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3月

     3月

第21回鎌ヶ谷市美術展覧会

開 催 2024年3月3日(日)~同10日(日)
時 間 10時~17時(最終日16時まで)
場 所 きらり鎌ヶ谷市民会館(ショッピングプラザ鎌ヶ谷3階)
鎌ヶ谷市冨岡1-1-3
☏046-441-3377
主 催 鎌ヶ谷市美術展覧会実行委員会
入場料 無料


春なのにまたも雪   

取材日 2024年3月8日(金)
場 所 柏市
    我孫子市

書道サークル「華の会 むらさきの会」合同書展

開 催 2024年3月12日(火)~同24日(日)(12日は13時から、24日は14時30分まで)
場 所 我孫子市生涯学習センター「アビスタ」 1階ストリートギャラリー
    我孫子市若松26-4
☏04-7182-0515
主 催 書道サークル「華の会」「むらさきの会」
入場料 無料


 

旧吉田家住宅 春の写真展

開 催 2024年3月13日(水)
~同4月29日(月祝)
9時30分~16時30分
(最終日は12時まで、月曜休園)
場 所 旧吉田家住宅歴史公園 新倉     柏市花野井974-1
    ☏04-7135-7007
主 催 柏市みどりの基金
協 力 柏写楽会
入場料(入園料)210円 60歳以上110円 大学生以下無料


市民の作品が一堂に
鎌ヶ谷市美術展覧会

――鎌ヶ谷市民が取り組む絵画、工芸、写真の作品が一堂に集まった。新京成線初富駅前の「きらり鎌ヶ谷市民会館」で3月3日から始まった「第21回鎌ヶ谷市美術展覧会(鎌ヶ谷市展)。

 

 

写真上:出品が多かった絵画の部会場

 

 

 

会場には公募や鎌ヶ谷市美術家協会(白戸昭会長、会員70人)会員らの創作意欲あふれる100点が展示された。

 

 

初富駅前からエスカレーターを乗り継いで上がった「ショッピングプラザ鎌ヶ谷」3階にある同市民会館。入り口に「市展」と染め抜いたのぼり旗がはためく。

 

 

会館内に中に入ると、六つの学習室に和室、集会室、540席の「きらりホール」などがある施設の広いロビーから展示が始まった。

 

 

写真上:力作が並んだ写真の部会場(左)、鎌ヶ谷市展の案内葉書

 

 

 

入り口正面に絵画の部、右側に写真の部の作品が並ぶ。30号大の絵画、大きく引き伸ばされた写真は地元の風景、人物、草花など鮮やかな色合いの中に優しい自然の光陰を感じさせる。

 

 

出品が最も多い絵画は左奥の集会室まで続く。会場フロアがパーテーションで仕切られ、壁際と向かい合わせの展示がギャラリー感を高め、作品群を際立たせる。

 

 

工芸の部は集会室隣の学習室6で焼き物を中心に、オブジェなどがテーブル、床に飾り付けられていた。

 

 

写真上:大小さまざまな作品が並んだ工芸の部会場

 

 

 

「市展」の主催は同美術家協会や鎌ヶ谷市教育委員会などによる実行委員会。事務局を務める三上純一さんは「市内の作家による作品を広く市民に観てもらおうと、2004(平成16)年から始まった」という。

 

 

実行委員長でもある白戸・市美術家協会長は「21回目を迎える市展は市民に定着してきた。この市展が鎌ヶ谷市の文化・芸術の発展につながり、市民相互の絆を深める行事になることを願っている」という。

 

 

写真上:鎌ヶ谷市展実行委員会の白戸昭・鎌ヶ谷市美術家協会会長(左から2人目)ら実行委のスタッフ

 

 

 

現在の会員は20~80代と幅広いが、70代が中心だ。三上さんは「最近の若い人を中心にアクリル画や版画も出品されている。描法も多様化して新感覚の作品もぜひ市展に参加してほしい」と呼びかけている。

 

 

12月5日から同11日、同じ会場で鎌ヶ谷市美術家協会展も予定されている。

 

 

【絵画の部】

 

 

