ミュージアムINFO

11月

     11月

ジャパンバードフェスティバル(JBF)2024

開 催 2024年11月2日(土)~同3日(日)
時 間 9時30分~16時
    (11月3日は15時まで)
場 所 我孫子市生涯学習センター「アビスタ」、手賀沼親水公園・水の館、オオバン広場、鳥の博物館、山階鳥類研究所
主 催 ジャパンバードフェスティバル実行委員会
協 賛 我孫子ロータリークラブ、我孫子市ライオンズクラブ、NEC我孫子事業場、中央学院大学、川村学園女子大学、我孫子ゴルフ倶楽部、あびこショッピングプラザ専門店会、シミズメガネ、シーズスペース・ヌック、名戸ヶ谷あびこ病院など(順不同)
後 援 環境省、文部科学省、国土交通省、千葉県、北海道羽幌町、同釧路市、同美唄市、新潟市、茨城県牛久市、同守谷市、同取手市、千葉市、松戸市、柏市、日本鳥学会、電力中央研究所、日立柏レイソル、麗澤大学、我孫子市文化連盟など(順不同)
入 場 無料

柏市制施行70周年記念式典

開 催 2024年11月16日(土)
場 所 アミュゼ柏クリスタルホール
    柏市柏6-2-22
    ☏04-7164-4552
時 間 10時30分~12時
主 催 柏市


諏訪時夫・諏訪文枝
水彩画二人展
  

開 催 2024年11月19日(火)から同24日(日)
場 所 流山市南流山センター1階ロビーギャラリー
    流山市南流山3-3-1
    ☏04-7159-4511
時 間 9時~21時
    (初日は12時から、最終日は15時まで)
主 催 諏訪時夫、諏訪文枝


柏シルバー写真同好会
第25回写真展
  

開 催 2024年11月21日(木)~同24日(日)
時 間 10時~17時
    (初日13時から)
場 所 柏市文化・交流複合施設「パレット柏・市民ギャラリー」
    柏市柏1-7-1-301号
   (Day Oneタワー3階)
主 催 柏シルバー写真同好会
後 援 柏市教育委員会
入場料 無料


雨の船上観察で野鳥24種
「観て」「聴く」バードフェス

――「人と鳥の共存を目指して」がテーマの「ジャパンバードフェスティバル(JBF)2024」(山階鳥類研究所、日本野鳥の会千葉県、我孫子野鳥を守る会、日本バードカービング協会、我孫子市などによる実行委員会主催)が11月2、3両日、我孫子市の手賀沼湖畔で開かれた。

 

 

写真左:双眼鏡を手に船上バードウオッチングを楽しむ乗客
写真右: JBFのポスター・チラシ

 

 

 

雨となった初日、手賀沼公園の遊覧船で野鳥を観察する「船上バードウオッチング」があった。第1船のガイドを務める「我孫子野鳥を守る会」の田中功幹事は「この雨だからね。鳥にはよくない。どれだけ観察できるか……」と心配顔だった。

 

 

写真左:船上バードウオッチングガイドの田中功さん
写真右:湖上の杭で辺りをにらむミサゴ

 

 

 

午前10時15分発の遊覧船に地元を始め東京、埼玉、神奈川からの15人が双眼鏡を手に乗り込んだ。乗客を前に田中さんは「雨の風情を楽しみながらどれだけの鳥が観られるか。我々としても貴重な体験です」と船の左右に目をやった。

 

 

するとすぐにカワウの群れが出迎えるように姿を見せた。岸辺近くではカルガモが船に驚いたように飛び立ち、枯れたヨシ原に白いコサギやアオサギ、ダイサギがいた。水面をオオバンやカイツブリが泳ぎ、船の回りをユリカモメやトビが飛び回る。

 

 

