ミュージアムINFO

5月

     5月

中村惠美写真展
「RING OF LIFE」

 

 

開 催 2022年4月16日(土)~2022年5月5日(木)
場 所 我孫子市生涯学習センター「アビスタ」
我孫子市若松26-4
主 催 我孫子市教育委員会
入場料 無料

スライドトーク「北極、南極の動物達の『命』が、今、ここで一つに」
開 催2022年4月23日(土)
場 所 「アビスタ」ホール
主 催 我孫子市教育委員会
入場料 無料


第1回ART CINQ小品展

 

 

開 催 2022年5月10日(火)~2022年5月15日(日)
場 所:興風会館・地下ギャラリー 野田市野田250
主 催:アトリエ KOBAYASHI
入 場:無料



我孫子野鳥を守る会創立50周年記念野鳥写真展
一瞬の出会いを切り取る「素晴らしい野鳥の世界」柏会場

 

開 催 2022年5月10日(火)~2022年5月15日(日)
開 催 2022年5月13日(金)~2022年5月18日(水)
場 所 パレット柏・市民ギャラリー     柏市柏1-7-1-301号 (Day Oneタワー3階)
主 催 我孫子野鳥を守る会
後 援 公益財団法人・山階鳥類研究所
協 賛 柏市

 

 

第7回写真展「こんな素敵な野草たち~春から初夏の野草」

 

開 催 2022年5月24日(火)~同29日(日)
場 所 柏の葉公園センター・緑のギャラリー(柏市の県立柏の葉公園内)
主 催 野草フォトクラブ19
後 援 柏市、柏市教育委員会
入場料 無料

 

 

客室乗務員から写真家に
動物との共存、地球環境考える

――野生動物写真家、中村惠美さんの写真展「RING OF LIFE」が、我孫子市生涯学習センター「アビスタ」で開かれた。水しぶきを上げるクジラ、氷上のホッキョクグマ、愛らしいペンギン……。北極、南極に生きる生物がありのままの姿を見せていた。

 

写真上:写真展会場の1階中央通路は見学者が絶えなかった

 

 

 会場となった1階中央通路の展示スペースには北極、南極ごとに整理された大小40点の写真が展示された。北極は生物の頂点に君臨するホッキョクグマ、ぬーっと海面から顔出すセイウチ、空飛ぶアジサシ。意外にも道端の野草のように可憐な白やピンクの花もあった。

 

南極はやはりペンギンが主役だ。整列したり、青空を見上げるようにしたりが何とも愛らしい。あくびするユーモラスなアザラシ、仲睦まじいナンキョクオットセイの姿もあった。

 

写真上:北極を飛ぶ鳥の格好を真似る見学者

 

 

訪れた家族連れから「可愛いね」との声が何度も漏れた。会場に置かれたノートに「愛がこもった写真に自然な姿の命を感じます」といった見学者の感想が残されていた。 4月23日には「北極、南極の動物達の『命』が、今、ここで一つに」と題したスライドトークもあった。

 

中村さんは2004年以降、南極に8回、北極に2回、カメラ4台、超望遠レンズなど5本を抱えて渡航した。撮影した写真をスクリーンに出しながら船旅の様子から撮影方法までの体験談を1時間半近くにわたって語った。

 

南極までの距離は、南極にある看板で東京から約1万6411㌔だという。東京―札幌が約800㌔あるので大体10往復分で、飛行機と船を乗り継ぎ5日間かかる。毎回、船酔い止めの薬を持参するという。

 

写真:極地の動物について熱く語る中村惠美さん

 

 

 

小学1年生くらいの背丈があるコウテイペンギンなど18種のペンギンがいる。遭遇しても自分からは近づかず、最低でも5㍍の距離を保って撮影したり、波打ち際などでカメラを構え、海から揚がって来るのをじっと待ったりするという。鳥は5㍍以上、アザラシは15㍍以上の距離を保つのがルールだ。

写真:スライドトークでスクリーンに登場したペンギン

 

 

南極で絶対やってはいけないのは、当たり前のことだが、生物を捕まえる、驚かす、触るなどで、ごみ捨てはもちろん、焼却もやってはいけない。トイレは必ず船に戻ってからにする。

写真上:ザトウクジラ 人間世界に挨拶するかのように、水しぶきを大きく上げ、巨体を水中に潜めた

 

 

 

