ミュージアムINFO

5月

     5月

「フォト・ふじごころ」「フォト2000」 合同写真展 Vol:3

開 催 2023年5月12日(金)~同15日(月)
場 所 パレット柏・市民ギャラリー 柏市柏1-7-1-301号 (Day Oneタワー3階)
主 催 フォト・ふじごころ、フォト2000
入場料 無料


表情画の会 会員作品展 「表情画の仲間たち展」

開 催 2023年5月21日(日)~同27日(土)
場 所 流山市生涯学習センター(流山エルズ)流山市中110
主 催 表情画の会
連絡先:090-7735-7153(小栗啓豊会長)
入場料 無料

「写心」の交差・融合
3回目の合同写真展

――同じ指導者、同じ年代、そして同じ写真心……。柏市拠点の市民写真グループ「フォト・ふじごころ」=根岸勝壽代表(81)、会員10人=と「フォト2000」=塩澤武会長(81)、同16人=がコラボ作品展を企画して3年目。今年も5月12日から柏市の「パレット柏・市民ギャラリー」で開いた。

写真上:初日から大勢の入場者でにぎわった会場

 

 

 

「フォト・ふじごころ フォト2000 合同写真展 Vol:3」。会場は三つのコーナーに分かれていた。まずはグループ共通の「柏フォトさんぽ」と名づけた地元のお気に入りの撮影地コーナー。

 

 

写真:写真展ポスター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あけぼの山農業公園のコスモス畑、旧吉田家住宅歴史公園の秋景色、県立柏の葉公園でとらえた幾何学模様の水面、朝日が昇る手賀沼など、四季の自然を描いた作品19点が並んだ。大判地図の上に作品と同じL判写真を貼って撮影場所を紹介する「柏マップ」もあった。

 

 

写真上:撮影地を紹介する大判の地図

 

 

 

「自由作品」としてグループごとの作品コーナー。地元・柏や伊豆、山形、長野、山梨など旅先で出合ったり、柏市の「ふるさと交流都市」になっている福島県只見町に出かけたりして見つけた美しい風景写真計59点が出品された。

 

 

写真上:「フォト・ふじごころ」(左)、「フォト2000」のグループ別展示コーナー

 

 

 

両グループはともに二十数年前、写真をテーマにした柏市生涯学習講座の受講者らが結成したグループ。講座終了後もアシスタント講師だった写真家猪又かじ子さん(72)の指導を仰ぎ、定期的な活動で腕を磨いた。

 

 

写真上:指導者の猪又かじ子さん(左から3人目)、「フォト・ふじごころ」の根岸勝壽代表(同4人目)、「フォト2000」の塩澤武代表(同5人目)ら写真展スタッフ

 

 

 

2グループは2020(令和2)年にコロナ禍で作品展の中止を余儀なくされたが、それまでは同市民ギャラリーや柏市中央公民館で、それぞれ独自のスタイルで毎年のように作品展を開催してきた。

 

 

会員の高齢化が進み、ピーク時のほぼ半数以下になって、かつてほど作品が集まらなくなった。同じ猪又さんが指導者で成り立ちも、グループ構成も同世代で似ていることから団結し、2021(令和3)年から合同写真展を企画した。

 

 

指導者の猪又さんは、柏市の利根川やアトリエを構える福島県只見町で、自然をテーマにした撮影活動を続けている。「静寂の刻(とき)」シリーズの「利根河原の詩」「只見憧憬」などの写真集がある。今回の作品展では「講師作品」として利根川堤(柏市)の季節の表情をとらえた3作品を出品した。

 

 

写真上:「寒い朝」(利根川堤=猪又かじ子)

 

 

 

「ふじごころ」の根岸代表は就職した化学工業会社の研究室に現像用暗室があったことからカメラに興味を持った。当時、月給の3倍近い一眼レフを購入したり、中判カメラも手にしたり。定年退職後、本格的な撮影活動。「撮影地でどう撮ろうかと考えたり、愛好家らと写真談議をしたりが好きで楽しい」

 

 

写真上:「竹灯籠」(手賀沼・曙橋=根岸勝壽)

 

 

 

「2000」の塩澤会長は子どもの頃、雑誌の付録だったレンズを使わない針穴式の「ピンホールカメラ」から興味を持った。近所の知人に誘われて会員になり「いつの間にか散歩の途中で被写体を見つけるようになった。それをうまく撮れても撮れなくても探し歩くのが好きになった」という。

 

 

写真上:「花に囲まれて」(松ケ崎城跡公園=塩澤武)

 

 

 

「太陽の光は平等に当たるが、動くと見える物が違ってくる。そんな時の流れ、風を感じる自然との出合いが好き」という猪又さんに触発されて、会員の多くが自然をテーマにしているようだ。

 

 

グループを指導する猪又さんは「写真について撮り方を口で言うより、自分のやっていること、撮った作品を観てもらうほうが良いかなって思う。でも、創作は人のまねではなく、自分の感じたものを撮る、写す心『写心』なんですね」と強調した。

 

 

二つのグループの「写心家」。その交差と融合が相乗効果となって新たな写真、作品が生まれるきっかけになるのかも知れない。

 

 

 

写真上:「光の夕景」(柏の葉アクアテラス=山本修史)(左)、「水もよう」(県立柏の葉公園=河野雅也子)

 

 

 

 

写真上:「朝日に向かって」(手賀沼=宮崎三郎)(左)、「春を待つ(稲株踏み)」(名戸ヶ谷ビオトープ=倉岡尊)

 

 

 

 

