旅好き夫婦の写真展
全国各地、海外の街並みも
――「旅先の記録に始めた写真なんだけど……」。鎌ヶ谷市の岩本武尚さん(75)、恵美子さん(71)夫婦が鎌ヶ谷市東部学習センターで写真展を開催中だ。エミ・タケ・フォト展「想い出のにっぽん」。旅好きの夫婦が撮りためた写真を展示している。コロナ禍で中止していたが、3年ぶりに復活させた。
■写真上:「エミ」の岩本恵美子さん(右)と「タケ」の岩本武尚さん
同センター通路ギャラリーに上下2枚ずつ25列。写真展タイトルの「エミ・タケ」は名前の頭文字で、恵美子さんの「エミ」、武尚さんの「タケ」の撮影名が作品の上下交互に並ぶ。
■写真上:撮影者「エミ」「タケ」の作品が上下2段交互に掲げられた
写真はシックな黒い額に入ったA3判より一回り大きいA3ノビ(329×483㍉)の大判。北は北海道から南は鹿児島・奄美大島までの海、川、山、季節の花々などバラエティーに富んだテーマだ。
夫婦旅行で訪れた場所で撮った写真。作品一枚一枚に短歌風のメッセージが付いている。短歌好きの武尚さんが考えたものだという。
武尚さんは大学時代、化学系ゼミの資料作りでフィルムカメラをいじったことはある。が、本格的には夫婦で新聞販売所を切り盛りしていた50代から始めた。市内の写真愛好グループに入会し、5、6年在籍して技術を磨き、作品展にも参加した。
■写真:日本各地の美しい自然や季節の花などがテーマになっていた
新聞の休刊日には必ずといっていいほど夫婦で1泊の旅に出て写真を撮った。最初に手にしたのはフィルムの一眼レフカメラだったが、自分でプリントできるデジタル一眼に代った。「写真が好きというより、主人に付き合って撮るようになった」という恵美子さんも、引き込まれるようにコンパクトカメラから一眼レフを持つようになった。
62歳で仕事を引退すると、旅に出る回数も多くなった。二人で全47都道府県を回り「日本と違う景色を求めて」(武尚さん)海外にも行くようになった。渡航先も45か国となり、1回の旅で1000~2000枚を撮影する。国内外大量の写真はパソコンの外付けハードディスクに保存している。
「一緒に旅行に行って、一緒に撮った写真だから、一緒に展示しましょう」(恵美子さん)と2018(平成30)年5月から夫婦写真展を開くようになった。武尚さんは「何十年も一緒に新聞販売所の仕事をやってきたし、一緒に開く写真展に何の違和感もなかった」。
あらかじめ気にったものを数十点選んで別に保存しており、それからピックアップして展示する。1回目はキラリ鎌ヶ谷市民会館で海外の写真を集めた。翌19(令和元)年は春に海外、秋に国内写真を展示した。20(令和2)年は計画したものの、コロナ禍で叶わなかった。
■写真:今年7月に「エミ」撮影の石川県金沢市の古い街並み(上)とJR金沢駅前を撮影した最新作もあった
長年、夫婦で連れ添って訪れた旅先でカメラに収めた写真。撮影後はパソコン2台を使い、それぞれのモニターで互いの写真を同時に写し出す。同じ場所での撮影もあるが、武尚さんは「これいいねってくらいで批評はしない」という。
「でも、最近(エミの写真は)捉える目がしっかりしてきて、いい感じになってきた」
恵美子さんは「一緒に旅行に行って一緒に写真を撮るのが楽しい。作品展で写真を額に入れて飾ると、よくなります。見栄えもいい」と笑う。
■写真:展示会場の先頭に手作り感あふれる案内板があった
作品展後の9月末、青森県下北半島の恐山など、北東北に3泊旅行に出かける。十数年前に訪れているが、違う季節の風景が狙いだ。
今回は「国内版」だったが、来年5月には同市民会館で「海外版」の展示を計画している。
■左:「橋杭岩」 立ち並ぶ岩の見事さ華麗なり、何千年も続いた景色なり、眺める人の気持ちは如何に(2017年8月、和歌山県串本町)
■右:「越前海岸」 荒波の日本海が創出した岩の芸術か、見事な居りなしを…(2022年7月、福井県越前市)
■左:「樹」 樹連なり、水面に反射して秋の風情なり(2014年12月、東京都新宿区)
■右:「地に空に」 コキアの見事さ溢れて飾り、空にも明日の天候飾る美しさ(2014年10月、茨城県日立市)
■左:「静かな」 雲が漂う青空に何を思っているのかな。ドーンと構えた大岩なりて(2014年6月、北海道中札内村)
■右:「滝」 滝川上流が源流とされる袋田の滝、見事な水量。冬は氷瀑となる(2021年7月、茨城県大子町)
■左:「日没」 大きな心を秘め足りて、真っ赤な希望がまた明日へ…(2021年5月、秋田市)
■右:「白樺湖」 蓼科山を見上げて湖水を見れば、夏の爽やかさが心に染み渡る気持ちなり…(2021年7月、長野県茅野市)
(文・写真 Tokikazu)