写真上:市展賞(公募)「狙う(ねらう)」(岩井佳代子)

 

 

 

 

写真上:市議会議長賞(公募)「平穏」(初澤麻知子)

 

 

 

 

写真上:会員優秀賞「朝の光」(大塚恒順)(左)、会員優秀賞「忍野村茅葺民家」(小林拓治)

 

 

 

 

写真上:会員優秀賞「江戸川河畔・七月」(三上純一)

 

 

 

 

写真上:奨励賞(公募)「フランスの美しい村」(泉紀代)(左)、奨励賞(公募)「駱駝」(川路まゆみ)

 

 

 

 

写真上:奨励賞(公募)「春」(近藤八重子)(左)、奨励賞「鎌ヶ谷市中沢の春」(中込賢次)

 

 

 

【工芸の部】

 

 

写真上:市展賞(公募)「大地の息吹」(西村幹則)

 

 

 

 

写真上:教育長賞(公募)「龍(たつ)」(松永政子)

 

 

 

 

写真上:会員優秀賞「符玄(ふげん)」(土方洪子)(左)、奨励賞(公募)「掻き落とし四角柱」(坂口健一)

 

 

 

【写真の部】

 

 

写真上:市展賞「演出」(田中時雄)

 

 

 

 

写真上:市長賞(公募)「夏の終宴」(佐々木裕基)

 

 

 

 

写真上:会員優秀賞「何処へ(いずこへ)」(佐々木明美)(左)、奨励賞(公募)「ねぐらに向かって」(西村昭二)

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

再びの淡雪
早朝に景色一変

 

――3月8日早朝、部屋のカーテンを明けたら一面、雪景色だった。冬ごもりの虫が春を感じてはい出る「啓蟄」が過ぎ、本格的な春を迎える淡雪のようでもある。

写真上:一夜で雪景色になった住宅街(我孫子市)

 

 

 

記憶では2月5日に次いで今年2回目の雪と思う。そういえば、前夜の天気予報で我孫子に大雪、積雪注意報が出ていた。伊豆諸島の南で発生した低気圧の影響で降っていた雨が同8日未明、雪に変わった。

 

 

民家の屋根は薄化粧をしたようになり、綿帽子の庭木が並ぶ通学路を傘姿の小学生らが登校していた。郊外では雪をかぶった畑が白黒の水墨画のような世界を演出し、公園の草花が寒そうにしていた。

 

 

写真上:雪に覆われた車のフロントガラス(我孫子市) (左)、雪が雨に変わった朝、傘を差して登校する小学生(我孫子市)

 

 

 

雪はお日様が少し顔を出した午後にはすっかり溶け、消えた。

 

 

県内を網羅するアメダス(地域気象観測システム)観測所は18か所にあり、東葛エリアは我孫子にある。同8日の最低気温は-0.2度で18か所の中で唯一マイナスだった。やはり雪が積もった2月5日も-0.6度だった。

 

 

写真上:モノトーンとなった郊外の畑(柏市)

 

 

 

今年は特に激しい寒暖差を感じる。2月に最高気温が20度を超える日もあったが、3月は1日の15.2度が最も高く、降雪の8日が6.5度で最も低かった。

 

 

 最高気温差だけでなく、その日の最高、最低気温差が7度以上あると、倦怠感、頭痛、肩こりなどの気象病「寒暖差疲労」という症状がでる場合があるという。 

 

 

写真上:育ち盛りのネギも寒そうだ(柏市)(左)、雪をかぶったビオラは懸命に咲き続けていた(柏市のあけぼの山農業公園)

 

 

 

「三寒四温」の時節柄、体内サーモスタットも狂いがちになるようだ。体調には気をつけよう。

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

通路を飾る毛筆アート
我孫子の2書道サークル

 

――我孫子市民の書道サークル「華の会」と「むらさきの会」の合同書展が3月12日から同市生涯学習センター「アビスタ」で始まった。全紙の「大作」から色紙大の作品24点が1階通路のギャラリーを飾った。

写真上:「アビスタ」1階通路を飾った書展

 

 

 

