ミュージアムINFO

7月

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2023 第58回松戸市美術展

開 催 2023年7月1日(土)~同16日(日)
場 所 松戸市文化ホール
    松戸市松戸1307-1 (松戸ビルヂング4F)
主 催 松戸市教育委員会 松戸美術会
入場料 無料

第5回柏市美術会展

開 催 2023年7月1日(土)~同7日(金)
場 所 柏市文化・交流複合施設「パレット柏・市民ギャラリー」
    柏市柏1-7-1-301号 (Day Oneタワー3階)
主 催 柏市美術会
後 援 柏市・柏市教育委員会
入場料 無料

 

彩遊・長縄えい子展

開 催 2023年7月2日(日)~同16日(日) 場 所 ギャラリーぷらっと・えにし
場 所 流山市江戸川台西2-183
    午前11時~午後5時
☎04-7103-5614
主 催 たけしま出版
入場料 無料

盛夏にエネルギッシュひまわり

取材日 2023年7月11日(火)
場 所 柏、我孫子市の手賀沼周辺     野田市関宿台町の「ひまわりの里」

第13回 山田きんしんと仲間たち展

開 催 2023年7月21日(金)~同26日(水)
場 所 あびこ市民プラザギャラリー・多目的ホール  
    あびこショッピングプラザ3階     我孫子市我孫子4-11-1
    ☎04-7183-2111
時 間 午前9時30分~午後5時
主 宰 山田きんしん
後 援 我孫子市教育委員会・我孫子市美術家協会
入 場 無料

柏まつり

期 日 2023年7月29(土)~同30日(日) 場 所 柏市のJR柏駅東西中心街

昨年上回る作品数
松戸ゆかりの作家公募展

 

 

――松戸市にゆかりある16歳以上の作家による日本画、洋画、彫刻の市民公募展「2023 第58回松戸市美術展」が7月1日から松戸市文化ホールで始まった。今回は昨年を上回る270点の応募があり、同会場の市民ホール(300平方㍍)、いずれも150平方の市民ギャラリー1、2、3の全スペースで展示された。

写真上:初日の7月1日に会場であった松戸美術会会員の講評を熱心に聴く出品者

 

 

 

同美術展には一般市民に加え、主催する松戸美術会(小島隆三会長、122人)の準会員(美術展実行委員)も出品し、正会員(同運営委員)が務める審査員の評価を受ける。正会員も出品するが審査対象外。

写真:松戸市美術展のパンフレット

 

 

 

 

 

 

一般市民の最高賞は市長賞、次いで松戸美術会賞、議長賞、教育委員会教育長賞、文化団体連盟会長賞、奨励賞、努力賞、佳作、新人賞と多彩だ。準会員は市展賞、松戸美術会特別賞の2賞だけだが、正会員への登竜門になっている。

 

 

写真上:作品に見入る入場者(左)、彫刻の出品コーナー

 

 

 

昨年より12点多い54点の応募があった日本画は花のモチーフや水墨画が多い印象だった。昨年と同数の198点だった洋画は風景、静物、人物といつもながらバラエティーに富んだ。今回は比較的明るい筆遣いが目立ったという。彫刻は6点増の18点で、初出品者も5人だった。

 

 

写真上:無審査の松戸美術会会員の作品(左)、売上金をウクライナ人道危機救援に贈るチャリティー作品

 

 

 

同美術展は、原則16歳以上の市内在住、在勤、在学、同市出身、市内美術サークル会員を対象に1966(昭和41)年から松戸市教育委員会、松戸美術会の共催でスタートした。

 

 

応募作品が増えたことについて、同展運営員の彫刻家片岡千明さんは「コロナ禍で外出を控え、制作できる時間が多くあったからではないでしょうか。でも、いつもなら、80人から100人の出品者と美術会役員が参加して交流する懇親会が、今回もできないのは残念です」と話していた。

 

 

 

 

 

写真上:日本画・市展賞「酔芙蓉」(橋倉かよ子)

 

 

 

 

 

写真上:日本画・市長賞「向日葵」(石田尾フジヱ)

 

 

 

 

 