北極では地元のイヌイットをガイドにすることになっている。氷上をスノーモービルが引くそりで移動するが、氷の割れ目などがあって危険だ。そこで現地に詳しいガイドが必要なのだ。

 

 

写真上:ホッキョクグマ 水面に映る自身の姿を幾度となく見つめているように思えた

 

 

 

撮影したいホッキョクグマと遭遇した時、ガイドの指示に従わずに近づくなどで襲われた場合、ガイドが危険回避のために射殺することがある。絶滅危惧種なので射殺すると補償金が必要な場合もあり、そのために払えるという「誓約書」を書く。ガイドは必ずライフルを持って同行する。

 

 

写真上:ホッキョクギツネ 新しい命。安心するかのように警戒心を知らぬ無垢な瞳は眠りについた

 

 

 

極地で撮影を続ける中村さんは、氷河の崩壊や溶け出す海氷を目の当たりにした。温暖化がもたらす結果なのだろうと思っている。氷が解けたり、薄くなったりすると、南極だと巣作り、子育てのペンギン、北極だとアザラシの繁殖に影響し、個体の数や、アザラシを獲物にするホッキョクグマの生態にも変化を与える。

 

 

写真上:アジサシ 大きく広げた翼が、長い旅を支えていく

 

 

 

日本近海でもアホウドリが口の中に釣り針のようなものを飲み込んで苦しんでいたり、プラスチックのごみを飲み込んでいたり。ごみを集めて営巣し、靴底の上で卵を温める海鳥もいるという。

 

 

写真上:セイウチ 人間を品定めするようにこちらを伺い、数頭の群れが泳ぎ去っていく

 

 

 

中村さんは「人と動物はともに同じ地球に棲む生命だ。人は生活しやすいように環境を変えてきたが、動物たちはその環境に合わせて生きている。今、私たちができることは、互いが棲みやすい状況を創ること」と力説した。

 

 

中村さんは東京都出身。小さいころから動物が好きだった。特に海の生物が好きで、一眼レフカメラを抱えて水族館に行ってはシャチとかアザラシを撮っていた。1998(平成10)年、カメラ仲間と撮影に行った北極圏にあるノルウェー・ロフォーテン諸島で野生のシャチに出合った。

 

 

それに魅せられて以来、野生生物や自然界の写真にのめり込んだ。全日空の客室乗務員(CA)時代、温暖化が取り沙汰されて、その影響を受けやすいのが極地だと知った。南極での撮影を目指したが、なかなか長期の休みが取れない。それならCAを辞めようと、2004(平成16)年に全日空を退職して、撮影活動をスタートした。

 

 

とはいえ、極地に行くにも旅費、滞在費が掛かる。2007(平成19)年、月8回のフライト、副業OKというCA経験者枠に応募し、試験を受けて再就職した。

 

 

写真上:スヴァールバルポピー 短い夏を精いっぱい生きるため、白い花は太陽の光を存分に浴びる(左)、 コケマンテマ 存在を示すかのように北極圏に美しい色を添える(右)

 

 

 

「シャチやアザラシに襲われるペンギンは仲間で助け合って必死に逃げ回る。人は自分で命を絶つことがあるけど、彼らは最後の最後まで生きることを諦めない。自然界に出ると動物から学ぶことがたくさんある」

 

 

自然の中で動物の写真を撮っているのが自分らしいし、一番居心地がいい――と思うようになり、5年勤めて完全退職した。

 

 

写真上:キングペンギン 輝く雫を携え、躍動感に満ちた肢体は本能の赴くままに同じ目的地に進んでいく

 

 

 

 

「RING OF LIFE」。北極と南極の二つを地球に沿ってぐるりと周れば「環」となり、一つになる。2007(平成19)年から各地で写真展や子ども病院などでスライドトークショーなどを開いてきた。2017(平成29)年には同名の写真集を出版し、札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡などの大都市圏で次々個展を開き、野生動物写真家として地歩を固めた。

 

 

写真:中村惠美さんの写真展案内に登場したホッキョクグマ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我孫子市にある山階鳥類研究所の調査ボランティアスタッフの経験もあり、1989(平成元)年創刊で隔月発行される「山階鳥研NEWS」の表紙写真を幾度も飾った。人と鳥の共存をテーマに我孫子市で開かれる「ジャパンバードフェスティバル」を訪れて人脈が広がり、祖母や叔父夫婦が我孫子の住人だった縁もあって写真展開催が実現した。

