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10月

     10月

あけぼの山でコスモス満開

 

場所:柏市布施(あけぼの山農業公園)


第13回 東彩会展
水彩画・油彩画・水墨画

 

 

開 催:2021年10月12日(火)~同17日(日)
場 所:興風会館・地下ギャラリー 野田市野田250
主 催:東彩会
入 場:無料


 

 

清水公園にソーラークッカー
災害時に役立つエコライフ

場所:野田市 清水公園

公園に「どこでもドア」
あけぼの山でコスモス満開

――ついこの間までヒマワリ畑だった柏市あけぼの山農業公園の風車前が一面コスモス園に代わった。ピンク、白、黄、赤、オレンジ……2.2㌶に色とりどりの花が初秋の日差しを受け、秋風に揺れている。

写真上:さわやかな風が吹き抜ける木陰からコスモス畑を楽しむグループ

 

 

 

1994(平成6)年に開園した同公園は、いつ来ても季節の花で楽しませてくれる。春のチューリップ、夏のヒマワリ、そして秋のコスモス。年間を通じて折々の草花が顔を出し四季を演出する。

 

 

写真上:初秋の優しい陽光に満面笑みのように咲く花

 

 

 

コスモスはメキシコの高原地帯が原産地で、明治の初め頃日本にやってきた外来種。秋に咲くピンクの花が桜に似ていることから「秋桜」(あきざくら)と名づけられた。

 

 

写真上:満開のキバナコスモスのオレンジと、奥で咲き始めコスモスのグリーンがコントラストを描いた

 

 

 

今はコスモスが一般的な呼び名だ。実は、そのきっかけは「淡紅の秋桜が秋の日の 何気ない日溜まりに揺れている」で始まる1970年代のヒット曲、山口百恵さんの「秋桜」なんだそうだ。曲のタイトルと歌詞の「秋桜」を「コスモス」と呼んで歌ったことから広まったとされている。

 

 

写真:ピンク、オレンジ、イエローの三色が寄り添った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あけぼの山農業公園では9月末、まず先に西側にある一面オレンジのキバナコスモスが咲き出し、続いて北、東側のカラフルな花が開花した。細い葉や茎がゆらゆらして、弱々しく、どことなくはかない印象もある。

 

 

花言葉も色によって「乙女の真心」「優美」「純潔」などと相応だ。しかし、とても生命力が強く、日当たりや風通し、水はけが良ければ土質を選ばず育てやすいという。10月初めの台風16号の強風に襲われ、一部倒れたところもあるが、自力で持ち直し、強さを示した感じだ。

 

 

 

園内には見学者サービス用にオレンジ色の「ドアのオブジェ」が設置されている。人気アニメ「ドラえもん」の「どこでもドア」のような形だ。スマホを置いて自撮りできる台も用意され、ドアを額縁に見立て、青空に浮かぶ風車を背景に撮影できる。カップルや子どもを抱っこした家族連れなどが盛んにチャレンジしていた。

 

 

コスモスの 花あそびをる 虚空かな
                高浜虚子  

 

 

 

写真:設置された「ドアのオブジェ」は格好の撮影ポイントになっていた

 

 

 

 

 

 

写真上:蜂も羽を休めずに花畑を渡り飛んで蜜を吸い回る(左)、カラフルな花園の中で清楚なイメージの白い花(右)

 

 

 

写真上:陽だまりの中で秋風に揺れながら咲くコスモス。訪れる人々は深まる秋を実感している

 

 

 

(文・写真 Tokikazu)

 

歴史ある会場で絵画展
野田市民グループの第13回展

――野田市の中心市街地にある古い洋風建築の興風会館で、絵画の市民グループ「東彩会」(東條久夫会長、会員20人)の「第13回東彩会展」があった。地下ギャラリーの展示スペースいっぱいに会員の水彩画、油絵、水墨画が展示された。

写真上:入場者はギャラリー中央に置かれたソファーでくつろぎながら作品を鑑賞していた

 

 

 

野田は醤油の街。興風会館はキッコーマンの創業一族が地域貢献のため、本社の隣に催事、集会などができるようにと、1929(昭和4)年に建てた。正方形や半円アーチの小ぶりな窓を採り入れた鉄筋4階建て。ロマネスク様式と呼ばれる中世ヨーロッパ風のイメージだ。

 

 

写真上:1929(昭和4)年に建てられた興風会館。中心市街地にあって当時からの姿をとどめている

 

 

 

東京・神田駿河台の明治大学旧校舎などを手掛けた著名な建築家が設計した。1997(平成9)年に国の登録有形文化財となり、2007(同19)年には市内に現存する醤油醸造関連施設とともに経済産業省の「近代化産業遺産」に指定された。