湖上の杭には濡れた羽根を乾かすように翼を広げるカワウ、生魚しか食べず「空飛ぶ漁師」ともいわれるミサゴが辺りを伺うようにとまっていた。セグロカモメ、イソシギなども姿を見せた。乗客は左舷に右舷にと忙しく双眼鏡を向け、確認した。

 

 

1時間余りの遊覧で計24種の野鳥が観察できた。ガイドの田中さんは「最後になってパタパタと色んな鳥が観られてホッとしている。雨の割には楽しめたね」と締めくくった。

 

 

写真上:杭にとまって翼を広げるカワウ(左)、船上を飛び交う2羽のトビ

 

 

 

手賀沼公園の一角にある我孫子市生涯学習センター「アビスタ」1階のストリート壁面では「鳥に魅了されたアーティストたち」(日本ワイルドライフアート協会)の鳥にちなんだ水彩、アクリル、鉛筆画の絵や木彫、染め物など作品14点が展示された。

 

 

写真上:「鳥に魅了されたアーティスト」展(アビスタ1階)

 

 

 

写真上:宮武正則さんの「トキ」(木彫り、アーティスト展)

 

 

 

写真左:筧守さんの「ツルシギ」(アクリル画、アーティスト展)
写真右:松田蘭子さんの「クロサギ」(日本画、アーティスト展)

 

 

 

2階の学習室では日本バードカービング協会会長で、我孫子在住の野鳥彫刻家、内山春雄さんのバードカービング教室に通う生徒の作品が飾られた。第25回全日本バードカービング・コンテスト(10月25~同30日、東京都美術館)の出品作品でもある。最優秀賞の大賞など入賞作品が紹介された。

 

 

写真上:第25回全日本バードカービング・コンクール大賞 麻薙俊文さんの「ウズラ」

 

 

写真上:第25回全日本バードカービング・コンクール我孫子市長賞 土山ひとみさんの「ミユビシギ」

 

 

 

別室では目の不自由な人が作品を触り、野鳥をイメージできるタッチカービングのコーナーがあった。内山さんが力を入れる作品。QRコードが付いていて、スマホで読み取ると、野鳥の名前や鳴き声が流れる仕組みだ。内山さんは、不思議に思う入場者に使い方を説明していた。

 

 

写真上:内山春雄さん(中央)からタッチカービングの説明を受ける入場者(アビスタ2階)

 

 

 

愛鳥週間(5月10日~同16日)にちなみ、千葉県が県内の児童・生徒から募集したポスターコンクールの入賞作品や「全日本鳥フォトコンテストin JBF2024」の入賞・応募作品の展示もあった。

 

 

写真左:児童・生徒2300人が参加した千葉県愛鳥週間ポスターコンクール上位作品(アビスタ2階)

写真右:「全日本鳥フォトコンテストin JBF2024」の900点を超える応募作品(アビスタ2階)

 

 

 

写真上:「全日本鳥フォトコンテストin JBF2024」生態・行動部門グランプリ(文部科学大臣賞  広島県、福田哲彦さんの「水鏡」(左)、同環境部門グランプリ(環境大臣賞) 北海道、今堀魁人さんの「旅の途中」=JBFホームページから

 

 

 

手賀沼公園から湖畔の遊歩道で「ふなとり線」(県道船橋―我孫子線)を渡り、主会場の手賀沼親水広場・水の館を訪れた。野鳥観察の望遠鏡やカメラ機材の光学系メーカー15社のテントが並んでいる。近くの岸辺では湖畔バードウオッチングも開かれていた。

 

 

我孫子市の鳥から名づけられた「オオバン広場」に北海道羅臼町、東京都三宅村、静岡県下田市などの市町村、野鳥保護のNPOをはじめ、台湾、モンゴルからの出展で80を超すテント村ができた。

 

 

写真上:手賀沼親水広場に並んだ光学系企業15社のテント(上)、オオバン広場の大看板

 

 

 

「鳥」テーマのにぎやかな出展ブースだけでなく、各会場で鳥学講座や環境学会、各種講演会が開かれた。「観て、聴く」イベントだ。

 

