ミュージアムINFO

1月

     1月

滝前不動 新春竹宵
竹灯籠ライトアップ

開 催 2024年12月21日(土)~2025年1月13日(月祝)
時 間 16時30分(夕暮れ時)~22時
場 所 滝前不動
    我孫子市岡発戸1271
主 催 NPO「住み良いまちづくり研究所」
特別協賛 白泉寺
後 援 我孫子市、我孫子市教育委員会、我孫子市社会福祉協議会、我孫子市商工会
協 賛 エイブルネットワーク我孫子店、京葉ガス、日東エネルギー、ピタットハウス天王台店
協 力 あびこ市民活動ステーション、アビシルベ、中央学院大学あびこ祭、JR我孫子・天王台・湖北・新木・布佐各駅

長縄えい子
彩遊三回忌展

開 催 2025年1月6日(月)~同13日(月)
時 間 13時~17時
場 所 たけしま出版
    柏グリーンハイツC204
主 催 竹島いわお
協 力 いしど画材、大洞院ギャラリー運営委員会
入 場 無料

第6回樹々の会朗読会

開催 2025年2月6日(木)
時 間 開場13時30分
    開演14時
場 所 あびこ市民プラザホール
    我孫子市我孫子4-11-1
☏04-7183-2111
(あびこショッピングプラザ3階)
主 催 樹々の会
入 場 無料
問い合わせ先 萩野谷090-9844-7477

「大寒」に息吹く草花  

取材日 2025年1月22日(水) 場 所 柏市 / 我孫子市

不動堂の竹林照らす
市民グループの「竹宵」

――我孫子市の手賀沼湖畔にある滝前不動を囲む竹林で、年末年始の「滝前不動 新春竹宵」が12月21日始まった。滝前不動のお堂周辺のうっそうとした竹林が500を超える大小さまざまな竹灯籠で飾られた。

 

 

写真上:竹林の坂道を照らす竹灯籠

 


2004(平成16)年に発足したNPO「住み良いまちづくり研究所」(米澤外喜夫代表)主催。同研究所は市内の荒れた竹林を手入れし、間伐した竹で灯籠を手作りしてイベントなどで活用している。

 

 

写真左:お堂や境内が竹灯籠で浮かび上がった
写真右:参道の足元も明るく照らされた

 

 

滝前不動は市内岡発戸にある曹洞宗白泉寺を開山した竹厳宗嫩(ちくげんそうどん)和尚が江戸前期にお堂を建てたのが始まりとされる。定かではないが、滝前山宝積寺とも呼ばれた白泉寺の末寺らしい。今のお堂は江戸末期に建立され、明治から昭和にかけて補修されたものだ。

 

 

同研究所はお堂の歴史的価値に着目し、長年放置されていた周辺竹林を2015(平成27)年10月から週3回の世話を始めた。整備が進んだ3年後から公開し、2019(令和元)年暮れから竹灯籠でライトアップするイベントを始めた。

 


写真上:「滝前不動 新春竹宵」のポスター

 

 

 

米澤代表は「今ではSDGs(エス・ディー・ジーズ=持続可能な開発目標)というけど、竹林から切り出した竹で灯籠を作り、それを使いまわして土に返す。昔からやっていることなんだ」と話した。

 


写真上:刻んだ「滝前不動」の文字や干支に交じって、幼稚園児の塗り絵灯籠もあった

 

 

 

かつてあった手賀沼岸辺の旧道「ハケの道」から階段を使ったり、緩いスロープを登ったりの二つの参道からお堂に向かう。初日の12月21日夕、境内でオープニングイベントがあった。

 

 

3人でウクレレと沖縄三線を演奏するグループ「ウタ結イ」が夕陽を浴びながら「安里屋ユンタ」などの沖縄民謡を披露した。リーダーの苗田民子さんは「初めて参加した。気持ちのよい空間で演奏できた」。

 


写真上:夕陽を浴びながらオープニングイベントでウクレレ、沖縄三線を演奏する「ウタ結イ」

 

