雛人形飾り、地域づくりにも
各地で開かれた「桃の節句」イベント

■写真上:雛人形や吊るし雛、傘福など色んな手作り雛飾りが出品された会場(流山市生涯学習センター)
同女性会は江戸時代から白みりんで栄え、土蔵など歴史的な景観が残る本町地区の活性化を目指し、2016年から始めた。「流山本町ひなめぐり」(2月11日~3月6日)として、流山福祉会館を主会場に商店など45か所で、市民らから提供された7段飾りなど約600点を展示した。

■写真上:可愛いウサギ三匹の雛人形(左、流山市生涯学習センター)、一匹ずつ和布に包まれたウサギの手作り雛(右、流山福祉会館)
同会館の大広間で展示された大小さまざまの段飾りの中に、同女性会会員山下智子さんの7段飾りも並ぶ。70年近く前に父親が買ってくれたものだという。山下さんの記憶では二十歳前後まで実家で飾ったが、以後は長い間、屋根裏で仕舞われたままだった。
昨年のイベントから展示品に加えた。山下さんは「ごめんねー、長い間飾ってあげられなくて、との気持ちで胸がいっぱいになり、自然に涙が出てきました」。
■写真上:1953(昭和28)年の雛飾りの前で思い出を語る流山商工会議所女性会の山下智子さん
「流山ひろがる和」は、伝え、広げて、繋いでいこう――と和文化の一環として、古着の和服などをリユースした人形作りなどに取り組んでいる。吊るし雛などの手作り品を流山市役所ロビーや同市生涯学習センターなどで展示してきた。活動を始めた9年前は「流山ひなまつりの会」と名乗ったが、NPO化した2019年から今の名前に変えた。

■写真上:1967(昭和42)年頃の雛人形(流山市の一茶双樹記念館)
一昨年、昨年はコロナ禍で中止を余儀なくされて、今回は2019年以来、3年ぶりに「流山のひな巡り」(2月17日~3月2日)として開催した。メーン会場の同センター大・小ギャラリーでは手作り内裏雛、吊るし雛、タペストリー、木目込み、つまみ細工など様々な作品が並んだ。
■写真:蚕の竹籠を使った壁掛け型の雛飾り(流山市生涯学習センター)
■写真上:マスクをして干支の寅を抱きかかえる今どきの内裏雛(流山市生涯学習センター)
「ひろがる和」副代表の金山美智子さんは「おいでになった方々から『レベルアップしましたね』って感想を頂きます。会員の皆さんはコロナで展示を休んだ間に作品を作りためた。その作品に作者のエネルギーや『コロナに負けない』という執念のような意気込みも感じました」という。
柏市花野井地区では約450年前の安土桃山時代から続くとされる地元のお寺、大洞院ギャラリーで「ひなまつり展」(2月5日~3月6日)、江戸時代からの豪農で名主だった旧吉田家住宅歴史公園で「ひな人形展」(1月23日~3月3日)が開かれた。この2か所を中心に、今年は地元商店を加え、初めて「花野井ひなめぐり2022」を企画した。

■写真上:檀家が寄贈した段飾り13セットが並ぶ(大洞院ギャラリー)
大洞院によると、檀家から「雛人形を焚き上げしてくれないか」と持ち込まれた。聞けばマンションに引っ越すので、仕舞う場所がなく、手放したいとのこと。そこで引き取り始めたが、段飾りなどが集まり始め、2015年からこの時期にギャラリーや本堂の隅で展示し、公開を始めた。
大洞院の責任役員で総代の三坂俊明さんは「旧吉田家とも連携し、雛祭りを地域に広げよう、まずは花野井からやろうと、地元に呼び掛けた。今年から少しずつ輪を広げていって将来的には地域全体で楽しめるようにしたい」という。
地域の飲食店や電気店など7店が呼びかけに応じ、参加店を紹介するA4判のチラシも製作された。そのうちの1店、児童・生徒の制服などを扱う「スクールショップ タケヤ」の松丸泰優社長(28)は「私らの年代は地域から出て行って数人しか残っていない。地域のために、何かできればいいなって思っていました」と参加理由を話した。
■写真:花野井ひなめぐり2022」参加店の雛飾り(柏市花野井のスクールショップ タケヤ)

我孫子市新木近隣センターでもフリースペースの座敷に段飾り3セット、玄関ロビーに吊るし雛8本が飾られていた。吊るし雛は利用者が作ったものだが、段飾りは大洞院と同じように利用者の要望で引き取ったものを展示している、という。
■写真:玄関ロビーに飾られた吊るし雛(我孫子市新木近隣センター)
(文・写真 Tokikazu)


会場の博物館は、隣接する大正年間に建てられた醤油醸造家の寄棟造り旧邸宅、同時期に造られた日本庭園を再利用した市民会館にマッチするよう校倉造風の2階建て。忍者屋敷を思わせる瓦屋根に板塀の立派な正門をくぐると、正面に旧邸宅の市民会館、右手に日本庭園があり、博物館は左手になっている。








東京のサクラは千葉県の開花基準木がある銚子で開花した同27日には満開となった。12月~2月はいつもより寒かった。冬に休眠していた花芽が急な陽気で一気に目覚め、咲き出したようだ。
手前の多目的広場では花見客を誘うように灯のついた竹灯籠が飾られていた。まちづくりグループや市内小学生によるマスコット「手賀沼のうなきちさん」塗り絵灯籠など300基。煌々とした並木の入り口のようになっていた。
例年、露店がにぎにぎしく並び、大勢の見物客でにぎわう松戸市六高台の「六実桜まつり」も3年連続で中止となった。通りの両側にあるサクラは満開となり、街灯りに浮かび上がった。散歩の市民が時折足を止め、スマートフォンのカメラを取り出す姿があった。
柏市の中心市街地にある歴史ある巻石堂病院庭の古木数本が見事に咲き誇っていた。歩道から写真に納める市民も珍しくない。「ここのサクラは柏で一番早く咲くのよ。きれいでしょ」。50年以上、地元に住んでいるという女性が教えてくれた。

只見町は福島県西端の新潟県境にある奥会津の人口約4千人の町。町中央を流れる只見川、伊南川の清流と面積の94%が森林という自然環境にあり、国内屈指の豪雪地帯でもある。



代表を務める猪又さんは二十数年前、柏市あけぼの山農業公園で、初めて利根川をテーマにした写真展を開催した。この写真展が同公園での物産交流で来ていた只見町職員の目に止まり、誘われるように只見を訪れた。





