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9月

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ジャパンバードフェスティバル2023プレイベント バードカービング展「内山春雄&鳥刻の会と小学生の鳥たち」

開 催 2023年9月1日(金)~同7日(木)
場 所 あびこ市民プラザギャラリー あびこショッピングプラザ3階 我孫子市我孫子4-11-1
☎04-7183-2111
時 間 午前10時~午後5時 1日は午後0時開場、7日は午後2時閉場
主 催 ジャパンバードフェスティバル実行委員会
後 援 我孫子市 協 賛 あびこショッピングプラザ シミズメガネ シーズスペース・ヌック
入  場 無料


生涯現役ときわ会
創立30周年記念作品展

開 催 2023年9月10日(日)~同13日(水)
場 所 パレット柏・市民ギャラリー 柏市柏1-7-1-301号 (Day Oneタワー3階)
時 間 10時~18時(初日13時から、最終日17時まで)
主 催 生涯現役ときわ会
後 援 我孫子、柏、流山、松戸各市教育委員会
入 場 無料


中秋の名月   

今年は恥ずかしがり屋? 手賀沼湖畔の「中秋の名月」

タッチカービングに力
野鳥彫刻家、内山春雄さん

――日本バードカービング協会会長の野鳥彫刻家、内山春雄さん(73)=我孫子市在住=が小学生や一般市民に伝授した作品のバードカービング展「内山春雄&鳥刻の会と小学生の鳥たち」が9月1日から我孫子市の「あびこ市民プラザギャラリー」で開かれた。

 

 

写真上:小学生(手前)から「鳥刻の会」会員の作品が並ぶ会場

 

 

 

野鳥彫刻のバードカービングを始めて43年の内山さんは今回、目の不自由な人に野鳥を知って欲しいと、作品を触って感じ取ってもらうタッチカービング作りに力を入れ、展示した。

 

写真上:作品を熱心に見入る入場者(左)、会場入り口に設置されたポスター

 

 

 

目の不自由な人にどうやって野鳥を知ってもらうか、考え続けていた。バードカービングは木材を使うが、触って鳥の柔らかな質感も得てほしいと、作りためていた作品の型を使い、樹脂でかたどった。

 

 

体長の目安となる「ものさし鳥」と言われるメジロ(約10㌢)、スズメ(約15㌢)、ハクセキレ(約20㌢)を並べた。小枝などに止まっている姿に加え、餌を加えて飛んでいる様子など、この5か月間で作った40種類のうち、22種類を展示した。

 

 

写真上:「ものさし鳥」と呼ばれるスズメ(左)とハクセキレイのタッチカービング

 

 

 

内田さんは「目の見えない人にとって野鳥は未知の存在だと思う。触ってもらって全体の形を知ってもらえれば」として、2011(平成23)年から千葉県立特別支援学校で、視覚障害者向けのタッチカービングを使った出前授業で野鳥の生態を教えた。

 

 

20(令和2)年11月には沖縄県立博物館(那覇市)で、目の不自由な生徒に沖縄固有種で絶滅危惧種のヤンバルクイナを触察してもらう野鳥の授業も開いている。

 

 

会場に置いたタッチカービング一羽ずつに名前と鳴き声のデータコードを付けた。形とともに名前や鳴き声も覚えてもらうためだ。データコードを太い油性ペン大の「音声再生ペン」に読み込ませると、名前のアナウンスと鳴き声がペンのミニスピーカーから流れる。市販品がない野鳥は内山さん自身がデータコードを作り、名前や鳴き声を吹き込んだ。

 

 

写真上:タッチ―カービングの「音声再生ペン」をチェックする内山春雄さん

 

 

 

バードカービングは日本鳥類保護連盟が愛鳥教育に役立てる狙いでもあった。内山さんは1980(昭和55)年にサンプル作りを頼まれて始めたのがきっかけ。

 

 

写真上:跳んだり(左)、ハスの花で翼を休めたりのカワセミのタッチカービング

 

 

 

98(平成10)年から我孫子市立第一小学校が愛鳥モデル校となり、内山さんの授業がスタートした。業者に特注した専用の小型ナイフを使って小鳥を彫り、彩色するまで指導した。

 

 

会場の中央テーブルには、同校と同高野山小の6年生が2日間、延べ8時間にわたる授業で作ったモズ、アカハラ、メジロ、オオルリ、ツバメなど計200点が展示された。中央の校名を囲むように並んでいる。

 

 

写真上:小学生による作品群

 

 

 