 

 

 

グループは第3回展から同会館で作品展を開いている。正面玄関アーチをくぐるようにして中に入り、石でできた床と手すりの階段を下ると会場の地下ギャラリーだ。入り口に案内のポスターが設置されていた。風景、静物、モデル、模写……会員一人2点の計40点が出品された。

 

 

写真上:興風会館の正面玄関は二つのアーチが来場者を出迎える

 

 

 

「東彩会」は東部公民館であった水彩画講座の参加者らで2007(同19)年に発足した。市内のアトリエで芸術・美術系大学を目指す高校生を指導したり、絵画教室を主宰したりのアートディレクター小林茂規さんが講師。同会は毎月第1、第3火曜の午前、同公民館に集まり、小林さんを囲んで制作活動を続けている。

 

 

写真上:展示会場でグループの指導者・小林茂規さん(中央)を囲んだ入場者

 

 

 

 

会発足のきっかけになった水彩画講座は年2回の開講。人気講座で受講者20~30人は抽選になるという。5代目会長の東條会長はこの抽選に外れて受講できず、同会による月2回の制作活動に参加して入会した。「みんな絵が好きで集まっている。気兼ねのないグループで、小林先生も気さくな方なので楽しくやっていますよ」という。

 

 

写真上:尾瀬沼が好きという東條久夫会長は今回も水彩画「尾瀬沼と燧ヶ岳」を出品した

 

 

 

入会して4年目という60代の女性は「一人で描くより、皆さんで集まって描くのが楽しい。水彩で風景や静物、モデル画などやりたいものをやる。絵心がなくても楽しければいいのよ」と笑った。

 

 

 

指導者の小林さんは武蔵野美術大出身。油絵、水彩、アクリルなど色んな画材で絵を描いてきた。最近は学生時代に取り組んだ顔料に卵を交ぜた絵具によるテンペラの抽象画に戻ったという。

 

 

 

写真:特別出品された指導者・小林茂規さんのペン画「パリ風景―2021」

 

 

 

 

 

 

 

「絵は真似ではなく、個性が大事だ。とはいっても年配者が多いので、好きな絵を描いて発表し、皆さんに見てもらう。楽しく描くのが何よりで、生きがいづくりもあるかな。絵を通した輪を広げていきたい」

 

 

写真上:ギャラリーの三方に飾られた作品を思い思いに楽しむ入場者。熱心に見入る姿もあった

 

 

「東彩会」をはじめ、小林さんは近隣で5グループを指導する。その5グループの150点前後を集めた2年に1回の合同作品展「アール・サンク」が来年、柏市で計画されている。

 

 

 

 

写真:須藤実さんの水墨画「あけび」(左)、萬木弘子さんの水彩画「夏野菜集合」(右)

 

 

 

写真:植木勇さんの水彩画「倉敷川のほとり」(左)、湯浅紘子さんの水彩画「ミニトマト」(右)

 

 

 

写真:長崎勝彦さんの水彩画「渓流の魚」(左)、山口宗一さんの油絵「花水木の咲く頃」(右)

 

 

 

写真:今野正義さんの水彩画「不老長寿の実 郁子(左)、渡邊康子さんの水彩画「あっち向いてホイ」(右)

 

 

(文・写真 Tokikazu)

清水公園にソーラークッカー
災害時に役立つエコライフ

――野田市の清水公園で10月30日、太陽光熱(ソーラー)で調理したり、お湯を沸かしたりする様々な形の手作り調理器(クッカー)が並んだ。「第7回ソーラークッカー全国大会」会場。一般グループや近隣の中学・高校の科学部員らが自慢のクッカーを持ち込んで展示した。湯沸かしのスピードを競う中学・高校生のコンテストもあった。

写真上:装置を調整する中学・高校生。当日は青空が広がる好天に恵まれた

 

 

 

我孫子市若松地区防災防犯委員会、県立我孫子高校、川村学園女子大学、自然エネルギーをすすめる我孫子の会などの関係者による実行委員会主催。当日は秋晴れの青空が広がる絶好のコンデションだった。一般グループは県内をはじめ、都内、長野、神奈川、栃木の各県から13のエントリーがあった。中学・高校の部には野田、流山両市の中学・高校の9グループが参加した。

 

写真上:蒸気を舞い上げる鍋。好天に恵まれて早々に湯沸かしに成功した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前9時半過ぎからの開会式で、実行委員会の太田安則会長(我孫子市若松地区防災防犯委員会会長)は「過去には曇天で性能を発揮できない出展者もいた。きょうは皆さんの日頃の行いがよいためか、すでにナベから湯気が上がっているクッカーもあり、素晴らしい天気に恵まれた」と天を見上げた。

