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7月

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進化、熟成する個性
柏市ゆかりの作家作品展

開 催 2022年7月3日(日)
~2022年7月10日(日)
場 所 パレット柏・市民ギャラリー
柏市柏1-7-1-301号
(Day Oneタワー3階)
主 催 柏市美術会
後 援 柏市、柏市教育委員会
入 場 無料


2022 第57回松戸市美術展

開 催 2022年7月26日(火)
~2022年8月7日(日)
場 所 松戸市文化ホール
松戸市松戸1307-1(松戸ビルヂング4F)
主 催 松戸市教育委員会、松戸美術会 入 場 無料


進化、熟成する個性
柏市ゆかりの作家作品展

 

――在住者だったり、出身者だったりする柏市ゆかりの作家集団「柏市美術会」(根本忠緒会長、会員21人)の「第4回柏市美術会展」が7月3日から柏市文化・交流複合施設「パレット柏・市民ギャラリー」で開かれた。

写真上:小品から100号を超える大作が展示された会場

 

 

 

 

写真上:街角の風景を組み写真のようにセットにした作品を眺める入場者

 

 

 

100号を超える大作があったり、自由にカットした大型のカンバスを組み合わせたり、街角の景色を小品5点にまとめて表現したり。休会の1人を除く20人から油絵、水彩、アクリルなど様々な画材を駆使した個性あふれる計26点が出品された。

 

写真:4回目となった柏市美術会展の案内はがき

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨年初めて出品した松谷登さんは、鮮やかな色使いが印象的だった。留学経験もあるスペインなどヨーロッパや渡航先で出合った田園、街並みの心象風景を中心に描いてきた。

 

写真:松谷登さんの「月」

 

今回は、緑深い里山で紅い屋根の農家が際立つ長野・戸隠の空に浮かぶ満月を描いた「月」という新作、30年ほど前に描き上げていたスペインの村「ダロッカ」の風景画2点を出した。

 

 

松谷さんは「最新の作品とかなり前に描いた作品を並べ、比べてみたかった」という。言外に作家は同じものを描くだけでなく、進化して変わっていくのをアピールしたい、との想いがにじむ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

散歩の途中で出合うなどした草花を水彩画で描き続け、先ごろ「花も実もある人世サ」という19回目の個展を開いた上田昭久さん。同美術会展の常連だが、熱帯の帰化植物「ジョウジョウソウ」と手賀沼の風景画に加え「偶然見つけたこの風景」と名づけた2枚一組の作品を出した。

 

 

写真:上田昭久さんの「偶然見つけたこの光景」

 

 

竹を組んだ垣根にさりげなく置かれた落とし物(?)の片方の赤い手袋の絵と、民家の玄関先の植え込みの中にある白い石膏像の頭を描いた絵のセット。近所や手賀沼へ行く途中に見かけて題材にした。

 

 

「花ばかりでなく、何かないか、いつも歩いて探し回っているから」と上田さん。石膏像は伸びた植え込みに隠れ、今は見えなくなったという。

 

 

 

 

上田さんは今年80歳。先の個展では花の絵とともにトランプの絵札に土偶を登場させたり、ペン画で古木・巨木を描いたり。新しい作品に意欲を見せていた。

 

 

生命体に深くかかわる水の「AQUA」(アクア、ラテン語で水の意味)をテーマに創作を続ける若手の神田みきさんは、今回もAQUAの3作品を出した。渦潮のような藍の渦巻き、ターコイズブルーの海中で踊る女性……。神田さんは「コロナの社会を水で表現しました」

 

 

写真上:神田みきさんの「AQUA」の3作品

 

 

 

事務局を預かる香島ひで子さんは、かつて房総を歩いて漁村の風景を描いていた。40代の頃、ヨーロッパ旅行先の風景に接し「描きたかったのはまさにこの風景」と実感した。帰国後、旅先で見た風景を想い描いて筆を執っている。

 

 

写真上:ヨーロッパの街並みの心象を描いた香島ひで子さんの「追想」

 

 

 

水辺の小高い丘に連なる家々が、夕暮れの水面に映える幻想。今回もヨーロッパで見かけた街の心象を想い描いた香島さんらしい作品だ。

 

 

「人物、静物、風景といろんなタッチの絵を描いているうちに、自分なりのカラーが出てくる。自分の作品とわかってもらうとうれしい」

 

 

市内ではプロ作家らによる美術会、美術展がそれぞれに展開されてきた。香島さんらは柏の芸術・文化振興のため、2016(平成28)年12月、新たに会員制の「柏市美術会」を発足させた。

 

 

17年4月に「柏市美術会設立準備展」を同会場で開催し、18年の第1回展から定期開催をスタート、20年はコロナのためやむなく中止し、21年に再開して今回第4回展を迎えた。

 

 

香島さんは「会員は、口には出さないが、メラメラしたものを心に秘めている。出品作品を手抜きすると見破られる、という緊張感もあると思う。そんなプロの絵を中央に行かなくても、見て頂きたくて企画している」と話した。

 

 

 

 

写真上:関口聖子さんの「切り取られた記憶」(左)と「再びの展開」、黒田邦裕さんの「存在の証明」(3枚組)

 

 

 

写真上:細野茂紀さんの「冬暁」(左)、山下恭子さんの「花」(右)

 

 

 

写真上:海東照子さんの「追想の刻」(左)、根本忠緒さんの「WORK秋奏」(右)

