市民目線の柏の自然
生きもの巡回写真展
――柏市民が撮影した地元の自然環境や生物の写真を集めた巡回写真展「柏の自然風景と生きもの」が12月15日まで柏市文化・交流複合施設「パレット柏」など市内3か所で開かれた。
柏市と協働して環境問題に取り組む市民のNPO法人「かしわ環境ステーション」(KKS=事務局・柏市南部クリーンセンター)が主催した。
■写真左:三方から光が差し込む柏の葉公園のギャラリー
■写真右:巡回写真展のポスター・チラシ
県立柏の葉公園・公園センターにある「緑のギャラリー」では12月3日から始まった。会場はイチョウなど紅葉した園木に囲まれ、三方のガラス窓からやさしい光が差し込む。
風景、動植物、昆虫類を季節、種類別に分けた大型パネル19枚が展示品だ。7月からの公募で集まった市民の200点を超す作品の中から選別し、男女17人の写真をパネル1枚当たり2~10枚に収めた。
■写真上:あけぼの山と竹林の春の風景パネル
春のあけぼの山農業公園のチューリップ畑や竹林の中で育つタケノコ、深緑に覆われた夏の里山、秋の夕暮れなど美しく、見事な風景をとらえた玄人はだしの作品も多い。
■写真上:夏の大根切谷津の奥
■写真上:秋の高柳の田園
季節の草花や野鳥、昆虫類もスマホらしきものから専門的な望遠、接写できるレンズを使ったカメラによる高度な撮影技術がうかがえた。
■写真上:気象大学校内での落ち葉拾い
■写真左:春のフテリンドウ
■写真右:春のホトケノザ
■写真左:初夏のノアザミ
■写真右:夏のキツネノカミソリ
KKSには生物多様性部会、温暖化対策部会があり、それぞれ環境講座や自然観察会などを開催している。生物部会は「柏の自然と生きものフェスタ2024」の一環としての巡回写真展を受け持つ。
■写真上:秋のヤクシソウ
■写真左:木の花・シチク
■写真右:木の実・シロダモの実
北部の利根運河周辺や南部の増尾城跡、東の手賀の丘公園などのエリアをホットポイントとし、今年4月から5月に開いた「柏の自然観察連続講座」のフィールドワークの拠点にしている。
12月8日には柏市教育福祉会館「ラコルタ柏」で、元千葉県立東葛高校教諭で,NPO法人・自然観察大学学長の浅間茂さんによる「手賀沼の昔・今・未来―生態的な視点から」と題した講演会も開かれた。
■写真上:季節の鳥
■写真上:水辺の鳥
■写真上:クモなどの昆虫パネル
「手賀沼にそそぐ川は谷津をつくり、水辺となる。市街地のビル群は自然界でいえば崖。柏は自然環境も生物も多様なんです」とKKS生物多様性部会長の柄澤保彦さん。本来なら山の断崖で営巣するハヤブサがビルの一角で観察されたこともあるという。
巡回写真展はかつて市の環境調査でスタッフが撮影したり、市外からの写真を使ったりしていたが、今は公募した柏市民の作品に限っているという。
■写真左:アブラゼミの羽化
■写真中央:シロホシテントウ
■写真右:ルリタテハ成虫
柄澤さんは「柏市民が地元の自然や生き物を撮ることに意味がある。撮影を通じて再発見することもあるでしょう。それで郷土愛がより深まれば」と期待している。
(文・写真 佐々木和彦)