同市文化連盟の書道講座で、市内の書家松井紫華(本名・栄子)さん(84)の教えを受けた参加者のサークル。松井さんの指導を受けながら「華の会」はアビスタ、「むらさきの会」は湖北地区公民館「コホミン」などで活動している。

 

写真:手書きによる葉書大の案内文

 

 

 

 

会員は合わせて40~80代の12人。これまで個々の会場で書展を開いてきたが「お互いの作品を持ち寄って、皆さんに観てもらおう」と今回、アビスタ1階通路の壁面を使ったギャラリースペースで初の合同展となった。

 

 

 

 

会場に掲示された墨字の「御挨拶」に「むらさきの会」は5年、「華の会」が8年、それぞれ活動を続けているとあった。「各々が好きな書体や題材を選んで書き上げた作品です。まだまだ未熟ですが、楽しい雰囲気の中で切磋琢磨し、励んでいます」

 

 

大きな掛け軸を額に見立てて漢詩をしたためた半紙9枚を貼り付けたり、半切や半紙に短歌や偉人の名言をしなやかに、そして豪快なタッチで仕上げたり。

 

 

「月日は百代の過客にして……」で始まる松尾芭蕉の「奥の細道」をテーマしたものもあった。どれをとっても同じ書体はないし、バラエティーに富んでいる。

 

 

中でも中国の南北朝時代、文字を覚えるために生まれ、日本に伝わって書道の手本とされる「千字文」に目を奪われた。千の異なる漢字が規則正しく、丁寧に楷書、草書に書き分けられた2点。

 

 

写真上:楷書(右)、草書の「千字文」 石川昭安

 

 

 

写真上:規則正しく書き込まれた草書の「千字文」

 

 

 

 

 

出品者は「むらさきの会」の石川昭安さん(84)。4年前から書を始めたという石川さんは「素人だからうまく書こうと思わず、ゆっくり1日2時間ぐらいかけた。仕上がるまで1週間かかったかな」という。他にも半切や半紙などとともに、良寛の詩を「白抜き」にした作品など計7点を出している。

 

 

写真上:白抜きの書 石川昭安

 

 

 

 

書は白地に黒墨の文字が一般的だが「白抜き」は文字通り、黒地に白抜き文字の作品。専用の液体で文字を書き、乾かしてから裏面に黒墨を塗ると、文字が浮き上がるアート作品だ。

 

 

 

指導者の松井さんは1女2男の母親。子どもたちが小中学生の頃、PTA役員をしていて、筆耕してもらっていた卒業式の謝辞や総会時の式次第を自分でやりたいと思って書道を始めた。地元の書家らに習い、今は書道白海社の師範。市内の4カ所で書道教室を抱えている。

 

写真:作品を紹介する松井紫華さん

 

 

松井さんは「楽しい雰囲気の中で上手い、下手より、半紙からはみ出るくらい元気なものを求めている。私自身、大人しい感じなので」と笑った。

 

 

そして「年上の方がいたり、観たことのない書体を持ってこられたりでプレシャーがかかることもある。でも皆さんに支えられてここまで来た。書はもう生きがい」と話した。

 

 

会場に置かれた見学者ノートに「皆さんの熱心さが伝わる作品ばかり」「すばらしい作品の数々……。気持ちが引き締まります」「書道の奥深さを感じました」などと書かれていた。

 

 

 

 

 

 

写真上:鈴木いく子(左)、佐藤啓子(中央)、田端順子(右)

 

 

 

 

写真上:磯崎喜美枝(左)、石井香子

 

 

 

 

写真上:小畑知子(左右)

 

 

 

 

写真上:佐久間恵子(左)、飯田篤子(中央)、亀田厚子(左)

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

旧吉田家住宅の四季
江戸時代の蔵で写真展

――江戸時代から豪農、商家、士分格の旧吉田家の新蔵で「旧吉田家住宅 春の写真展」が3月13日から始まった。歴史と重厚感のある蔵で旧吉田家住宅歴史公園の四季や風景写真がスポットライトに浮かんだ。

 

 

写真上:板倉構法の薄暗い蔵に飾られた作品

 

 

 