 

 

 

写真上:伊藤一子さんの「サクラ咲く港の町」(左)、石﨑琇子さんの「組曲」(右)

 

 

 

 

(文・写真 Tokikazu)

会場あふれる252作品
松戸市民による公募美術展

――松戸市文化ホールの全展示エリア、スペースに市民の作品が掲げられた。7月26日から始まった「2022 第57回松戸市美術展」。250点を超える日本画、洋画、彫刻が会場を埋め尽くし、入場者は会場案内図を手に迷路のような会場を回った。

写真上:市民の応募作品が展示スペースいっぱいに飾られた

 

写真上:57回を数える松戸市美術展の受賞者・出品目録の小冊子

 

 

 

同美術展は美術文化の向上、普及、発展を目的に1966(昭和41)年から松戸市教育委員会、松戸美術会(小島隆三会長、125人)の共催で開催している。原則として16歳以上の市内在住、在勤、在学、同市出身者、市内美術サークル会員を対象に作品を募集。共催の松戸美術会会員が審査する公募展だ。

 

 

 

例年6月開催だが、このところのコロナ禍で昨年は12月、今年もひと月遅れとなった。各回250~300点の応募があり、今回は一般市民、同美術会準会員(美術展実行委員)と審査対象外の同会員(同運営委員)から252点の応募があった。

 

 

写真上:バラエティーに富んだ作品を鑑賞する入場者

 

 

 

一般市民の最高賞は市長賞、次いで松戸美術会賞、議長賞、教育委員会教育長賞……。準会員は市展賞、松戸美術会特別賞となり、この受賞の積み上げが正会員となる条件の一つになっている、という。

 

 

会場の松戸市文化ホールには市民ホール(300平方㍍)、市民ギャラリー1、同2、同3(いずれも150平方㍍)があるが、作品は全施設で展開されている。合計750平方㍍ある展示場が壁や展示用パーテーションで仕切られ、入場者は会場配布の入賞者名・出品目録に印刷された会場案内図を参考に会場を歩いて作品を鑑賞した。

 

 

写真上:色遣いが際立つ作品も多かった

 

 

 

42点の応募があった日本画は近年の傾向で水墨画が多かった。洋画は油絵、水彩画など198点。風景、静物、人物と様々なモチーフで、明暗の際立ったバラエティーに富んだ色彩が印象的だった。彫刻は12点と少なめだが、針金や材木を使うなど、新たな取り組みの息吹が感じられた、との講評だ。

 

 

写真上:今年は水墨画が多かったという日本画コーナー

 

 

 

同美術展を審査する松戸美術会の前身は、1949(昭和24)年の第1回松戸市文化祭(松戸市教育委員会主催)に出品した日本画、洋画、彫刻、工芸の美術家が3年後に設立した「松戸美術懇話会」だ。

 

 

写真上:カンバスの使い方がユニークな松戸美術会会員(運営委員)の作品コーナー

 

 

 

同懇話会は美術家同士で切磋琢磨しようというグループだったが、作品展を開催するまでには至らなかった。しかし、11年後の1963(昭和38)年、松戸市長だった故石橋與一(1904~1974)を会長に迎え、プロの美術家17人が「松戸美術会」を立ち上げ、同6月に第1回松戸美術会展を開催した。

 

 

写真上:洋画・市展賞「木もれ陽の森にて」(妹尾 宏行)(左)、洋画・松戸美術会賞「爆音地下地下お散歩犬」(芳賀 篤)(右)

 

 

 

同美術会の活動が軌道に乗ると、松戸市、松戸市教育委員会の提案によって、共催による市民公募の美術展が1966年からスタートした。

 

 

写真上:日本画・市展賞「きょうめい」(布目 喜甲)(左)、日本画・市長賞「厳冬、光の神秘」(佐藤 和男)(右)

 

 

 

同展運営委員で彫刻家片岡千明さん(61)は高校美術部員の頃、顧問の先生の薦めで出品したことがある。出品2度目の高校3年生で一般のナンバー2に当たる松戸美術会賞に選ばれた。これが励みになって東京芸術大学に進み、大学院でも彫刻を学んだ。

 

 

写真上:日本画・松戸美術会賞「わたしのしあわせ」(榎 浩子)(左)、洋画・市展賞「Cheers!」(小野寺 美夏)(右)

 

 

 

40代の頃、何回目かの個展を東京都内で開いた際、見に来てくれた知人の紹介で松戸美術会に入会し、10年ほど前からは審査委員になった。「美術展は自分の出発点。恩返しのつもりで会員になり、審査委員を務めている。落とすのではなく、よい所を見つけ出すようにしている」

 

 

写真上:洋画・市長賞「旧岩淵水門」(小林 峰子)(左)、彫刻・審査対象外「千四百万年前よりの聲」(運営委員・片岡 千明)(右)

 

 

 

会員による毎年正月の松戸美術会展はコロナ禍などで中止になっているが、来春、3年ぶりに再開の予定だ。片岡さんは「審査を担当する立場でもあるし、恥ずかしい作品は出せない」と話している。

 

 

 

写真:彫刻・教育委員会教育長賞「営業部・ネズミ係長」(菊地 忍)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真:彫刻・入選「木像A木像B」(本間 俊)(左) 

 

同「たつ・こうぞのはりこ」(じんぶ おさむ)(右)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(文・写真 Tokikazu)