写真上:日本画・松戸美術会賞「黄山雲烟」(高橋務)

 

 

 

 

 

写真上:洋画・市展賞「清州橋」(小林峰子)

 

 

 

 

 

写真上:洋画・松戸美術会特別賞「行商」(片山義久)

 

 

 

 

 

写真上:洋画・松戸美術会特別賞「線路内のミステリー」(西森一郎)

 

 

 

 

 

写真上:洋画・市長賞「古格を纏い明日に仰ぐ」(宮之上博孝)

 

 

 

 

 

写真上:洋画・松戸美術会賞 新人賞「明日」(村上裕行)

 

 

 

 

 

写真上:彫刻・松戸美術会賞 新人賞「もうすぐ文化祭ですね」(下大沢駿)

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

期せずして大作並ぶ
5回目の柏市美術会展

 

――会場に入った途端、ずらりと並んだ大きな絵が目に飛び込んできた。7月1日から柏市のパレット柏・市民ギャラリーで始まった「第5回柏市美術会展」。柏市美術会(根本忠緒会長、会員21人)から油絵、水彩、アクリル画など出品された25点のうち、16点が100号を超える大作だ。

写真上:例年になく大作が並んだ会場

 

 

 

根本会長は「1回目(2018年)の作品展でギャラリー関係者から『大きな作品が多いですね』って言われたことがある。今回はこれまで仲間が描いた大きな作品に刺激されて、大作が多くなったのかもしれない」と分析した。

 

写真:柏市美術会展のポスター

 

 

 

 

風景、街角、建物がモチーフだったり、心象画的だったり。いつもながら色彩豊かな個性的な作品が集まった。

 

 

 

 

 

 

海老原利雄さんの「遊鶏」と題した油絵130号は、どことなく伊藤若冲(1716~1800)の「動植綵絵」にある鶏を連想させる。「若冲の絵も見るけど、これは庭で遊ぶ鶏の雰囲気を描いた。具象画的であり、抽象画的でもあるように仕上げた」という。

 

 

写真上:「遊鶏」(海老原利雄)

 

 

 

個性的な具象画を目指す美術団体「日洋会」の会員、さいとうけい子さんは「西陽」と名づけた油絵100号を初出品した。第37回日洋展(5月31日~6月12日、国立新美術館)の受賞作品と同じ夕焼けがモチーフだ。赤、朱、真紅……様々な赤で「西陽」を描いた心象画のようでもある。

 

 

東京都内の神田川を見下ろす高台にあった実家が近く取り壊されることになった。「幼い頃、夕焼けが神田川の向こうの空からまっすぐに射し込んで室内が真っ赤になった。実家の窓硝子に当たる西陽の心象風景」という。

 

 

写真上:「西陽」(さいとうけい子)

 

 

 

散歩の途中で見かけた草花を水彩画にし「花も実もある人世サ」という作品展を定期的に開いてきた上田昭久さん。今回、A3判位の画材に花や木に加え、最近取り組む風景画の計3点を出した。大きな作品に囲まれてはいるが、相変わらず自然に寄り添う作風が光っていた。

 

 

写真上:「1本の樹に見る季節の移ろい」(上田昭久)

 

 

 

柏市美術会は、中央の美術団体に所属するなどで創作活動する柏在住、在勤、出身者が集まり、2016(平成28)年12月に発足した会員制の組織。翌17年4月に同会設立準備展を開催し、18年からコロナ禍の20年を除き、毎年作品展を開いている。

 

 

 

 

写真上:「WORK深秋の湖畔」(根本忠緒)

 

 

 

 

写真上:「色なき風」(細野茂紀)

 

 

 

 

写真上:「都市の景」(井上武)

 

 

 

 

写真上:「旅の追想」(香島ひで子)

 

 

 

 

写真上:「花」(山下恭子)

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

ありし日を偲ぶ
故長縄えい子の遊び心

 

 

――今年1月6日夜の交通事故で亡くなった柏市の画家長縄えい子さん(当時85歳)の画業を偲ぶ「彩遊・長縄えい子展」が7月2日、流山市の「ギャラリーぶらっと・えにし」で始まった。長縄さんと「二人三脚」で活動していた柏市の「たけしま出版」の竹島いわおさん(78)が企画した。