内山さん主宰のバードカービング教室に通う一般市民の「鳥刻の会」(約30人)も27作品を出品した。会員は毎秋、東京・上野の東京都美術館で開催される全日本カービングコンクールへの参加を励みに制作に取り組む。

 

 

同会員の長棹康晴さん(77)=千葉市=は可愛らしい2匹のフクロウ、小枝で翼を休める2匹のアオカケスの2点を出品した。どちらも1年かけて作り上げたものだという。

 

 

写真上:左から フクロウ(長棹康晴)、サシバ(池田得利)、ヤマセミ(根橋眞理子)

 

 

 

「写真やネットで見つけた画像を参考に作っている。フクロウは手彫りした丸太の中に収めた。アオカケスは広げた翼の羽根の質感を出すのに苦心した」という。長棹さんは2016(平成28)年の第19回コンクールから毎回、中、上級クラスの協会賞を受賞している。

 

 

「鳥刻の会」の作品は10月25日(水)から同29日(日)、東京都美術館での第24回コンクールに出品される。

 

 

内山さんのタッチカービング40点は11月16日(木)から1月8日(月祝)、東京都美術館で同館主催の展覧会「いのちをうつす」で紹介される。「数十年以上にわたって一つの生き物を追いかけ続けてきたつくり手」の6人の一人に選ばれた。

 

 

期間中の12月8日(金)、19日(火)午後2時からワークショップ「タッチカービングで触察体験」、同10日(日)午後2時から「触って知る・バードカービング」のトークが予定されている。

 

 

 

 

写真上:アオアシシギ(向井剛)(左)、ホオジロ類(里山望気)

 

 

 

写真上:セイタカシギ(土山ひとみ)(左)、オオトラツグミ(井上岳彦)

 

 

写真上:左から カケス(中茎義昭)、ミサゴ(渡邊充夫)、コマドリ・オオルリ(神保武司)

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

多趣味に活動、生き生き
「シルバーパワー」を継続

 

――柏、松戸市などJR常磐沿線の住民による「生涯現役ときわ会」(逸見隆夫会長、会員194人)の創立30周年記念作品展が9月10日から柏市の「パレット柏・市民ギャラリー」で開かれた。写真、絵画、俳句、陶芸、手芸……。多彩に活動する会員の労作が会場いっぱいに展示された。

写真:落ち着いた照明の中で会員の作品が展示された

 

 

 

ときわ会には手品を楽しむ「TOMAC」、混声合唱団「フレンドリーシンガーズ」、絵画などを楽しむ「アート・クラブ」、カメラの「写真クラブ」、「健康麻雀会」、学び・見学・小旅行・ボランティアなどを企画する「わいわいクラブ」など17グループがあり、それぞれ活動している。

 

写真:会場入り口のポスター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作品展には「写真クラブ」「わかば俳句会」「アート・クラブ」「わいわいクラブ」が団体として参加している。グループには属さない個人参加の17人も得意の作品を出品した。

 

 

会場に入ると、四方の壁が展示スペースになっている。左側の「写真クラブ」の写真から始まって「わかば俳句会」の俳句が並ぶ。そのまま右回りに進むと「アート・クラブ」の水彩、個人出品の水彩、油絵、ペン画、写真、俳句・短歌・川柳、編み物、パッチワークなど多彩な作品が並んだ。

 

 

写真上:「わかば俳句会」の作品

 

 

 

中央のテーブルには壁では展示できない「わいわいクラブ」によるハーバリウームに竹フィギュア、個人参加の花瓶・湯呑、兜などの陶芸に加え、「アート・クラブ」のくま、テディベアのぬいぐるみもあった。

 

 

出口脇の壁は17グループの「ときわ会活動展」(ミニ活動展)コーナー。大判(A2判)の用紙に写真やスローガンなどで各グループの日常的な活動を紹介。入会を勧誘するチラシなども用意してアピールしていた。

 

 

「ときわ会」は「出会い ふれあい そしてふるさと」を合言葉に1993(平成5)年4月に発足したボランタリーグループ。高齢化社会の中で心身ともに健康な生活を続け、まちづくり、地域づくりに役立とう、という目標を掲げる。

 

 

写真上:陶芸から手芸などの作品コーナーもあった

 

 

 

交流促進、ボランティア、広報など五つの専門部会があって、そこの世話人でもある正副代表が運営役員となって、毎月1回の会議で「ときわ会」の方針、行事等を話し合って決めている。

 

 

グループ活動のほか、「新年祝賀会」「交流ボウリング大会」、歌声喫茶「明日もあるさ会」「歴史講演会」「フレンドリーシンガーズ定期演奏会」の全体行事も計画されている。

 

 