 

 

箏やギター演奏が続き、市内の布佐中学校卒業生らによる合唱団「アンサンブル・ルミエール」のコーラスの頃には夕闇が迫り、竹林越しの赤い夕焼けが西の空を染めた。

 

 

二つの参道、お堂、境内に置かれた竹灯籠の明かりが辺りをうっすら照らす。境内から竹林の裏山に続く坂道の両側にもオレンジの光が連なった。

 

 

写真上:陽が沈み竹林越しの夕焼けが辺りを包んだ

 

 

 

登り着いた裏山は「光の広場」と名づけられ、竹18本を組んだドームがあり、灯籠をランタンのように吊るした木で輝く。足元をカラフルなミラボールの光がくるくる回った。

 

 

写真上:竹林の誘導灯のような光の列

 

 

 

 

写真上:竹林の裏山に「光の広場」があり、いろんなオブジェで飾られていた

 

 

 

光の幻想に「サァー」「ザサァー」と竹林を揺らす風音が非日常的な空間をより演出した。

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

生活空間に並ぶ作品
画家長縄さんの三回忌展

――2023(令和5)年1月、交通事故で亡くなった柏市の画家長縄えい子さん(当時85)の「長縄えい子 彩遊(さいゆう)三回忌展」が1月6日から市内の柏グリーンハイツC204の「たけしま出版」で開かれた。

 

 

写真左:生活空間に「化粧する闇」シリーズなどの作品が並んだ
写真右:三回忌展の案内はがき絵

 

 

 

長縄さんのパートナーとして創作活動を支えた「たけしま出版」の竹島いわおさんが主催した。会場は事務所兼自宅のアトリエもあった生活空間。連日、近所の住民や友人、知人で入場者は絶えなかった。

 

 

写真左:作品を説明する竹島いわおさん
写真右:ありし日の長縄えい子さん

 

 

 

タイトルの「彩遊」は「彩遊栄麗清信女」という戒名にあり、竹島さんによると、華彩に絵を描き、子どもの遊び心を持って生きた長縄さんにふさわしい、という。

 

 

写真上:作品を手にする入場者

 

 

 

三回忌展について、竹島さんは「長縄さんは隣近所ととても仲良くしていたが、個展をやってもなかなか観に来られない方もいる。今回はご近所に観て頂こうと思って企画した」という。

 

 

特に追悼展や一周忌展などで、あまり展示されなかった遺作や個人所有の作品が集められた。一周忌法要などが営まれた市内の花井山大洞院の墓地にある壁画の原画ともいえる「遊戯」(ゆげ)、「化粧の闇」「祭り」シリーズなどの作品が4DKの部屋いっぱいに展示された。

 

 

 

写真左:「桃を持った六地蔵」(花井山大洞院所蔵)
写真右:「まどろみ」

 

 

写真右:「遊戯(ゆげ)」

 

 

写真左:「フランスの大道芸」(三坂家所蔵)

 

 

 

長縄さんがキリスト教保育連盟(東京・御茶ノ水)の発行誌に25年間にわたって描き続けた押絵の原画1500点も初公開された。

 

 

写真左:「うりこ姫」(榎本コレクション)
写真右:「ポルトガル 浜の女たち」

 

 

 

こんな作品もあった。白と赤い服を着た髪の長い少女二人がちょこんと座っている個人所有の「座敷わらし」。「座敷わらし」は岩手県北の民家に棲みつく子どもの妖怪だが、観た者の家によいことがあるという言い伝えがある。


 

写真上:「座敷わらし」(神前家所属)

 

 


長縄さんは女性を描く時は流し目の表情が多い。が、少女の「座敷わらし」は正面を向き、視線は遥か先を真っ直ぐ見ているように見える。いつもと違う、何かを感じて描いたのかも知れない。

 

 

 

写真上:「ひなまつり」(神前家所蔵)

 

 