 

写真上:鳥の博物館友の会デジカメ同好会の「野鳥写真展2024 一期一会の一コマ」(水の館)

 

 

 

写真上:「我孫子野鳥を守る会」の鳥のおもちゃ工作コーナー(オオバン広場)

 

 

 

「鳥に関わる芸術的、文化的な魅力に気づき、楽しんでいただきながらテーマに掲げている『鳥との共存』、そのために必要な自然環境について考える機会を持っていただければと思う」

 

 

そう期待するJBF実行委員長の小川博・山階鳥類研究所所長のあいさつがパンフレットに載っていた。

 

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

厳かに、リズミカルに
柏市制施行70周年記念式典

――今年、市制施行70周年を迎えた柏市の記念式典が11月16日、市内の複合施設「アミュゼ柏クリスタルホール」であった。全国コンクール常連の同市立柏高校吹奏楽部の格調高く、ムーディーな演奏の中、出席した市政功労者ら300人の名前が一人ひとり読み上げられた。

 

 

写真上:柏市制施行70周年記念式典の会場

 

 

 

市政功労者は「自治功労」(161人)、「市民活動功労」(2人、1団体)、「保健・福祉功労」(156人、1団体)、「経済功労」(16人)、「環境・都市・土木・建設功労」(3団体)、「教育功労」(78人、1団体)、「安全消防功労」(87人)、「特別功労」(1人)の重複受賞者を含め延べ501人、6団体。

 

 

写真上:読み上げられる功労者を名簿で確認しながら聴き入る出席者

 

 

 

「自治功労者」から順番に名前が読み上げられた。客席の最上段に陣取った市柏吹奏楽部によるエルガーの行進曲「威風堂々」の優雅で心に響く曲、童謡「ふるさと」の郷愁たっぷりで心和むメロディーが雰囲気を盛り上げた。

 

 

写真上:客席の最上段に陣取って演奏する柏市立柏高校吹奏楽部員

 

 

 

登壇した太田和美市長は式辞の中で「県内有数の中核市として発展した柏市は、ふるさと柏を愛する皆様のたゆまぬ努力と温かいご支援があったからこそです」と感謝を表した。

 

 

そして「これまでに築かれた文化や歴史を引き継ぎ、これからも柏に住み、働き、学び、憩い、誰もが健やかに育ち、安心して暮らし、年を重ねていくことができる街を目指します」と新たな決意を述べた。

 

 

写真左:式辞を述べる太田和美・柏市長
写真右:功労者代表の秋山浩保・前柏市長

 

 

 

「特別功労」の秋山浩保・前市長が功労者を代表しつつ「3期12年、市長の仕事として頑張ったが、皆さんは自らの時間、気持ち、そして時には自分のお金を使って地域のためにやってきた。皆さんのおかげで素晴らしい柏市の歴史が続いている」と出席者をたたえた。

 

 

「一番大事なのは、皆さんのような方々がどれだけ街にいるかに尽きると思う。地域のため、人のために何かできることはないのか、地域のために貢献していこうという想いが、たくさん街の中に結び重なってこそ素晴らしい街ができると思う」と付け加えた。

 

 

休憩を挟んで市柏吹奏楽部が客席からステージに移動し「音楽がつなぐ 街と人 そして輝かしい未来」と題した記念演奏をした。

 

 

第37回全日本マーチングコンテスト(11月16、17日、大阪)出場と重なったため、足りないメンバー、パートを卒業生に応援を求め、49人の特別編成で臨んだ。

 

 

 

 

写真上:演奏だけでなく歌あり、踊りありで出席者を楽しませた市柏吹奏楽部

 


「待つわ」(あみん)、「北酒場」(細川たかし)、「ルビーの指環」(寺尾聰)、そしてサングラスに白手袋姿の男女部員6人が踊りながら歌う「め組のひと」(ラッツ&スター)の昭和歌謡メドレーから始まった。