 

 

写真:アデリーペンギン 水面に映し出された情景。異次元が存在することを感じさせてくれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アビスタ」であった中村さんのスライドトークの質問コーナーの最後。小さな女の子がマイクを持ち「ペンギンは何年生きられるの?」と聞いた。一緒のお母さんが「(この子は)写真で見たペンギンが可愛くて、長生きしてほしい、と思ったみたい。近所のごみを週に1、2回拾ってくるけど、それがペンギンの長生きにつながるのかなって……」と補足した。

 

 

写真上:ナンキョクオットセイ 出逢いはいつも何かを教え、何かを変えてくれる

 

 

 

中村さんは「お子さんたちから教わることも多い。ペンギンや動物たちが長生きするためには、自分たちがどんなことをしたらいいか。みんなで一緒に考えて下さるとうれしい」と言って締めた。

 

 

動物の生態を知り、人と共存のため、地球環境をいかに守るか。写真展やスライドトーク企画の狙い通リのエンディングだった。

 

 

 

写真上:崩落する氷河 轟音を立てて陥落していく姿は、まるで地球の叫びと重なって聞こえた

 

■各作品の写真説明は撮影者のものを要約しました

 

 

(文・写真 Tokikazu)

描く楽しさの融合
6グループ初の絵画小品展

――F0号(18㌢×14㌢)の小さな絵ばかりを集めた市民グループの絵画展「第1回ART CINQ(アール・サンク)小品展」が5月10日から野田市の興風会館地下ギャラリーで開かれた。同じサイズだが、水彩、油絵、アクリル……と様々な画材に、風景、静物、人物といったいろんなモチーフのバラエティーに富んだ作品が並んだ。

 

写真上:作品のサイズだけでなく同じ目線、等間隔に統一された会場

 
 

アール・サンクは仏語でART(芸術・美術)、CINQ(五つ)の意味だ。野田、柏、流山各市で活動する「ルーヴル会」「モーヴ・アート」「アート・イーグル」「東彩会」「ボヌール」の「ART CINQ」5団体に「グループホワイト」を加えた計54人が各1品ずつ出した。

 

 

5団体は地元公民館などで開催された絵画教室の参加者が集まって設立した。講師は野田市のアトリエで絵画教室を開き、市民や美術系大学を目指す高校生らを教えるアートディレクター小林茂規さん。今は月2回、公民館などに集まって小林さんの指導を受けている。「グループホワイト」は各個人で小林さんのアトリエに通う大人の生徒たちだ。

 

 

写真上:初日の展示作業を終え、6グループのメンバーが指導者の小林茂規さん(前列右から2人目)と記念写真

 

 

 

「絵を通した輪を広げたい」という小林さんの考えから、柏市のさわやかちば県民プラザで隔年の合同作品展「ART CINQ」を開催してきた。2020(令和2)年の前回、F4~F80の自由サイズだった。「小品サイズに額も統一してやってみたら面白いのでは」(小林さん)として今回、小品展としては初めての企画となった。

 

写真:「MAGENTA―2022」(小林茂規さん)

 

 

 

 

 

 

絵柄の縦、横の違いはあるものの、ギャラリー三方の展示スペースに同じ高さ、等間隔で並ぶ作品は、見事に統一感がある。反面、画材もモチーフも思い思いの工夫があって逆に個性を強めている印象も受けた。

 

 

写真上:展示された作品を調整するスタッフ

 

 

 

今回の小品展を担当した「グループホワイト」の藤本泰樹代表は主に水彩画に取り組んでいる。「物を見て描くのが楽しい。みんなでやって来たこと、出来たものを見て頂いて批評頂ければいいですね」という。

 

写真:「柳葉魚」(藤本泰樹さん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

22年前に発足した「ルーヴル会」の高橋道彰会長はアクリル、水彩、油絵をこなす。「どう工夫すれば納得のいくものになるかを考えて描いている」という。

 

写真:「あじさい寺」(高橋道彰さん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

設立4年と最も若い「ボヌール」は、野田市関宿地区の2つの公民館であった講座の参加者が一緒になった。染谷茂会長はアクリル画が得意だ。「街角やリンゴ、ミカンを見てどうやったらいい絵になるか考える。どう描こうか時間はかかるが、決めたら速い」

 