地元の写真愛好グループ「柏写楽会」(田辺信夫会長)が作品を提供した。旧吉田家住宅をテーマにしたものと自由作品を会員ら11人が1人4~5点の計48点を出品した。

 

 

写真上:作品を説明する田辺信夫会長(左)ら「柏写楽会」のスタッフ(左)、会場入り口に掲げられたのれん

 

 

 

新蔵は1833(天保4)年に造られた柱に溝を入れて厚板を挟み込む伝統の板倉構法で、元は農機具等が仕舞われていた。窓がない薄暗い空間だが、四方の壁際に作品を飾り、ライトを当てた。

 

 

旧吉田家住宅は築後200年という茅葺の主屋や書院、玄関口となる長屋門に新蔵など8棟がある。吉田家から寄付を受けた柏市が公園化し、2009(平成21)年に開園した。8棟が国の重要文化財、庭園と屋敷林が国の名勝に登録されている。

 

 

写真上:展示品をじっくり鑑賞する入場者

 

 

 

「柏写楽会」は「利根河原の詩」などの写真集で知られる柏市の写真家猪又かじ子さんの指導を受けている。定期的に旧吉田家住宅の長屋門にある東蔵に集まって例会を開いている縁もあって、2015(平成27)年から春秋2回、写真展を開くようになった。

 

 

写真上:旧吉田家住宅「芽吹く頃」(左)、「冬支度」(講師・猪又かじ子)

 

 

 

春の写真展では作品の半数は旧吉田家住宅がテーマ。春の桜や新緑、秋の紅葉、雪化粧の庭園など同歴史公園の四季が紹介されている。自由作品では旅先の風景、自然が織りなす幾何学的な光景など会員の感性が反映された作品だ。

 

 

写真上:旧吉田家住宅「晩秋のひととき」(高瀬崇代)

 

 

 

登山好きの数人が山、野、花などに出合う山の素晴らしさを知ってもらおうと結成した「山岳写真協会」が「柏写楽会」の前身。1999(平成11)年に第1回写真展を開催しているが、2011(平成23)年に今のグループ名に改名した。

 

 

会員は50~80代の15人で平均78歳。田辺会長は高校時代、修学旅行で訪れた京都の景色や舞妓の写真がうまく撮れ、評判がよかったのがきっかけで写真にはまった。

 

 

写真上:自由作品「下栗の里(全景)」(飯田市上村下栗、田辺信夫)(左)、自由作品「氷の世界」(東京・代々木、桜田禎子)

 

 

 

「好きだった車のドライブ先でも写真を撮るようになった。訪れた場所の記録になっていて、写真を観ながら撮影当時を思い出すもの楽しい」

 

 

写真上:自由作品「未知に向かって」(ビックサイト、中村喜重)(左)、自由作品「ローカル線」(目崎、尾崎拓雄)

 

 

 

花の写真を出品した星野幸蔵さんは、写真を印刷物にする「写植」の仕事をしていた頃、田辺会長と知り合い、カメラも始めた。「楽しみや健康のためだが、今では生きがいかな。会の活動はふれあいを大事にしている」という。

 

 

写真上:旧吉田家住宅「花時」(野崎吉正)(左)、旧吉田家住宅「垣根越しのモクレン」(星野幸蔵)

 

 

 

松丸正さん、きくさんは夫婦で会員だ。正さんは高校の時、北海道で農作業する女性の写真を撮って、地元新聞に掲載されたこともある。きくさんは正さんの撮影旅行に同行しているうち、自分でもカメラを手にするようになった。

 

 

写真上:旧吉田家住宅「朝もやの庭」(松丸正)(左)、旧吉田家住宅「こころ和む」(松丸きく)

 

 

 

会場を提供する旧吉田家住宅歴史公園の渡邉健二園長は「展示されている四季折々の写真を通じて公園の魅力を感じ、違う季節にも公園を訪れて頂けるきっかけになれば」と期待する。

 

 

写真上:自由作品「秋の彩り」(北柏ふるさと公園、飯本寿代)

 

 

 

今年10月には「秋の写真展」となる「柏写楽会」の第27回写真展が計画されている。

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

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