 

 

司会を担当した同吹奏楽部顧問の宮本梨沙さんは「今の高校生が知らない曲ばかりですが、昭和の曲が令和の高校生につながっている。音楽は人と街をつなぐのです」とタイトルの狙いを紹介した。

 

 

テナーサックスソロのしっとりしたオールディズ「デスペラード」、一転して軽快なアニメ主題曲「銀河鉄道999」と続いた。20年前の市制50周年記念でつくられた「かしわハッピー」という歌曲も紹介された。

 

 

公募で採用された中学2年の女子生徒による「晴れわたる青空の下 朝の光をみんなが浴びて……」で始まるさわやかな歌詞。同吹奏楽部顧問で今ステージの指揮者、田嶋勉さんが曲を付けた作品だ。同部員のコーラスとともに演奏した。

 

 

圧巻はカラフルなポンチョに身を包み、軽快なリズムに乗ってのラテンロック「テキーラ」。歌と踊りもあるにぎやかなステージのフィナーレとなり、会場から大きな拍手が送られた。

 

 

パーカッション担当の坂元雄馬部長(3年)は「高齢者が多いと聞いたので『懐メロ』を選んだ。昔の格好いい曲に触れるのは僕たちにとっても楽しい」という。でも、少し心配な点もあったとか。

 

 

「このメンバーでの練習時間が少なく、OGともきょう音合わせした。どうかなぁーと思ったが、問題なく終わってホッとしている」と笑顔を見せた。

 

 

写真上:記念演奏のフィナーレはラテンロック「テキーラ」。リズミカルなパフォーマンスも見せた

 

 

 

柏市は1954(昭和29)年9月、当時の田中村、柏町、小金町、土村の4町村合併でできた東葛市が前身。その後、旧小金町の大部分を松戸市に編入、富勢村の一部を加え、同年11月15日、市名を柏市に変えて誕生した。同日を市制施行日としている。

 

 

 

写真上:市制施行70周年記念の写真展

 

 

 

当時の人口は4万3千人。1955(昭和30)年代から光が丘、豊四季台両団地の入居、国道6号、16号開通、JR常磐線快速停車、そごう柏店、柏高島屋開店など都市基盤整備が進んだ。2005(平成17)年には昭南町との合併、「つくばエクスプレス」も開通し、今では43万人に膨れ上がった。

 

 

写真上:1963(昭和38)年当時の柏市役所庁舎

 

 

 

写真左:1957(昭和32)年の柏駅ホーム
写真右:1953(昭和28)年当時の柏駅東口

 

 

 

写真左:1974(昭和49)年当時の柏駅西口
写真右:1973(昭和48)年、そごう柏店建設現場

 

 

 

写真上:1952(昭和27)年、手賀沼町営水泳場

 

 

 

写真上:1978(昭和53)年の柏まつり

 

 

 

記念式典があった「アミュゼ柏」の1階プラザで「柏市制施行70周年記念 つづくをつなぐ 柏の写真展」も開かれた。昭和の街並みや旧柏駅、市民の暮らしの一端がモノクロ写真で展示された。

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

きっかけは偶然の出会い
高校同窓夫婦の「水彩画二人展」

――夫は風景画が得意、妻は人物画が好きという夫婦の「水彩画二人展」が11月19日から流山市南流山センターで開かれた。同市鰭ヶ崎の諏訪時夫、文枝さん夫婦。スケッチ旅行や自宅で描き上げた作品の定期的な個展を続けている。

 

 

写真上:初日の展示、飾りつけを終えた諏訪時夫、文枝さん夫婦

 

 

 

同センター玄関から入って左手壁面のロビーギャラリーが会場で、SMから10号の小品13点が飾られた。時夫さんは野山や渓谷などの風景、文枝さんは女性や静物が中心だ。時夫さんの心象的な踊る女性画もあった。

 

 