写真:「はる」(染谷茂さん)

 

 

 

 

 

6グループの合同展について「ART CINQ」代表でもある「ルーヴル会」の高橋会長は「同じグループだけでやっていると絵が偏ってしまうこともある。水彩、油絵、パステルなど互いに刺激を受け、違う画材に挑戦する機会になるのでは」と期待する。

 

 

写真:「さくら満開」(丸山隆太郎さん)(左)、「クスコの思い出」(山中文子さん)

(右)

 

 

 

指導者の小林さんは「小品だけでどうかなって気持ちもあったが、個性豊かな作品展になった。5日間の会期に320人の入場があり、評判も良かったのでもう1回やろうかと思っている」という。

 

 

来年3月、柏市のさわやかちば県民プラザで「第5回ART CINQ展」が計画されている。

 

 

写真上:「大地・空と海」(下岡博文さん)(左)、「春だ!」(東條久夫さん)(右)

 

 

 

(文・写真 Tokikazu)

半世紀、鳥と手賀沼見守る
我孫子野鳥を守る会が写真展

 

――我孫子野鳥を守る会(船津登会長、会員230人)の創立50周年記念野鳥写真展「一瞬の出会いを切り取る 素晴らしい野鳥の世界」が柏市のパレット柏・市民ギャラリーで開かれた。四方の壁に加え、中央にも間仕切りが設けられた展示スペースに作品250点が飾られた。

写真上:会員が手賀沼を観察しながら撮りためた写真が並ぶ会場

 

 

 

写真上:初日の展示作業を終えた会員同士が写真談議に花を咲かせた

 

 

水辺、山野、貴重で珍しい「四季の手賀沼の鳥」、台湾、モンゴルに渡航して撮影した「海外探鳥会で出会った鳥」、関東を中心に北海道から九州に出かけた「国内遠出探鳥会で出会った鳥」のコーナーがあった。

 

写真上:四季の手賀沼の鳥 水辺の鳥(左)、山野の鳥(右)コーナー

 

 

 

写真上:海外探鳥会で出会った鳥(左)、国内遠出探鳥会で出会った鳥(右)コーナー

 

 

さらにジャンルにこだわらず自信作「マイベストショット」を会員から公募した。11人の選考委員が営巣地は撮らない――など一定の基準を設けて審査し、一人3点までとして30人の計90点を選んで紹介した。

 

 

各コーナーの1枚1枚に野鳥を愛しむ会員の想いが伝わってくる。会員が撮りためた写真をデータベース化しているが、ざっと4万3000枚に及ぶという。

 

 

写真上:マイベストショットコーナー

 

 

 

守る会は1972(昭和47)年3月、県内で最初にできた愛鳥団体。日本野鳥の会(本部・東京)の幹部らが我孫子に転居し、手賀沼を中心とした自然環境に魅せられて発起人となり、結成したという。

 

 

写真上:野鳥を守る会設立当時の手賀沼。無数のカモが羽を休めていた(1972年1月、初代副会長の高橋敏夫さん撮影)

 

 

 

設立当時の会員は7、8人だったが、現会員は小学生から90代の230人。5割は我孫子、3割が柏、残りは松戸、鎌ヶ谷、印西の手賀沼流域に東京、横浜在住者だ。

 

 

月1回の個体数調査のほか、毎月第2日曜の定例探鳥会、年数回の親子探鳥会の市民向けのイベントを開く。会員向けには手賀沼以外の野鳥を求め、国内外での撮影ツアーを企画している。

 

 

写真上:水辺の鳥「ダイサギ」(桑森亮さん撮影)

 

 

 

1977(昭和52)年1月から続けている湖畔11カ所での個体数調査は、2020(令和2)年12月までの44年間で43万9389羽を確認、記録した。

 

 

写真上:山野の鳥「カワセミ」(久松典子さん撮影)

 

 

 

守る会の調査によると、手賀沼のカモ類(約7割)中心の水鳥は、観測を始めた1977年は1万6999羽だった。92(平成4)年をピークに減り始め、2006(平成18)年には4834羽まで落ち込んだ。かつて「水質全国ワースト1」とのレッテルを貼られたことと無関係ではあるまい。

 

 

利根川の水を手賀沼に送水して水質を浄化する北千葉導水事業が2000(平成12)年に本格始動し、岸辺の植物帯整備などが徐々に奏功して2020(令和2)年に1万5408羽まで回復した。