前会長の今成紘さん(82)=柏市=は混声合唱の「習志野第九合唱団」に入っていたが、「ときわ会」に「フレンドリーシンガーズ」があると知って入会。今は合唱のほか「わいわいクラブ」「ボウリング会」「健康麻雀会」「ゴルフクラブ」を掛け持ちする。2013(平成25)年に6代目会長に就任した。

 

 

「ときわ会のグループ活動ももちろん楽しいが、小中学校の時、図工で描いた水彩画がほめられてね。会社をやめる60の時あたりから油絵を習い始めたんだ」と今回の作品展に油絵2点を出した。

 

 

写真上:出品した油絵「日光東照宮拝殿」(左)と「那須のつつじ」を披露する今成前会長

 

 

 

2017(平成29)年、今成さんから会長を引き継いだ逸見会長(76)=柏市=は会員だった知人に誘われ、2006(平成18)年に入会した。「ボウリング会」「卓球クラブ」「ゴルフクラブ」「健康麻雀会」で活動する。

 

 

「コロナ禍で特にカラオケ同好会や福祉施設支援グループの活動が思うようにできなかった。各グループには熱心なリーダーがいて元気に活動しているが、高齢や体調不良でやめる会員も出てきた」と逸見会長。

 

 

写真上:ミニ活動展の前に集まった逸見会長(前列左)ら「ときわ会」メンバー

 

 

 

住民グループの会員不足の悩みは、地域の共通課題のようでもある。「ときわ会」の現会員は60~90代の194人で、過去5年で3割減ったという。逸見会長らは一般参加が可能な全体行事の機会などをとらえ、新規会員を獲得したい意向だ。

 

生涯現役ときわ会会員募集
年会費 3000円  * グループごとに別会費
問い合わせは逸見会長(☏090-2412-7896)

 

 

 

 

写真上:成瀬忠雄 写真「就業」(運河)(左)、甲田親助 写真「神宿る杜」

 

 

 

写真上:入江久子 写真「何か見える?」(左)、橋詰淳二 写真「湖面の彩り」

 

 

 

写真上:中里直子 写真「ドッ!迫力」(左)、三浦博 写真「抱擁」

 

 

写真上:吉村政彦 写真「レイクルイーズ」(カナダ)

 

 

 

 

写真上:山本絢子 水彩「はがき絵」(左)、宮本朝子 水彩「初秋の京都御苑」

 

 

 

写真上:小山脩 水彩「キンギョハナダイの群れ」(左)、平本まさ子 水彩「シュタイン・アム・ライン(スイス)」

 

 

 

写真上:山城しい子 水彩「アルルの衣装祭にて」(左)、鈴木陽一郎 水彩「紫陽花」、

 

 

 

 

写真上:三浦喜代子 編み物

 

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

恥ずかしがり屋の名月
雲の切れ間にちらりちらり

 

――今夏は暑かった。観測史上、最も暑かったという7、8月に続き、9月も猛暑続き。同28日には静岡、甲府両市などで35度を超え、これまた観測史上最も遅い猛暑日を記録した。

写真上:手賀沼を一望するドーム型展望室の上に浮かんだ名月(午後7時24分、我孫子市手賀沼親水広場・水の館)

 

 

 

強烈な「夏」が「秋」の訪れを邪魔しているようだが、翌29日に「中秋の名月」を迎えた。旧暦8月15日(十五夜)に昇る1年で最も美しい月とされる。だが、毎年満月とは限らないという。月が地球の回りを楕円形に回るので周期が一定でないためらしい。

 

 

とはいえ、今年は3年連続で満月と重なった。次に重なるのは7年後というので、眺めの良い場所で観賞、撮影しようと、月の出の午後5時半に合わせて柏、我孫子両市にまたがる手賀沼湖畔に出かけた。

 

 

北岸の我孫子市側にある手賀沼親水広場・水の館のドーム型塔屋とツーショットを狙う。月の出直後、オレンジ色の名月が昇り始めたが、すぐ雲に隠れてしまった。草花を揺らす風の音、チチーチチーという虫の鳴き声を聞きながら粘った。

 

 

写真上:雲の切れ間から数回、顔を見せた名月(午後7時52分、柏・我孫子両市の手賀沼湖畔)

 

 

 

午後7時過ぎ、空を覆う雲から明るい光が漏れ、切れ目からチラチラかけらのような月が見え始めた。雲に抱かれながらも、まん丸い姿を現した。が、数分でまた雲の中に……。

 

 

手賀沼湖畔ではその後もほんの数回、雲の合間から顔を見せただけだった。今年の名月はかなり恥ずかしがり屋だった。

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)