「二人展」は2019(令和元)年5月、流山市生涯学習センター(流山エルズ)で、はがき大から80号の50点を集めたのが皮切りだった。南流山センターでは同年11月から毎年11月に開催し、今回が6回目。

 

 

2021(令和3)年に流山エルズでの2回目を開いている。今年8月は東京・有楽町の東京交通会館で、二人が所属する日本水彩画会(東京・上野)の有志グループ展と併設した「二人展」を成功させた。

 

 

写真上:諏訪さん夫婦二人展の案内はがき

 

 

 

諏訪さん夫婦は茨城県出身。実は同じ県立高校の美術部員で時夫さんは1年先輩だった。夫婦展を開くようになれたのは偶然の再会があったからだ。学校を出てから時夫さんは印刷会社、文枝さんはデザイン系の仕事に就いた。ところが、職場は同じ地下鉄・人形町駅が最寄り駅だった。

 

 

卒業後、何年もたったある日、文枝さんは地下鉄に乗り込んだ時夫さんに気づき、車内で声をかけた。「諏訪君じゃない?」。あれー、誰だっけーと見つめる時夫さんは当時ロングヘア、文枝さんは金髪だった。文枝さんと気づくのにそんなに時間はかからなかった。独身二人の出会いだった。

 

 

時夫さんは仕事柄、イラストやデザインなどに触れる機会が多く、日頃から絵を描きたいと思っていた。が、仕事が忙しく、なかなか時間が取れなかった。63歳の時、会社に慰留されたが、思い切って退職し「とっつきやすいと思った」という水彩画を始めた。

 

 

【諏訪時夫作品】

 

 

写真左:「ダンス」(アクリルガッシュ)
写真右:「岳沢湿原」(水彩)

 

 

写真左:「上高地」(水彩)
写真右:「元気いっぱい」(水彩・パステル)

 

 

写真左:「取り残されて」(水彩)
写真右:「菜の花畑」(水彩)

 

 

 

写真上:「雪の朝」(水彩)


 

子育てに追われていた文枝さんも「温泉で見る女性の裸体が美しい」と思うようになり、ヌードに興味を持った。基本となるデッサン力を身に着けようと、60歳を過ぎた頃、地元の「841デッサン会」に入会した。のちに時夫さんも誘って合流する。

 

 

文枝さんは「人物画はちょっとした表情、体の動きで絵の雰囲気が変わる。ヌードも着衣もその場で着彩まで仕上げる。足りない部分は自宅で加筆する」という。

 

 

夫婦で3泊4日のスケッチ旅行にも出かける。時夫さんは「午前と午後、お日様が出ているのと、そうでないのとでは風景が変わる。リアルな現地でのスケッチは勢いがあって最高に楽しい」という。旅先でも1日一人で3枚は仕上げる。

 

 

【諏訪文枝作品】

 

 

写真左:「明神岳を望む」(アクリルガッシュ)
写真右:「ニュードレス」(水彩)

 

 

 

写真上:「赤いベレー帽」(水彩)

 

 

 

写真上:「元気を出して」(水彩)

 

 

 

自宅では1階リビングが文枝さん、2階の自室が時夫さんの「アトリエ」だ。互いに気づいたことをアドバイスし合うこともある。

 

 

「でも、聴かれてもいないことを言ってもねー、ホラ……」(時夫さん) 、「今、直そうとしていたのに、と思ったりしてね」(文枝さん) 。アドバイスのタイミングが難しそうだ。

 

 

夫婦は、再来年5月に流山エルズで3回目となる「二人展」を目指し、作品づくりを続ける。

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

熟練の技と感性
柏シルバー写真同好会

――柏市の「柏シルバー写真同好会」(山田佳明会長、会員28人)の第25回写真展が11月21日から柏市のパレット柏・市民ギャラリーで開かれた。

 

 

写真上:落ち着いた雰囲気の会場で作品を鑑賞する入場者

 

 

 

