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12月

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柏の自然と生きものフェスタ2022
「柏にこんな生きものが」

開 催 2022年11月22日(火)~同12月14日(水)
場 所 
ひまわりプラザ(11月22日~同27日)
ラコルタ柏(11月28日~12月4日)
県立柏の葉公園センター(12月5日~同10日)
パレット柏(12月11日~同14日)

時 間 午前9時~午後5時
主 催 NPO法人「かしわ環境ステーション」
入 場 料 無料

朝市と手づくりマーケット
「香取さまで会いましょう」

開 催 2015年4月から毎月第1土曜日 (2022年12月3日をもって終了)
場 所 香取神社境内
    我孫子市緑町1-6-8
時 間 午前9時~午後2時
主 催 市民ボランティアグループ「オキクルミ」

年の瀬を彩る輝くイルミネーション

利根川  新大利根橋から西方を望む
柏市   あけぼの山農業公園
     北柏ふるさと公園
我孫子市 JR天王台南口ロータリー

市民が撮った柏の自然
「生きもの」写真の巡回展

 

――「柏にこんな生きものが」という写真展が、柏市で開催中だ。11月22日に「ひまわりプラザ」(柏市沼南近隣センター) でスタートし、12月14日まで同市内の公共施設で開く巡回展だ。

 

写真:巡回展のポスター

 

 

 

企画したのは写真愛好グループではない。柏市の環境行政と連携する市民のNPO法人「かしわ環境ステーション」で、市民が身近な生物を撮った作品を募集したものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の巡回写真展にあたって7月から8月にかけて作品を公募し、500点を超える動植物、昆虫、魚類などの写真がEメールやUSBメモリで寄せられた。整理、選別した写真をジャンル別に大判のパネルにまとめて展示している。

 

 

柏市教育福祉会館「ラコルタ柏」会場を訪ねた。一般開放されている3階のオープンスベース西側の三方にパーテーションをコの字型に設置。1枚に写真6~10点が印刷された大判パネル20枚が展示された。

 

 

写真上:「ラコルタ柏」では一般用のオープンスペースが会場になった

 

 

 

季節の草花、動物、野鳥、昆虫、そしてすっかり定住したかのような外来生物の数々……。実に多種多様な生き物の姿が描かれている。手持ちのスマホで撮ったと思われる写真に交じって、接写用のマクロレンズ、逆に遠くを狙う望遠レンズを使った写真も見受けられた。

 

 

写真:初夏の植物(左)から野鳥(中央)、チョウ(右)などを集めたパネル

 

 

 

一般公募だが、市民が撮ったものに加え、写真愛好家が専門機材を使って場所を探し、撮影したものもあり、幅広い作品群だ。そこに共通するのは「柏の自然」を各人の目線で狙ったことだろう。

 

 

 

巡回写真展は例年10月~12月に実施する「柏の自然と生きものフェスタ」の一環。かつては環境調査などでスタッフが撮った写真を利用していたが、市民に参加を求めようと公募写真に切り替えた。毎回、数百点の応募があるという。

 

 

写真上:個別パネルを熱心に見学する入場者

 

 

 

今年は10月29日にアミュゼ柏で開いた講演会「柏の外来生物」、11月3日に市内「手賀の丘公園」で実施した自然観察会に続く「生きものフェスタ」の企画だ。

 

 

写真:水辺に棲み付いた外来魚種

 

 

 

写真展担当の輿石邦夫・生物多様性部会副部会長は「柏にはいろんな生きものがいる。そんな豊かな自然に気づいてほしい。そして関心を持って柏の自然に親しんでもらえればいい」と話した。

 

 

 

 

 

 

 

「かしわ環境ステーション」は市民や環境問題の専門家らで2005(平成17)年10月に発足し、2015(平成27)年8月にNPO化(事務局・南部クリーンセンター)された。生物多様性部会、温暖化対策部会があり、約50人のメンバーが集う。

 

 

 

北部の「大青田の森」「こんぶくろ池」がある利根運河、南部の「下田の杜」「増尾城跡」などの大津川西、東部の「手賀の丘公園」などの手賀沼東など7エリアにある37か所を自然度が高いホットポイントとして、担当エリアを決めて調査、保全活動をしている。その結果に応じて草刈りしたり、草花を移植したりの活動をする。

