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12月

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柏の自然と生きものフェスタ2024 巡回写真展
「柏の自然風景と生きもの」

開 催 2024年11月29日(金)~同12月2日(月)
場 所 柏市文化・交流複合施設「パレット柏」

開 催 12月3(火)~同8日(日)
場 所 柏の葉公園・緑のギャラリー

開 催 12月10(火)~同15日(日)
場 所 柏市教育福祉会館「ラコルタ柏」のオープンスペース

時 間 いずれも9時~17時
(初日10時から、最終日15時まで)
主 催 NPO法人・かしわ環境ステーション
入場料 無料

画家 小松崎茂展
―生誕110周年記念―

開 催 2024年12月20日(金)~同28日(土)
時 間 10時~19時
    (最終日18時まで)
場 所 柏市文化・交流複合施設
   「パレット柏・市民ギャラリー」
    柏市柏1-7-1-301号
   (Day Oneタワー3階)
共 催 小松崎茂ONLINE美術館、パレット柏
後 援 柏市、柏市教育委員会、(株)千葉日報社
入場料 無料


市民目線の柏の自然
生きもの巡回写真展

――柏市民が撮影した地元の自然環境や生物の写真を集めた巡回写真展「柏の自然風景と生きもの」が12月15日まで柏市文化・交流複合施設「パレット柏」など市内3か所で開かれた。


柏市と協働して環境問題に取り組む市民のNPO法人「かしわ環境ステーション」(KKS=事務局・柏市南部クリーンセンター)が主催した。

 

 

写真左:三方から光が差し込む柏の葉公園のギャラリー
写真右:巡回写真展のポスター・チラシ

 


県立柏の葉公園・公園センターにある「緑のギャラリー」では12月3日から始まった。会場はイチョウなど紅葉した園木に囲まれ、三方のガラス窓からやさしい光が差し込む。

 

 

風景、動植物、昆虫類を季節、種類別に分けた大型パネル19枚が展示品だ。7月からの公募で集まった市民の200点を超す作品の中から選別し、男女17人の写真をパネル1枚当たり2~10枚に収めた。

 


写真上:あけぼの山と竹林の春の風景パネル

 

 

 

春のあけぼの山農業公園のチューリップ畑や竹林の中で育つタケノコ、深緑に覆われた夏の里山、秋の夕暮れなど美しく、見事な風景をとらえた玄人はだしの作品も多い。

 


写真上:夏の大根切谷津の奥

 


写真上:秋の高柳の田園

 

 

 

季節の草花や野鳥、昆虫類もスマホらしきものから専門的な望遠、接写できるレンズを使ったカメラによる高度な撮影技術がうかがえた。

 

 

写真上:気象大学校内での落ち葉拾い

 

 

写真左:春のフテリンドウ
写真右:春のホトケノザ

 

 

 

写真左:初夏のノアザミ
写真右:夏のキツネノカミソリ

 

 

 

KKSには生物多様性部会、温暖化対策部会があり、それぞれ環境講座や自然観察会などを開催している。生物部会は「柏の自然と生きものフェスタ2024」の一環としての巡回写真展を受け持つ。

 

 

写真上:秋のヤクシソウ

 

 

写真左:木の花・シチク
写真右:木の実・シロダモの実

 

 

 

北部の利根運河周辺や南部の増尾城跡、東の手賀の丘公園などのエリアをホットポイントとし、今年4月から5月に開いた「柏の自然観察連続講座」のフィールドワークの拠点にしている。

 

 

12月8日には柏市教育福祉会館「ラコルタ柏」で、元千葉県立東葛高校教諭で,NPO法人・自然観察大学学長の浅間茂さんによる「手賀沼の昔・今・未来―生態的な視点から」と題した講演会も開かれた。

 

 

写真上:季節の鳥

 

 

写真上:水辺の鳥

 

 

写真上:クモなどの昆虫パネル

 

 

 

「手賀沼にそそぐ川は谷津をつくり、水辺となる。市街地のビル群は自然界でいえば崖。柏は自然環境も生物も多様なんです」とKKS生物多様性部会長の柄澤保彦さん。本来なら山の断崖で営巣するハヤブサがビルの一角で観察されたこともあるという。

 

 

巡回写真展はかつて市の環境調査でスタッフが撮影したり、市外からの写真を使ったりしていたが、今は公募した柏市民の作品に限っているという。

 

 

写真左:アブラゼミの羽化
写真中央:シロホシテントウ
写真右:ルリタテハ成虫

 

 

 

柄澤さんは「柏市民が地元の自然や生き物を撮ることに意味がある。撮影を通じて再発見することもあるでしょう。それで郷土愛がより深まれば」と期待している。

 