写真上:長縄さんの広い交友を示すように入場者は絶えない

 

 

 

 

 

写真上:アットホームな雰囲気のギャラリーぶらっと・えにし

 

 

 

東武野田線江戸川台駅に近い静かな住宅街にあるギャラリー。元中学・高校教員の矢吹浩二さん(76)が2010(平成22)年に開業した。8年ほど前、長縄さんがお弟子さんたちと「三人展」を開いた縁もあって実現した。

 

写真:大洞院墓地の壁画を描く長縄さんの写真が使われた案内はがき

 

 

 

 

 

 

 

 

タイトルの「彩遊」(さいゆう)は、長縄さんの通夜・葬儀が営まれた柏市花野井の大洞院住職が付けた戒名「彩遊栄麗清信女」にちなんだ。竹島さんは「華彩に多くの絵を描き、子どものように遊び心を持って生きた彼女を表現していただいた」と受け止める。

 

 

1階ギャラリーは10坪(33平方㍍)ほどだが、展示は玄関の衝立から始まって、奥の歓談テーブルを囲んだ四方に広がる。油絵、水彩、スケッチ、スナップ写真、手掛けた絵本や郷土誌、ポスター……。実に多くの作品、ゆかりの品が並ぶ。

 

 

写真上:作品の展示は玄関から始まった

 

 

 

「作品展というよりは、多くの方々に親しくしていただいた日々を偲び懐かしむ。そして長縄えい子との出会いを振り返っていただければ」というのが、企画した竹島さんの心だ。

 

 

写真上:旅先でのスケッチ写真なども数多く展示された

 

 

長縄さんの交友関係の広さを物語るように知人、友人らで入場客が絶えなかった。会場の竹島さんは、求めに応じて故人と展示品とのつながりをていねいに説明することもしばしばだった。

 

 

写真上:入場者に展示品を説明する竹島さん

 

 

竹島さんは勤めていた出版社を辞めて独立後、長縄さんと二人で米・ニューヨークに5回、カンボジアに5~6回、スリランカに2回も渡って個展を開くなどした。

 

 

「年相応に弱ってはいたが、健康面では特に悪いところはなかった。散歩も1時間できて元気だった。(事故死は)未だに信じられない。作品に囲まれていると、本人がそばにいるような気持ちになる。でも、これで一区切り」と竹島さん。

 

 

新盆を迎える時期の展示会に合わせ、エッセー集「続続続続 老婆は一日にして成らず」(たけしま出版、A5変形判)が発行され、会場に置かれた。

 

 

写真上:5冊目の「続続続続 老婆は一日にして成らず」(左)と最後のエッセイ

 

 

タウン誌「月刊とも」(野田市)の「ひと模様」に連載されていたものをまとめたものだ。2006(平成18)年に1冊目を出して以来、巻を重ね5冊目になる。

 

 

今回は「さよなら篇」。今年1月の「ひと模様」に載った「今年のリーダーは誰?」が絶筆になった。実に21年を迎え、235回を数えた。サッカーW杯カタール大会で日本代表をテレビで観戦応援した話題で終止符が打たれた。

 

 

もう一つ。本の扉(とびら)に昨年暮れ、全員には出し切れなかったという「最後」の年賀状も収められた。干支のウサギ3匹が笑いながら魔法のほうきに乗って空を飛んでいる。

 

写真上:最後の年賀状(「続続続続 老婆は一日にしてならず」から)

 

 

 

「今年も楽しいメルヘンをさがしに街へ空へ」のコメントがついていた。新年に向け、ますますの創作意欲がにじむ。

 

 

「本人は『絵を描いているときが一番幸せ』『無心で自分の見たいものを描く、それが絵』と話していた。面白い人生だったと思う」。竹島さんが彼女の口癖を想い、そう振り返った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真:ありし日の長縄えい子さん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真上:絵本や郷土誌など数多くの書籍の表紙を手掛けた

 

 

 

 

写真上:あちこちの作品に神仏が登場する

 