会員1人2~3点の計58点が出品された。自然に輝く一瞬の光を捉えた風景や幾何学模様など、被写体の色合いやアングルにこだわるベテランの技と感性が垣間見えた。

 

 

写真左:絵画と見紛う作品も少なくなかった

写真右:写真展の案内はがき

 

 

 

1981(昭和56)年に開催された柏シルバー写真市民講座の1期~3期生が集まり、翌82(昭和57)年1月にできたグループ。発足して42年になるが、写真展は結成16周年の98(平成10)年からスタートした。

 

 

9代目になる山田会長は山登りが好きだった。レンズが二つあり、カメラの上からファインダーをのぞく二眼レフを持って登山し、写真を撮っていた。60歳を過ぎた頃から家族が体力や身の安全を案ずるようになってやめ、2014(平成26)年に入会した。

 

 

写真上:写真展初日に勢ぞろいした「柏シルバー写真同好会」のメンバー

 

 

 

「絵を見るのが好きで美術館巡りをした。風景の洋画に始まってだんだんと抽象的なものが好きになってきて……。写真も抽象画っぽくなってきた」という。

 

 

山田会長と「同期」の榎本博道事務局長は「日本100名城」を狙って城郭の写真を撮っていた。「城はだいたい県庁所在地に多い。日本酒も上手い所なんだ。写真を撮りに行くんだか、酒をのみに行くんだか……。ちゃんと写真を撮るようにしたいと思って70城を撮った頃に入会した。主に風景を撮っている」という。

 

 

古参の一人という水上敦夫さんは2000(平成12)年の入会だが「会で写真を撮るようになって人生が変わった」と話した。

 

 

 

写真左:「葉の形」(東京・不忍池、山田佳明)
写真右:「就実の丘から」(北海・旭川、榎本博道)

 

 

写真左:「山頂の佇まい」(奈良県・大峰山「八経ケ岳」、谷口正裕)
写真右:「お花見」(東京・板橋 浮間公園、武田康子)

 

 

写真左:「デイドリーム」(千葉・美浜区、鵜澤治彦)
写真右:「春の息吹」(茨城・取手、立花征彦)

 

 

 

写真左:「霧幻峡『冬』」(福島・奥会津、野中郁子)
写真右:「夏のメモリー」(松戸、沼本直己)


 

写真上:「店先」(山形・酒田、錦織誠司)

 

 

 

写真上:「羽衣」(我孫子、水谷幸子)

 

 

 

60歳でサラリーマンを定年退職し、余生をどうしようかと考え、写真を本格的に始めた。「それまで旅行なんかしたことなかったが、気の合う仲間と月1回は撮影旅行に行くようになった。旅先で見つけた被写体を撮って楽しんでいる」

 

 

今の会員は60~80代。毎月第3月曜の午後、パレット柏に集まり、写真家原康さんを囲んだ例会を開く。持ち寄った2Lサイズの写真をプロジェクターで1枚ずつ映写して講評してもらう。

 

 

「撮った本人がいいと思うのが基本だが、上手い、下手はある」という原さんからトリミングや構図、露出、背景のぼかしなどのアドバイスを受ける。毎月、手本になるような10~15作品を選び、インターネットの同好会サイトにアップして共有する。

 

 

 

 

写真左:「秋の足音」(栃木・日光、植草猛)
写真右:「フィヨルドの滝に虹」(ノルウェー、水上敦夫)

 

 

 

写真左:「火花」(柏・旧吉田家住宅、計良保雄)
写真右:「おいしい影」(山梨・甲州、鵜澤雅代)

 

 

 

写真左:「異国の壁」(東京・上野動物園、澤井孝一)
写真右:「神宿る黒瓦」(石川・輪島、南條和代)

 

 

 

山田会長は「会員それぞれに個性があり、特にテーマを設けず、見せたいと思う写真を持ってきてほしい。歴史あるグループなので会員を減らさずに存続させるようにしたい」と話している。

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)