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

昭和・平成の少年に夢
多才な「小松崎ワールド」

 

写真上:会場いっぱいに作品が展示された

 

 

――新聞小説の挿絵から軍艦、戦闘機、宇宙船、街角スケッチ……。ジャンルを問わない絵画やデザイン画で一世を風靡(ふうび)した画家・イラストレーター小松崎茂(1915―2001)の生誕110周年を記念した「画家 小松崎茂展」が12月20日から「パレット柏・市民ギャラリー」で開かれた。

 

 

写真左:小松崎茂展のポスター・チラシ
写真右:ONLINE美術館の案内チラシ

 

昭和・平成の少年にとってはプラモデルの箱に描かれた戦艦大和やゼロ戦、戦車などの絵でお馴染みだ。テレビで放映されたSF人形劇「サンダーバード」の宇宙船や空想上の宇宙ステーションなどを描き、少年らの心躍る世界を創出した。

 

 

 

写真左:会場を案内する孫娘の小松﨑憲子さん、稔さん夫妻
写真右:アトリエで制作する在りし日の小松崎茂

 

 

 

少年雑誌用に描いていた飛行機や艦船、戦記物など1950(昭和25)年代の絵物語から海底都市や宇宙戦争などメカニックファンタジーの1980(昭和55)年代、1930(昭和5)にスケッチした東京の街並みを80年代に描き直した作品が並ぶ。

 

 

 

写真上:想像の近未来の作品を観る入場者

 

 

 

写真上:「ゼロ戦の一生」(1968年、週刊少年マガジン)

 

 

 

写真上:「日本の名戦闘」(1963年、別冊少年サンデー)

 

 

 

写真上:「戦艦大和の最期」(1972年)

 

 

 

写真上:「戦艦ミズーリ/キングジョージ五世」(1972年、ワイオルドムック3 帝国連合艦隊-世界の軍艦シリーズ)

 

 

 

写真上:「潜水艦伊400」(1977年、カレンダー)

 

 

 

 

 

写真上:「偉大なる王(ワン)」(1969年、少年少女世界の文学)

 

 

写真上:「宇宙コロニーの建造」(1982年、メカニックファンタジー)

 

 

 

写真上:「レスキュータワー」(1980年、メカニックファンタジー)

 

 

 

写真上:「はてしない宇宙へ」(1982年、メカニックファンタジー)

 

 

 

樹林をテーマに「樹影-朝-」「樹影-夕-」と名付けた珍しい油絵(いずれも1978〈昭和53〉年)2点も展示されている。

 

 

写真左:「小松崎茂生家」(1980年代、30年代のスケッチを基に描き直し 作品)
写真右:「吾妻橋」(同)

 

 

 

写真上:「樹影-朝-」(1978年、油絵)

 

 

 

小松崎の著作権継承者となり「小松崎茂ONLINE美術館」(https://shigerukomatsuzaki.com/)を開設する孫娘の小松﨑憲子さん、夫の稔さんが総合映像プロダクション「東北新社」(本社・東京)、大手出版社「講談社」(同)、老舗の「松本徽章工業」(同)の協力を得て原画110点を集めた。

 

 

会場には「昭和の少年」らを中心に初日から大勢が訪れ、小松﨑夫妻が対応に追われていた。

 

 

小松崎は東京・南千住生まれ。当初は花鳥画を目指すが、途中から挿絵画家小林秀恒(1908―1942)に師事し、新聞小説の押絵でデビュー。その後、戦記物やSFの絵で評判となり、戦後は少年雑誌の表紙や押絵で人気を博した。

 

 

1951(昭和26)年の結婚と同時に当時の柏町(現柏市)に新居を建て、南千住から越してきた。

 

 

写真上:「ぼうけんビーバー」(1952年代、幼年クラブ)

 

 

 

写真上:「人間の知恵の歴史-あの王者を打て! 大ジカの群れをおそう原始人」(1956年、小学五年生)

 

 

ずっと同居してアトリエで絵を描く姿を見てきたという憲子さんは「とにかく絵を描くのが好きな人だった。そして人も好きで、出入りの編集者らが来るとポテトサラダやカレーをつくって振る舞うやさしい人でもあった」という。

 

 

柏での個展は、小松崎が生前の今から30年前、柏市民ギャラリーが柏高島屋ステーションモールにあったころに開催した以来という。

 

 

稔さんは「都内では共同展のようなものをやっていたが、茂だけの個展をやりたいと思っていた。その時代にはなかったものを空想しながらゼロから描き出す。その原画には素晴らしいだけでは語り尽くせないものがある」と評した。

 

 

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)