 

◆作品◆

 

 

 

 

 

 

当ミュージアムの「長縄えい子作品展」はこちらから 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

盛夏とコラボする花
ひまわり畑に平和を祈る

 

――連日30度を超す猛暑が続いている。もう少しで梅雨も明けそうだ。夏を代表する花、ひまわりが各地で開花した。人と同じように早熟で既にピークを過ぎたもの、晩熟でこれから満開になるものもある。

写真上:田園の一角で満開になったひまわり(野田市の「ひまわりの里」)

 

 

 

キク科の1年草で北アメリカ原産だそうだ。色や形によって100種類以上もあるらしい。早咲き、遅咲きも品種によって違うのだろう。

 

 

柏、我孫子両市にまたがる手賀沼湖畔で、市民グループが畑を借りてひまわりを植えている場所がある。かつて花の迷路を作って話題になった。北岸の我孫子市側では咲き出したものもあるが、生育途中の茎が多く、陽が昇る東を向いて立っている。

 

 

野田市関宿台町の「ひまわりの里」を訪ねた。田んぼが一面に広がる田園地帯だが、減反で稲作をやめた土地を利用し、農家がひまわりの種を植えて育てたのだという。

 

 

写真上:のぼり旗をスクっとした花が取り囲んでいた(野田市の「ひまわりの里」)

 

 

 

10~30㌃単位で数カ所にひまわり畑が点在する。あちらこちらに立つ「ひまわりの里」という、日焼けしたオレンジ色に白抜き文字ののぼり旗が目印だ。

 

 

並び立つ花々は、光り輝く真夏の太陽をエネルギーに、生き生きと満面に笑みを浮かべているようだ。明るくポジティブに生きるパワーを感じた。

 

 

写真上:寄り添ってひそひそ話しでもしていそうな2輪(野田市の「ひまわりの里」)(左)、太陽に向かって微笑んでいるようだ(我孫子市根戸)

 

 

 

時折、渡る風に揺れる姿を見ていると、どうしても、広大なひまわり畑が登場する1970年公開のイタリア映画「ひまわり」を思い出してしまう。冒頭シーンとエンディングで悲哀たっぷりのピアノ演奏をバックに風に揺れる無数のひまわりが映し出される。

 

 

写真上:湖面を背に本番を迎えるひまわり畑(手賀沼北岸)

 

 

 

第2次世界大戦で新婚夫婦の夫が戦争に駆り出され、戻らない夫を探しに妻が戦場跡のひまわり畑をさまよう。やっと捜しあてた夫には、もう別の家族が……。戦争で引き裂かれた夫婦の悲劇が描かれた。

 

 

撮影地は旧ソ連時代のウクライナだったという。ひまわりはウクライナの国花。今、反戦映画の舞台がロシアの軍事侵攻で戦場になっている。揺れるひまわりを観ながら一日も早い平和を祈らずにはいられなかった。

 

 

写真上:旧家前の畑で数輪が群れをなしていた(我孫子市根戸)

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

仲間48人と「競演」
山田きんしんグループ展

 

――我孫子市で大工をしながら絵を描き続けている山田きんしん(本名・金信)さん主宰の「第13回山田きんしんと仲間たち展」が7月21日から同市の「あびこ市民プラザギャラリー&ホール」で開かれた。山田さんが指導する七つの絵画教室に通う仲間48人との合同作品展だ。

写真上:大勢の入場者でにぎわった会場

 

 

 

 

写真上:会場への通路にあった2種類の案内板

 

 

 

会場はギャラリー(130平方㍍)と多目的ホール(260平方㍍)を合わせた展示スペース。水彩画や不透明水彩(グアッシュ)を使った作品を中心に170点が飾られた。

 

 

写真上:立ち止まってじっくり作品を味わう

 

 

 

風景、人物、静物をモチーフにしたり、山田さんが得意とする心象画だったり。豊富な題材に加え、F1号の小品から100号を超える大作までぎっしり。大勢の入場客でにぎわった。

 

 

写真上:佐藤満(水彩アートクラブK)の「銚子・犬吠埼海岸」を鑑賞する入場者

 