写真上:「展覧会にご招待」(あけぼの山農業公園=嶋田美奈子)(左)、「晩秋の光景」(旧吉田家住宅歴史公園=堀尾幸晴)

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

肖像でなく、似顔でもない
流山発祥の「表情画」

 

――泣いたり、笑ったり、怒ったり……。国籍を問わない子どもからお年寄りまでの「顔」がギャラリーいっぱいに展示された。流山市生涯学習センター(流山エルズ)で、5月21日から開かれた作品展「表情画の仲間たち展」。ツンと無表情の肖像画、デフォルメされた似顔絵などとは全く違う新たな「表情画」の世界が広がった。

写真上:「表情画」の原点となった作品「大漁歌が聞こえる」。西田和夫さんの原画を基にした小栗啓豊会長の習作

 

 

 

主催した「表情画の会」=小栗啓豊(ひろとよ)会長(73)=の会員30人が一人3~4点の計105点を出品した。お孫さんなどの家族、内外の著名人、名もない人々がモデルだ。

 

写真上:年代を問わない老若男女の表情をとらえた作品が並んだ

 

 

大ギャラリー左回りが順路で、ぐるり四方の壁面スペースや大きな柱も使った展示エリア。A4判横で統一されたサイズに水彩絵の具を使い、文字通り表情豊かに描かれている。

 

 

写真上:お手本にしようと講師の作品をパチリ

 

 

 

「人の顔はごまかしが利かない。目の大きさが少し変わるだけで全くの別人になってしまう。顔にはその人の人生が現れる。外観ではなく心の中を描くのが表情画」。「表情画の会」の顧問、西田和夫さん(81)が力説した。西田さんは「表情画」の名づけ親でもある。

 

 

グラフィックデザイナー事務所を長年経営していた西田さんは10年前、仕事だけではなく趣味を持とうと、水彩画を始めた。地元の絵画グループに入って風景画を描くようになり、定期的な作品展にも出品するようになった。

 

 

写真上:小栗啓豊会長(後列左)、顧問の西田和夫さん(前列右)ら「表情画の会」のメンバー

 

 

 

水彩画を始めて3年後、ネットで大正か、昭和時代の古いモノクロ写真を見つけた。頭にタオルを巻いたひげ面で笑う老人。いかにも漁師という風情。デザイナー心が疼いた。「カラーで描いたらどうなるだろう」

 

 

出来上がった作品に「大漁歌が聞こえる」とのタイトルをつけ、2016年の絵画グループの作品展に出した。風景画がほとんどの会場に唯一の表情画だった。同じグループの会員だった小栗会長が西田さんの作品に強烈な印象を受けた。二人の運命的な出会いとなり、表情画を語り合う仲になった。

 

 

翌2017年、西田さんが主宰する「西田和夫の表情画教室」がスタートした。表情を強調するため、ほぼ顔の大きさのA4判横構図で頭頂部と首の下をカットした絵柄だ。

 

 

西田さんが狙うのは、持論となった顔の外観ではなく、外観に浮かぶ内観、心の動きを自分なりに見取って描く表情画づくり。ネットの投稿サイトにあるポートレートなどを参考に18か月間、月1、2回の教室で20作品を完成させたら「卒業」となる。

 

 

 

 

写真上:会場にはいろんな老若男女の表情をとらえた作品が並んだ

 

 

 

2018年卒の小栗会長は第1期生。以来、卒業生10~15人は卒業期ごとに「表情画友の会」をつくって独自に活動し、2019年から作品展を始めた。今年1月に第4期生が誕生した。今回の作品展が5回目となる。

 

写真:表情画展のポスター

 

 

 

昨年、流山市民活動推進センターへの登録を機に、当時複数あった「友の会」を「表情画の会」に統一した。顧問として指導する西田さんは「単なるお遊びの仲良し会ではなく、しっかりした技術を身に着けた新しい絵画集団になってほしいと思っている」という。

 

 

 

 

 

 

その願いを込め、西田さんが中心になり、表情画のコンセプト、レイアウト、構図、顔のパーツごとの書き方、絵の具の使い方などを盛り込んだ会員向けA4判のテキスト「表情画の書き方」(カラー、全文64㌻)も発行した。

 

 

写真上:講師陣の作品 「もっとロマンを」(西田和夫)

 

 

 

鉄鋼業界に長く身を置いた小栗会長は、国内外の出張にスケッチブックを持参した。電車の待ち時間などに気に入った場所をサラサラっとスケッチする。「写真もたくさん撮ったが、スケッチのほうが記憶に残る」

 

 

写真上:講師陣の作品 「もうやめてください!」(小栗啓豊)

 

 

 

66歳で定年退職後、スケッチ画のグループに入り、本格的に風景画も描き続けている。表情画展と同時期、隣接の小ギャラリーで、自身2度目の水彩スケッチ作品展「光を描く、風を描く。」(5月22日~同28日)を開いた。近くの里山や公園にある木々の緑のグラデーションが印象的なF4、F6の作品40点が展示された。

 

 

写真上:講師陣の作品 「忍ぶれど」(水島健二郎)

 

 

 

小栗会長は「流山は『母になるなら、流山市』『父になるなら、流山市』というキャッチコピーで親子や家族の絆を大事にする。身近な人がモデルになる表情画は人をつなげる社会性があり、安らぎを生むきっかけにもなる。流山でレベルの高い絵画文化を目指したい」と語った。

 

 

写真上:水彩スケッチ作品展「光を描く、風を描く。」会場の小栗会長

 

 

(文・写真 佐々木和彦)