アトリエにしていた部屋には大作が飾られ、すぐ脇に愛用していたという絵の具が添えられていた。長縄さんの痕跡を探すように室内を見回し、作品に顔を近づけたり、絵本を手に取って読んだりする入場者もいた。

 

 

写真左:アトリエだった部屋の作品群
写真右:作品の脇に置かれた愛用の絵具

 

 

 

3点の作品を提供した元編集者、黒澤颯子さんは、家族ぐるみの付き合いだった。「うち1点は、女子会と称して二人でお茶を飲みながら描いた女性の絵を頂いたもの。本当に絵も話も好きな人でした」。

 

 

写真上3点:黒澤家所蔵の作品

 

 

 

「長縄さんの絵の生涯の伴侶、竹島さんが、多くの方の手元にある絵を集め、アトリエで近辺の方々に公開して頂けるのは誠にありがたいことです。ずっと続けられることを願っています」。作品提供者のメッセージも紹介されている。

 

 

 

写真上:Tシャツのプリントや絵本の表紙

 


写真上:初公開された「キリスト教保育」の挿絵

 

 

 

竹島さんは「ここだったら毎年できると思っている。所有者に協力を求めて、皆さんがあまり観ていないようなものを少しずつお借りして展示したい」と話した。

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

朗読劇と伝統芸能
2月6日「樹々の会」公演

――「アカイ、アイアイガサ」「アオイ、アイアイガサ」……。1月9日午後、我孫子市の国道6号に近い我孫子北近隣センター会議室から大きな声が聞こえてきた。2月6日に朗読劇を控え、昨年暮れから続く「樹々の会」(萩野谷肇子代表)の稽古だ。

 

 

写真上:稽古に励む朗読グループ「樹々の会」の会員(我孫子北近隣センター並木本館)

 

 


「アイアイガサ」は音読に入る前の発声練習だという。「椅子によりかからないで」「大きな声でないと皆に届かないよ」。誰からとなく声が飛ぶ。皆、真剣な表情だ。

 

 

2017(平成29)年に結成された「樹々の会」は翌年から朗読会を始めた。メンバーは70代の男女5人。コロナ禍などで中止したこともあったが、今年で6回目を迎える。

 

 

写真左から:妹・タキ役の相馬みつ子さん / 妻・松子役の萩野谷肇子さん / 語り手の秋田桂子さん / 店子役の工藤憲二さん / 妾・駒代役の工藤葉子さん

 

 

 

昨年、橋で出会った蒔絵師、飲み屋の酌取りの男女を描いた藤沢周平の「川霧」など、これまでは藤沢作品がテーマだった。今回は「恍惚の人」「複合汚染」などで社会派ともされる有吉佐和子原作の「三婆」に挑戦する。

 

 

金持ちの会社社長が急死し、残された家屋敷に妻、妾、夫の妹(義妹)の3人が同居する物語。妾と義妹を追い出したい妻、料理屋を出すまで居候を決め込む妾、遺産相続を狙う義妹……。

 

 

思惑が絡み、いがみ合う奇妙な三角関係だが、同居するうちに微妙な変化が生じ、身寄りのない3人の「老い」も浮かんでくる。

 

 


写真上:朗読会の案内チラシ

 

 

朗読会プログラム
【三番叟】
  日本の伝統芸能~若月仙之助(日本舞踊「若月流」二代目家元)
【歌舞伎役者の隈取り】
  若月仙之助の実演
【朗読劇】
  「三婆」~我孫子版~有吉佐和子原作 秋田桂子脚色
  配役:妻・松子  萩野谷肇子
     妾・駒代  工藤 葉子
     妹・タキ  相馬みつ子
     店子の男  工藤 憲二
     語り手   秋田 桂子
     伴奏    上野 高史

 

 

 

昭和30年代後半の東京が舞台だが、人形劇団「くさぶえ」でも活動し、今回、語り手を務める秋田桂子さんが現代の我孫子に設定する脚色をした。

 

 