 

 

グループの一つ「木曜教室 金木星」は夜8時から山田さんのアトリエ代わりの会社事務所に集まって、絵を習っている。

 

 

山田さんは「昼に絵を教える先生はたくさんいるが、勤めが終った夜に習いたい人もいるでしょう。自分は大工なので、夜しか時間がないこともあって、夜の教室を始めた」という。

 

 

同市民文化講座で水彩画教室の講師を務めるようになった。1年間のコース終了後、受講者らが山田さんを囲んでグループを立ち上げるなどでグループが増えた。

 

 

写真上:グループを指導する山田きんしんさん(前列右)と仲間たち

 

 

 

「金木星」のほか、「ウエンズ水彩会」「きん彩会」「水美会」「水彩アートクラブK」「金河塾」「子供クラス」がある。山田さんの名前にちなんだグループ名が多く、曜日、時間を替えて開かれている。公共施設で活動するグループもあるが、大半は山田さんの会社事務所を拠点とする。

 

 

グループごとにまとまって作品を展示した。それぞれのコーナーにグループ紹介パネルが置かれた。メンバーの写真や似顔絵などと一緒に活動内容が記されている。「ナンバーワンより、オンリーワン」(水彩アートクラブK)といったスローガンも盛り込まれていた。

 

 

山田さんは東京都美術館が本拠の絵画団体「蒼樹会」の常任委員(審査委員)で、我孫子市美術家協会会長を務める。中学を卒業後、家業の大工をしながら絵を描き始め、月2回の休みに道具を自転車に積んでスケッチに出かけた。誰について習うではなく、所属した絵画グループや先輩にアドバイスしてもらって腕を磨いた。

 

 

写真上:「ウェディングベル」 山田きんしん

 

 

 

そんな若いころの経験もあって、身近に絵を習う場づくりとして夜の教室を始めたのかもしれない。

 

 

「子供クラス」に通う、ともに中学1年の男女二人は油絵各2点を出品した。ピンクを基調にクリクリっとした目が印象的な少女を描いた木島涼音さんの「めがみきじさま」は、額まで色付けしていた。

 

 

写真上:「めがみきじさま」 木島涼音(子供クラス)

 

 

 

齊藤空良さんの「海の歌舞伎役者」は「ニモ」(?)のようなオレンジ、黒の縞模様の魚が見得を切っているように見えた。

 

 

写真上:「海の歌舞伎役者」 齊藤空良(子供クラス)

 

 

そろってこの春から油絵を習い始めたばかりというが、なかなかどうして個性的な作風だ。「二人ともすごいでしょう」と山田さん。

 

 

「仲間たち展」は2年に1回のペースで続けていたが、コロナ禍で2020、21年は開催できなかった。今回は昨年1月に次いで1年半ぶりとなる。

 

 

大勢の絵の仲間に囲まれている山田さんは「自分で体験した感じでは、絵は観る人だけでなく、自分だけでも楽しめる世界。いつもまでも絵を『友達』のように長く付き合えるよう、指導していきたい」と話した。

 

 

 

 

 

写真上:「黄色いバラ咲く家」 永井惠子(ウェンズ水彩会)

 

 

 

 

写真上:「男舞」 関和子(ウェンズ水彩会)

 

 

 

 

写真上:「板のふくろう」 鎌田和雄(きん彩会)

 

 

 

 

写真上:「存在理由」 青木惠美子(水美会)

 

 

 

 

写真上:「蘇るノスタルジー」 茨木育代(水美会)

 

 

 

 

写真上:「紫陽花の頃」 辻薫(水彩アートクラブK)

 

 

 

 

写真上:「百花」 山川寿子(金河塾)

 

 

 

 

写真上:「白馬」 里見信治(金河塾)

 

 

 

 

写真上:「雪化粧」 佐々木美津子(金木星)

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

思い募る「柏ねぶた」
フィナーレにファン結集

 

――「29年間ありがとう」。7月29、30両日、4年ぶりに復活した柏まつりの呼び物「柏ねぶた」に大書きのメッセージが掲げられた。まつりは復活したが、「柏ねぶた」は管理費などの運行経費がかさみ、今夏が最後だという。