 

 

写真上:ホンドタヌキ

 

 

 

「かしわ環境ステーション」が2016~2018年、柏市と協働で実施したホットポイント中心の自然環境調査では、柏の代表的な常緑広葉樹はシラカシ、アカガシ、落葉樹はイヌデシ、コナラ、クヌギなど。

 

 

 

動物は哺乳類10種、鳥類74種、爬虫類11種、両生類8種、魚類19種、昆虫類486種が確認された。千葉県のレッドリストで絶滅危惧種に指定されている種も少なくないという。

 

 

 

アライグマ、ハクビシン、カミツキガメなどの外来種も増え、手賀沼周辺ではコブハクチョウによる農作物の食害も目立ってきた。

 

 

写真上:最近あまり目にしなくなったでんでんむし「ミスジマイマイ」(左)、羽化するアブラゼミ(右)

 

 

 

柏市大井にある船戸古墳地では、地元ボランティアの手入れにより、十数株だったキンランの開花個体が400を超えるまでに増えた。人手により回復しつつある自然がある一方、南部地区の斜面林など2箇所が消失、森1箇所が土地転用で調査困難になった。

 

 

 

残るホットポイントのうちの19箇所も植生や動植物の生息が後退しているという。要因として宅地開発、埋め立て、樹木の伐採などが挙げられている。

 

 

 

この自然環境調査を基に柏市が2019年3月、市民向けガイドブック「さがせ! 柏のしぜん」(A4判、64㌻)を発行した。ホットポイントがある7エリアの豊かな自然、動植物のカラー写真、担当ウォッチャーのコメントで紹介している。

 

 

写真上:木の枝に陣取ったフクロウの幼鳥(左)、アカネスミレ(右)

 

 

 

巻末で2008年~2018年の10年で消滅した6箇所の写真を掲載し、こう綴っている。

 

 

「変化をし続ける『柏のしぜん』。今後どのように『柏のしぜん』とかかわったらよいでしょうか? もっと自然を探したい、自分でみつけた自然を守りたい。そういう人が増えてほしい」

 

 

ガイドブックにはそんな願いが込められている。

 

 

 

 

 

(文・写真 Tokikazu)

名物の朝市が終了
新たな活動場所を模索

――JR我孫子駅南口前を走る旧水戸街道(国道356号)。江戸時代にあった我孫子宿のほぼ中心という辺りに毎月第1土曜の朝、白地に赤抜き文字で「香取さまで会いましょう」ののぼり旗が揚がる。

 

写真上:最後の朝市を知らせるチラシ(左)、神社の境内に並んだテントの朝市に詰めかけた市民(右)

 

 

 

地元ボランティアグループ「オキクルミ」(秋元佐予さん主宰)による朝市と手づくりマーケット「香取さまで会いましょう」の開催を知らせる合図だ。2015年4月から続いている朝市だが、12月3日が最後になると聞いて出掛けた。

 

 

写真上:神社の境内ににぎにぎしく立てられたのぼり旗

 

 

 

旧水戸街道から南へ100㍍ほど入った香取神社が会場。のぼり旗がはためく境内のシイノキやケヤキの巨木、古木の間を縫うように簡易テントの店やキッチンカーが並んでいた。

 

 

写真上:店頭に手作りの飾りが吊るされた

 

 

 

飲食店のお惣菜、地元農家の採りたて野菜、グループの手作りアクセサリーに小物、専門店のメキシコ雑貨や陶芸品……。境内狭しとばかり様々な品物が並んだ。客と売り子が知り合いなのか、あちらこちらで談笑する光景が見られた。ちびっ子用の綿あめ売りも居て、懐かしくもあるアットホームな雰囲気を感じた。

 

 

写真上:カラフルな衣料品などが並んだメキシコ雑貨(左)、朝市の名物の一つになった多品種ジャガイモ店(右)

 

 

 

社務所の2階ベランダはマイクやスピーカーが用意され、即席のライブステージになった。沖縄の歌やギターと尺八、ジャズのバンドが次々と登壇してにぎやかに演奏した。コロナで最近は自粛気味だが、プチお祭りのようでもあった。

 

 

