野田市の粋な試み
愛宕駅に「西口駅前美術館」
■写真上:「目隠しフェンス」に展示された児童の作品。駅利用客を楽しませている
■写真上:愛宕駅の改札を出て左斜めに進むと入り口。壁いっぱいに作品が展示されている(左)、広場の工事現場にある案内板。金網の反対側通路の壁が「ギャラリー」(右)
開設された昨年3月、2020(令和2)年度分として1~6年の各学年代表1点の各校6点、5校の計30点を集めて展示した。さらに21年(同3)年度分として同12月に30点が追加されて60点になった。作品は児童らが夏休みの宿題などとして取り組んだ。各校が独自に代表作を選んだ。
野田市が自然の再生、共生を目指す象徴として飼育するコウノトリ、四季折々の自然が楽しい大型の清水公園、歴史ある市内最古の櫻木神社、地元を代表する企業のキッコーマン、1929(昭和4)年に建造された中世ヨーロッパ風の興風会館、旧愛宕駅舎……。
展示品はB4判(364㌢×257㌢)の作品をデジタル処理し、校名と作者名、タイトルを入れてパネル化した。市側は「児童の自主性に任せたい」として、特に絵のテーマを設けなかったが、地元を取り上げた作品が目立つ。市は新年度も5校の30点を追加する予定だ。
連続立体交差事業は県と東武鉄道が2008(平成20)年度に着手した。清水公園―梅郷間の2.9㌔を高架化し、11カ所の踏切を解消して交通安全と渋滞緩和を目指す。愛宕、野田市両駅の高架新駅化も図られ、昨年3月の高架開始と同時に愛宕駅の新駅舎が完成した。西口広場整備は野田市が担当し、23(令和5)年に完成予定だ。
■写真上:工事中の愛宕駅西口広場。左に進んで右に曲がった通路に「美術館」がある(左)、美術館の表札と作品案内のパネル(右)
美術館と広場整備を担当する市の愛宕駅周辺地区市街地整備事務所によると、広場完成時には仮設通路も新しく生まれ変わるが、児童作品はそのまま展示を続ける。市民から好評のため、ゆくゆくは古くなった作品から順番に更新も考えているという。
同事務所所長補佐の中山高裕さんは「無理に作品の方向性を決めず、子どもたちの感性に任せましたが、やはりローカル色を反映した作品が多いですね」という。展示が子どもたちの励みになったり、将来、故郷の思い出になったりすることを期待している。
■「じまんの櫻木神社」(宮崎小6年、浦邉栞奈さん)(左)、「みんなにつたえたい野田」(宮崎小4年、角田杏奈さん)(右)
■「しょう油の街 野田」(東部小6年、山下千絢さん)(左)、「旧愛宕駅」(東部小5年、桒原琉乃さん)(右)
■「興風会館」(中央小3年、鈴木瑠花さん)(左)、「東武線とこうのとり」(中央小4年、山口真央さん)(右)
■「清水公園」(清水台小5年、小貫恵奈さん)(左)、「清水公園 金乗院」(清水台小3年、山口優香さん)(右)
■「大きなひまわり」(柳沢小3年、佐野玲奈さん)(左)、「あたご山」(柳沢小4年、瀬能美桜さん)(右)
(文・写真 Tokikazu)