写真上:最後の出陣となった「柏ねぶた」

 

 

夕方、JR柏駅南口の線路沿いに二基のねぶたが陣取った。「ドン、ドドンド、ドーン」と腹に響く太鼓、「ピュ―、ピュッ」と歯切れ良い横笛、「チャリン、チャリン」とリズミカルな手振り鉦。賑やかなお囃子を先頭に特設ステージがある西口ロータリーに向けて出陣した。

 

 

ロータリーの地上と三階に当たる駅のデッキで大勢の観客が待ち構える。ねぶたが入場すると、観客から大きな拍手が沸き上がった。花笠をかぶり、浴衣に長いたすきをかけた跳人(はねと)が「ラッセラー、ラッセラー」の掛け声とともに飛び跳ね、景気づけた。

 

 

写真上:ねぶたの前で飛び跳ねる「跳人」(左)、花笠に豆絞り、浴衣にたすきは「跳人」の正装

 

 

 

「柏ねぶた」は柏市と同名の青森・津軽の柏村(現つがる市)との交流から生まれた。1994(平成6)年に柏まつりの単発のイベントとして、本場・青森から運行、お囃子、跳人を招いて「平将門」のねぶたが練り歩いた。

 

 

「29年間」というのは、この年が起源。初陣で自由参加の「市民跳人」が大勢集まり、市民のねぶた熱もかなり高まった。お囃子や跳人を楽しむ市民グループも誕生した。

 

 

写真上:柏駅西口ロータリーを埋めたねぶたファン(左)、集まったファンが一斉に跳人になった

 

 

 

柏住民らの「青森ねぶたファンクラブ」(加納正一会長、30人)もその一つ。跳人にはまった世話役でもある植木職人岡野宣正さん(73)は東京・神田生まれで根っからのまつり好き。妻の絵津子さん(74)は津軽出身だ。夫婦はお囃子を習って太鼓、笛、鉦をこなし、今では同クラブの指導役だ。

 

 

写真上:囃子グループの老若男女が途切れることなく交代で太鼓を打ち鳴らした

 

 

 

同クラブのようにグループの囃子連が生まれ、青森のねぶた師に本場より小さい柏専用のねぶたを製作してもらった。西口の商店街と市民が協力して1997(平成9)年から毎夏の柏まつりで運行してきた。

 

 

2020(令和2)年からのコロナ禍で柏まつり、ねぶた運行が中止になった。「みなさま! おまたせしました」(柏まつりのスローガン)と再開した今回が最後になろうとは……。

 

 

ねぶたは紙を使った物だけに雨に弱いが、運行両日は晴天に恵まれた。最終日の30日夕、ねぶた陣取る西口ロータリーが見物人であふれた。特設ステージでMCを務めた岡野さんらの指導でねぶた囃子に合わせ、子どもから大人の群衆が跳人になって大いに盛り上がった。

 

 

写真上:最後の雄姿をカメラに収める見物客(左)、展示場所になった西口の商店街。見物客は名残り尽きない様子だった

 

 

 

二基のねぶたはロータリーから国道6号手前のザ・クレストホテル柏前に静かに移動。見物人もついて歩き、別れを惜しむようにねぶたを囲んで記念写真を撮った。

 

 

お囃子が始まる。いろんな囃子グループが交代で太鼓を打ち、笛を吹き、鉦を鳴らす。その中に並んで太鼓たたく岡野さん夫婦の姿があった。

 

 

岡野さんのクラブは両日、跳人衣装のメンバーがねぶた存続を求める署名活動を展開した。2千人近くから協力を得たという。

 

 

29年も続いた「柏ねぶた」。本場・青森より一足早い運行で、人気があるのに止めてしまうのは惜しい気がした。

 

 

 

 

写真上:4年ぶりの柏まつりとあってJR柏駅東口(右)、西口(左)両商店街は大賑わいだった

 

 

 

 

 

写真上:太鼓のリズムに誘われるように広がった夜の輪おどり(左)、軒を並べた屋台が人気。列が途切れることがなかった

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

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