写真上:子どもに大好評の綿あめ。お祭りムードを盛り上げた(左)、季節感を醸し出したクリスマス飾り(右)

 

 

 

香取神社は江戸時代中期の享保年間(1716~1736)の創建とされているが詳細不明という。数度の火事で焼けたり、周辺神社との合祀を繰り返したりしたが、我孫子宿の鎮守として親しまれた。

 

 

写真上:社務所2階のベランダがライブステージになり、バンド演奏もにぎやかだった

 

 

 

現社殿は1981(昭和56)年の建築。常駐神職がいないため、地元住民の総代会が管理する。うっそうとした木々の境内は夏涼しく、ちびっ子にとって絶好の遊び場だ。

 

 

写真上:益子焼の皿に揮毫する柏市の書家今泉岐葉さん(左)と栃木県益子町の陶房から出品された陶芸コーナー(右)。

 

 

 

近所だった「オキクルミ」の秋元さんも慣れ親しんだ一人。2013年から社務所や境内の掃除や草むしりを始めた。翌2014年の正月から初詣客を迎える「香取さまの初詣」を企画し、小、中学生らによる巫女神楽「浦安の舞」などを奉納するようになった。

 

 

朝市は秋元さんらが「兄貴」と呼んで親しかった柏市の写真家森かずおさん(2019年、68歳で死亡)に勧められ、2015年から始めた。森さんは流山市の利根運河で2009年から始まった「うんがいい!朝市」の名づけ親でもあるという。

 

 

総菜や花苗を扱う「永田屋」の永田明美さんは秋元さんとは同級生。柏市の東武野田線高柳駅前で喫茶店を営む母親栄子さんと、朝市が始まった当初から出店している。「始めは店もお客さんも少なくて、出店者同士で買い物をし合っていた。だんだん客が増え、出店も増えた。子どもたちが遊びに来るようになって楽しいですよ」という。

 

 

写真上:柏市の永田栄子さん(左)、娘の明美さん(中央)らが朝市の老舗「永田屋」を切り盛りした

 

 

 

社務所前のテントで御朱印を受け持つ地元の書家河村詩夕さんも「始めはねぇー、お客さんもお店も少なかったので、一人でのんびり、ゆるゆるでやっていました」と付け加えた。賑わいが増すにつれて、揮毫する書家も見習いのスタッフも増え、忙しくなった。

 

 

写真上:書家河村詩夕さん(中央)ら御朱印担当スタッフ。河村詩夕さん、久保煌泉さんら地元書家による御朱印(右)

 

 

 

確かに始めは出店者も5店前後だったが、口コミなどで広がり、最近は30店前後を維持するようになった。この3年、コロナ禍で出先がなくなった店が噂を聞きつけて集まってきた感もなくはないという。

 

 

写真上:我孫子市で「そうま農園」を営む相馬伸年さん、英里さん夫婦

 

 

 

コロナで休止も考えたが、常連の出店者が「死活問題になる」との話や、子どもの遊び場がなくなって困る、といった声もあって悩んだ末に続けた。「コロナ禍なのに騒いでいる」「ドラムたたきは神社にふさわしくない」と警察に通報されたり、神社庁に電話されたりもあった、という。

 

 

我孫子市内の農地で季節の野菜を作る「そうま農園」の相馬伸年さん、英里さん夫婦も朝市当初からの出店者で、市内のスーパーや産直所に品物を提供する。

 

 

伸年さんは「朝市で知り合ったお客さんが気に入った野菜のファンになってくれたり、スーパーで買ってくれたり。出店者同士の情報交換もさることながら、お客さんと直接話せて、食べ方を聞くなどで大変勉強になった」と振り返る。

 

 

朝市に終止符を打つことになったのは、神社総代会が参拝者や周辺住民の安全のため、春に実施した木々の剪定、伐採が発端という。「鎮守の森」と長年共存してきた「オキクルミ」が考える伐採の時期、方法などとの違いが表面化し、使えなくなったのが背景のようだ。

 

 

秋元さんは「出店希望がキャンセル待ちになった状況や、子どもが残念がるのには心が痛む。香取神社にかかわって10年。何にでも先がある、ステップアップ的な……。個人もそうだけど、グループも成長して次のステップに進むのかな、って思っている」と話した。

 

 