 

 

写真上:マイベストショット:「思い出の鳥」のノゴマ(船津登さん撮影)(左)、マイベストショット「威風堂々」のミサゴ(相良直巳さん撮影)(右)

 

 

 

 

ここ10年で確認された野鳥は187種で全国の3割に当たる。なぜ手賀沼には多くの野鳥がいるのだろうか。

 

 

守る会は、水辺と陸地という異なる環境が連続してつながり、多様な生物が棲む「エコトーン」と呼ばれる手賀沼の特異性を示した。

 

 

写真上:マイベストショット:「アオサギ、ウナギを捕食する」(吉川航さん撮影)(左)、「かわいい3羽」キビタキ雌雄、ムギマキ(仲澤成二さん撮影)(右)

 

 

 

魚、プランクトンなどのエサがいる水面、枯草などに虫がいて、営巣可能なヨシ原の水辺から続くミミズやトンボ、カエルが棲む田んぼや畑、その先にある巣をつくったり、ねぐらにしたりできる台地・斜面林……。手賀沼と周辺の豊かな自然環境が様々な野鳥を招き入れているのだ。

 

 

写真上:珍しい鳥「オガワコマドリ」 東京・葛西臨海公園、さいたま県での撮影例はあるが、手賀沼では初ショット(2014年2月、丸嶋紀夫さん撮影)(左)、珍しい鳥「コグンカンドリ」 台風で流されるように手賀沼に来て、2日だけ羽を休めたのを捉えた(2016年8月、浅野利幸さん撮影)(右)

 

 

 

会場には今年1月4日の個体数調査表、「エコトーン」の図解、水鳥、カモ類の1977~2020年個体数推移グラフ、水質改善と外来種駆除の必要性など50年にわたる調査、それに基づいた環境分析の図表類も豊富に展示されている。

 

 

写真上:カモの個体調査の年別グラフ。会場には豊富なデータも展示された

 

 

守る会副会長で柏支部長の相良直巳さん(76)は「手賀沼の魅力は無条件で実現しているわけではない。素晴らしい野鳥が見られることを10年、20年、100年後の世代に残していきたい。人と鳥が共存できる自然環境を守るために、人間が何らかの配慮をしなければならないことを伝えていきたい」と力説した。

 

 

写真展順路の終盤に「人と鳥の共存を目指して」と題した多くの展示資料にも力が入っていた。サラダ油や食べ残しを流さない、ペットボトル、釣り糸などをポイ捨てしない、自然・水辺環境に親しみ「手賀沼愛」を育もうと呼びかける。そして「日本野鳥の会」の標語 「や・さ・し・い・き・も・ち」を説明する資料の数々。

 

 

や→野外活動、無理なく楽しく
さ→採集は控えて、自然はそのままに
し→静かに、そーっと
い→一本道、道からはずれないで
き→気をつけよう、写真、給餌、人への迷惑
も→持ち帰ろう、思い出とゴミ
ち→近づかないで、野鳥の巣

 


写真展は4月に地元我孫子会場が皮切りだった。手賀沼流域7市の市民グループ、行政が協働して手賀沼の魅力を発信、環境保全を目指す「手賀沼流域フォーラム」とも連携。5月25からは柏会場に続き、印西市に会場を移すなど、9月まで各市を巡回する。

 

 

我孫子野鳥を守る会主催 写真展

 4月12日(火)~17日(日) 我孫子市 けやきプラザ
 5月13日(金)~18日(水) 柏市 パレット柏・市民ギャラリー
 9月13日(火)~19日(月) 我孫子市 けやきプラザ

 

手賀沼流域フォーラム共催 巡回写真展

 5月25日(水)~6月7日(火) 印西市 文化ホール
印西市 中央駅前地域交流館2号館
 6月21日(火)~27日(月) 鎌ヶ谷市 きらり鎌ヶ谷市民会館
 7月1日(金)~11日(月) 我孫子市 生涯学習センター
 7月1日(金)~20日(水) 我孫子市 手賀沼親水広場・水の館
 7月15日(金)~25日(月) 柏市 道の駅しょうなん・つばさ
 8月1日(月)~16日(火) 白井市 しろい市民まちづくりサポートセンター
 8月23日(火)~28日(日) 松戸市 文化ホール
 8月31日(水)~9月6日(火) 流山市 生涯学習センター

