップするイベントを始めた。
■写真上:「滝前不動 新春竹宵」のポスター
米澤代表は「今ではSDGs(エス・ディー・ジーズ=持続可能な開発目標)というけど、竹林から切り出した竹で灯籠を作り、それを使いまわして土に返す。昔からやっていることなんだ」と話した。
■写真上:刻んだ「滝前不動」の文字や干支に交じって、幼稚園児の塗り絵灯籠もあった
かつてあった手賀沼岸辺の旧道「ハケの道」から階段を使ったり、緩いスロープを登ったりの二つの参道からお堂に向かう。初日の12月21日夕、境内でオープニングイベントがあった。
3人でウクレレと沖縄三線を演奏するグループ「ウタ結イ」が夕陽を浴びながら「安里屋ユンタ」などの沖縄民謡を披露した。リーダーの苗田民子さんは「初めて参加した。気持ちのよい空間で演奏できた」。
■写真上:夕陽を浴びながらオープニングイベントでウクレレ、沖縄三線を演奏する「ウタ結イ」
箏やギター演奏が続き、市内の布佐中学校卒業生らによる合唱団「アンサンブル・ルミエール」のコーラスの頃には夕闇が迫り、竹林越しの赤い夕焼けが西の空を染めた。
二つの参道、お堂、境内に置かれた竹灯籠の明かりが辺りをうっすら照らす。境内から竹林の裏山に続く坂道の両側にもオレンジの光が連なった。
■写真上:陽が沈み竹林越しの夕焼けが辺りを包んだ
登り着いた裏山は「光の広場」と名づけられ、竹18本を組んだドームがあり、灯籠をランタンのように吊るした木で輝く。足元をカラフルなミラボールの光がくるくる回った。
■写真上:竹林の誘導灯のような光の列
■写真上:竹林の裏山に「光の広場」があり、いろんなオブジェで飾られていた
光の幻想に「サァー」「ザサァー」と竹林を揺らす風音が非日常的な空間をより演出した。
(文・写真 佐々木和彦)