「みんな次の出会いを楽しみにしている」として、利根川越えも視野に、新たな活動場所を模索する。正月の「香取さまの初詣」終了後、どんと焼き、境内や社務所の後片付けをして完全撤退する、という。

 

 

「鎮守の森」の剪定・伐採で見るからに寂しくなった境内は、月1回の朝市の賑わいもなくなり、より寒々としそうだ。

 

 

(文・写真 Tokikazu)

年の瀬を彩る
輝くイルミネーション

 

――日の出、日の入り前後、空の色がドラマチックに変化する時間帯を「マジックアワー」と呼ぶのだそうだ。12月16日の日没直後、利根川をまたいで柏市と茨城県取手市をつなぐ新大利根橋をマイカーで走った。遥かかなたの西で、濃いオレンジ色の空に浮かぶ富士山が見えた。

写真上:日没後の富士山のシルエット。中高層ビルの灯りとコラボした(利根川の新大利根橋から西の柏市を望む/一部画像を加工)

 

 

 

「マジックアワー」に毅然とそびえる富士山を背にしたビル群から発する豆電球のような灯りが、天然のイルミネーションのようだった。

 

 

 

コロナ禍の中で行動制限が緩和された今冬。都心の街角でイルミネーションが復活しているようだ。柏市あけぼの山農業公園でも再開された。コロナ禍前、風車周辺であった17万5千のLED電球が輝く「夜空に輝く★イルミネーション」は脇の池に反射し、幻想的でもあった。

 

 

写真上:瞬時に色を変えて星のように輝くオブジェ(柏市あけぼの山農業公園)

 

 

 

規模的には10分の以下のように見えた。今回は「ナイトフォトスポット」として、クリスマスツリーやサンタ、トナカイなどのオブジェと一緒に写真が撮れるエリアを設けた。家族連れが訪れてはスマホのシャッターを切っていた。12月25日まで。

 

 

写真上:定番のクリスマスツリーとサンタ(左)に交じって、かわいいリスなどの小動物も姿を見せた(柏市あけぼの山農業公園)

 

 

 

手賀沼西岸の柏市北柏ふるさと公園では2017(平成29)年から続けられているという。公園を管理する「柏市みどりの基金」が地域の魅力アップのために企画した。

 

 

 

てっぺんに二羽のハクチョウをあしらったテント型ゲートが見物客を出迎える。園内の建物で営業を終えたカフェのガラス窓にゲートの電飾が反射し、奥深さを演出しているようだ。

 

 

写真上:夜の訪問者を出迎えるゲートのイルミネーション(柏市北柏ふるさと公園)

 

 

 

ゲートのハクチョウは、手賀沼に棲みついた家族をイメージしたデザインという。光り輝く木立の間でLEDの「青い湖」で泳ぐハクチョウのオブジェもあった。

 

 

写真上:LEDの湖を泳ぐようなハクチョウ(柏市北柏ふるさと公園)

 

 

 

毎年、少しずつ形を工夫して変えているという。いつもなら1月末まで続けるが、今冬は電力事情からあけぼの山農業公園と同じ12月25日までだ。

 

 

写真:音符を背に踊り出しそうな雪だるまのカップル(柏市北柏ふるさと公園)

 

 

 

我孫子市のJR天王台駅南口ロータリーでは今冬、初めてのイルミネーションがお目見えした。地元の天王台商店会と同南口で花壇の世話などをしているボランティアグループ「あ!美ふるクラブ」のコラボ企画という。

 

 

 

商店会のマスコット、忍者の「天ちゃん」を中央に「I♡TENNOUDAI」の文字が描かれている。商店会の「駅前のイメージアップにつながれば」という願いがこもる。1月末まで点灯予定だ。

 

 

写真上:地名入りのデザインが街灯りに溶け込んだ(我孫子市のJR天王台駅前)

 

 

 

雨は夜更け過ぎに 雪へと変わるだろう Silent night、Holy night・・・・・・。この時期、どこからともなく聴こえてきそうな山下達郎の「クリスマス・イブ」。

 

 

イルミネーションを盛り立てるような軽快なリズム、メロディーだが、クリスマスが終わるとすぐの大晦日、そして新年を迎えるカウントダウンのようでもある。

 

 

 

(文・写真 Tokikazu)