 

 

写真上:中学、高校生らも集まった開会式。実行委員会の太田安則会長(左)は大会継続に若者の協力を呼びかけた

 

 

会場には様々な「作品」がお目見えした。段ボールなどにアルミ板を張り付けた大小円形のパラボラ型や箱型、さらにパラボラと箱型を組み合わせたものなど出展者が工夫を凝らした装置が展示された。

 

 

 

写真上:パラボラ型、箱型を組み合わせ、太陽光を水入りのアルミ缶に集中させていた

 

 

 

第1回大会があった栃木県の足利大学はメーカーと共同開発した複数のパネル型を披露した。折り畳めるA4サイズ、A3サイズの2タイプは教材用だが、器のように広げて太陽光を集めると、しっかりケーキやゆで卵ができる。さらにもう1種類は1㍑の水を90分以内に95度のお湯にできて、レトルト食品やアルファ米を30分でほかほかにするという優れものだ。

 

 

写真上:足利大学がメーカーと共同開発した装置

 

 

「ソーラーハウスにしかわ」の西川豊子代表は、神奈川県茅ケ崎市からやってきた。「なんといっても太陽の力だけで作ったお料理って美味しくて、楽しいのよ」と笑う。今回は特に災害時に役立つようにと、台所にあるもので作ることができる物を持ち寄った。

 

 

写真上:「ソーラーハウスにしかわ」の台所にある材料で作ったという装置。お手軽だが本格的な料理ができる

 

 

 

正方形の段ボールに切り込みを入れたり、発泡スチロールの箱を使ったりして、内側にアルミホイールを光反射用に貼り付けたクッカー。これなら誰でも出来そうな装置だが、ミートローフ、ホットドック、ゆで卵などができるというから驚きだ。

 

 

鎌ヶ谷市の「エコネットかまがや」(西川久雄代表、13人)は今夏、我孫子市の川村学園女子大学であった「第5回東葛エリアソーラークッカー大会」の湯沸かし部門で優勝した装置を紹介した。

 

 

写真上:今夏の第5回東葛エリアソーラークッカー大会で優勝した「エコネットかまがや」の作品

 

 

底に置いた直径75㌢のパラボラ型に長さ65㌢の円筒形フードを付けた装置で、40分間で82度のお湯を沸かして初優勝した。西川代表は「パラボラ型にフードを付けたのがよかった」と分析した。地球温暖化防止を身近な、できるところから始めようと、ゴーヤのグリーンカーテン普及やマイバッグ作り、幼稚園児・小学生の環境学習などをしている。

 

 

中学・高校生のコンテストは大会本部が配るアルミ缶に入った水200ccを40分以内にいかに速く90度にするかを競う。野田市立南部中学校科学部は大小3枚のパラボラに5枚のミラーを組み合わせた。

 

 

写真上:野田市立南部中学校のクッカー。パラボラ型とミラーを組み合わせた

 

 

 

中村朝陽部長(2年)は「学校の不用品となった段ボールを使うなどお金をなるべくかけず、1、2年生のアイデアを集めたらこんな形になった。100度が目標です」と鼻息が荒かった。

 

写真上:湯沸かしコンテストで優勝した野田市立第一中学校。アルミ缶に入った水200ccを19分24秒で90度にした

 

 

 

流山市立南部中学校から4グループが出展。同校理科部の山田智子副部長(3年)率いるグループは上部がパラボラ型、下部が箱型の組み合わせを考え、これまでの大会で達していない90度を目指した。「大会に出るのも楽しいし、大会用に形を考えるのも楽しい」と話していた。

 

 

忙しく動き回る中学・高校生を見ながら太田会長は「高校、大学連携の中で続いてきた大会。大会を通じて電気やガスを使わなくても料理できることを知ってもらいたい。全国的に広めていくため、若い人の応援を得たいと思っている」という。

 

 

全国大会は2015(平成27)年栃木県足利市で始まり、甲府市、静岡県浜松市、愛知県豊田市、茨城県筑西市で毎年開催されてきた。太田会長らが主導する東葛エリア大会は1~3回を野田市でスタート、4、5回は我孫子市で開かれた。

 

 

写真上:一般出展の「工房あまね」。長野県佐久市から参加し、大小のパラボナ型を会場に並べた

 

 

 

そんな実績もあって昨年の全国大会は我孫子市開催だったが、今大会は地元大会発祥の地への回帰的な意味があって野田会場になったという。全国大会は3年連続で県内開催となったが、来年は県外での実施が模索されている。

 

 

写真上:会場近くの古民家「聚楽館」では世界各地のソーラークッカーを紹介する写真展もあった

 

 

 

(文・写真 Tokikazu)