 

 

(文・写真 Tokikazu)

薫るような初夏の草花
野草愛好家による四季の写真展

――深緑の木々が山のようにグラデーションを描く柏市の県立柏の葉公園。中央エントランス近くにある柏の葉公園センター・緑のギャラリーで5月24日から「野草フォトクラブ19」(山本修史会長、会員13人)の第7回写真展「こんな素敵な野草たち~春から初夏の野草」が開かれた。

 

写真:ポスターの写真も愛らしい野草で飾った

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

散歩などで出合った季節の草花を写真に撮って楽しむクラブ。写真展は自然の中にある草花の素晴らしさを知ってもらおうと、クラブを結成した2019(令和元)年から年2回、同じ会場で企画している。

 

 

園内の紅葉真っ盛りの昨年11月、第6回展「夏から秋の野草」の時も訪れた。今回の「春から初夏」と合わせ「四季の野草」を観たいと思って再訪した。

 

 

会場はいつもの「コ」の字型から変わっていた。横にした畳1枚大の展示スペースを確保するパーテーションを3列平行に並べ、作品を裏表に飾ってあった。

 

 

写真上:展示スタイルを変えた会場に会員の力作が並んだ。

 

 

 

コロナ対策の関係で置かなかった受付を復活し、求めに応じて会員が作品説明もする。「コロナの問題もあったが、マンネリ化しないよう、少し工夫した」と山本会長。野草ファンの常連に加え、場所柄、散歩を楽しむ市民やリュックを背負った遠来客でにぎわった。

 

 

写真上:お気に入り? 足を止めて見入る入場客

 

 

 

現在の会員は60~80代。高齢者が多いだけに、家族の介護で辞めたり、新しい入会者があったりで入れ替わりもある。毎月第3火曜は公園センター会議室で例会を開き、同第1水曜は撮影会に出かける。

 

 

 

これまで「県立房総のむら」(栄町)、隣接の「坂田ケ池総合公園」(成田市)、「理窓会記念自然公園」(流山市)、「牛久自然観察の森」(茨城県牛久市)などに出かけている。野草は日照時間によって生育が左右されるが、今年は2、4月が天候のせいか、この時期、いつも観察できるものが遅かった、という。

 

写真:会場の「緑のギャラリー」の窓際に常設コーナーが設けられ、会員が月ごとに作品を取り替えている

 

 

 

 

 

 

 

 

とはいえ、会員がパソコンプリンターで印刷したA4~A3サイズの1人3~4点計49点が展示された。前回と同じように野原で小さく、カラフルな可憐な花をつけた野草が多い。

 

 

「夏から秋」はオギやススキなど物悲しさも漂う秋色の作品が目立っていた。「春から初夏」は新緑の中にたたずむ「カラスビシャク」、青空を突くような「ナズナ」が新しい季節を感じさせた。

 

 

2Lに焼き直した作品を1人3点まで持ち帰りできる入場者サービスの「プレゼントコーナー」もちゃんと設けられた。前回までは写真の裏にあった野草の名前、撮影月、撮影地のデータは今回、小さなメモ書きにして写真の下につけられた。

 

 

受付や休憩スペースには、会員が摘んできた白やピンク、黄の花をつけた野草が複数の花瓶に生けられた。

 

 

写真上:会員が摘んで会場に飾った草花を説明する山本修史会長

 

 

山本会長は「こんな野草を撮るのが楽しいし、発表の場があるから続けられる。公園内にあるギャラリーなのでいろんな方が見に来てくれるのでやめられない」と話していた。

 

 

 

 

写真上:「ハナネコノメ」(茨城・筑波山、山本修史)(左)、「ケキツネノボタン」(松戸市、池田稔夫)(右)

 

 

 

写真:「コバイケイソウ」(長野・姫城平、黒田準介)(左)、「クルマユリ」(長野・八方尾根、勝田絢一)(右)

 

 

 

写真上:「チチブベニ」(埼玉・皆野町、林田次江)

 

 

 

写真上:「ケイワタバコ」(神奈川・鎌倉、小海寿子)(左)、「カラスビシャク」(茨城・高崎自然の森、山本靖恵)(右)

 

 

 

写真上:「バイモ」(流山市、間渕耕司)(左)、「ナズナ」(柏市、渡辺敏章)(右)

 

 

(文・写真 Tokikazu)