我孫子の地名やJR常磐線、さらに着物をリメークする「SDGs」(エス・ディー・ジーズ=持続可能な開発目標)なんて台詞も飛び出す。

 

 

当日は午後2時から我孫子市在住の日本舞踊若月流家元・若月仙之助さんが、紋付き袴姿で祝いと願いの素踊り「三番叟」(さんばんそう)を披露したり、歌舞伎役者独特の化粧法「隈取り」を実演したりの後、休憩を挟んで「三婆」となる。

 

 

男女5人の中で唯一男性の工藤憲二さんは「男役がいないので」と誘われ、妻の葉子さんとともに参加した。「与えられた役をこなせるようになると嬉しいし、楽しい」と話した。

 

 

伴奏のギタリスト上野高史さんは、いろんな音楽シーンを提供するアダチ音研(本社・横浜)の「GUITAR(ギター)の東大」代表。「朗読劇の伴奏は初めてだが、面白そうで楽しみだ」と稽古にアコーステックギターを持参した。

 


写真上:ギタリスト上野高史さん

 

 

 

台詞に合わせて「人生いろいろ」(島倉千代子)、「川の流れのように」(美空ひばり)、「恋のフーガ」(ザ・ピーナッツ)など昭和の名曲を弾く。

 

 

萩野谷代表は「本を読む時に文字を目で追うより、声を出して読んだほうが、本の内容が心に入り、作者とつながるような気がする」と朗読の価値を実感。「演劇のように動きがない、朗読だけの劇を観てほしい」という。

 


写真上:若月仙之助さん演じる歌舞伎舞踊「鏡獅子」

 


写真上:歌舞伎役者の化粧「隈取り」途中の若月さん/歌舞伎舞踊出張イベント・亀鶴屋提供

 

 

 

有吉の「三婆」は1961(昭和36)年に発表され、1974(同49)年の映画化で妻・三益愛子、妾・小暮実千代、義妹・田中絹代らが演じたほか、舞台、TVドラマも制作され、毎回のように名高い俳優が登場している。

 

 

期せずして東京・新橋演舞場で「樹々の会」朗読劇の2月6日を挟む同1日~9日、二月新派喜劇公演「三婆」があり、水谷八重子、波乃久里子、渡辺えりが出演する。

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

季節外れの「大寒」入り
里山に公園に息吹く草花

――1月20日から暦の上では1年で最も寒いとされる「大寒」に入った。北国では10年に一度? とかの豪雪に見舞われ、あちらこちらから雪害も伝えられている。

 

 

「大寒」の初日、東葛エリアで唯一アメダス(地域気象観測システム)がある我孫子の最高気温は平年より5.6度高い14.2度。同21、22、23日とも4日続いて12度を超す3月中旬並みの陽気が続いた。

 


季節外れの暖かい天気で里山や公園では早春の草花が顔を出し始めた。我孫子市では民家の庭にあるロウバイが満開となり、塀を越えて歩道まで花枝を伸ばしていた。

 

 

写真上:春のような日差しの中で満開のロウバイ(柏市のあけぼの山農業公園)

 

 

 

柏市旧沼南町地区の日当たりのよい田園の畦や畑道ではオオイヌノフグリ、ホトケノザが小さく可憐な花を咲かせる。

 

 

 

写真上:オオイヌノフグリ(柏市高柳)

 

 

 

写真左:ホトケノザ(柏市箕輪)
写真右:シバザクラ(柏市箕輪)

 

 

 

四季の草花が楽しい柏市あけぼの山農業公園の園路でもロウバイやスイセンが咲き誇る。
入園者らは足を止めて、スマホで写真を撮っていた。

 

 

写真上:スイセン(柏市のあけぼの山農業公園)

 

 

同園内にある25種、約100本の梅林はまだ蕾が硬い。が、隣接する布施弁天(東海寺)西側の安産不動明王の白梅がほころび始めていた。

 

 

 

写真上:ほころび始めた白いウメ(柏市布施下)

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)