清水公園にソーラークッカー
災害時に役立つエコライフ
――野田市の清水公園で10月30日、太陽光熱(ソーラー)で調理したり、お湯を沸かしたりする様々な形の手作り調理器(クッカー)が並んだ。「第7回ソーラークッカー全国大会」会場。一般グループや近隣の中学・高校の科学部員らが自慢のクッカーを持ち込んで展示した。湯沸かしのスピードを競う中学・高校生のコンテストもあった。
■写真上:装置を調整する中学・高校生。当日は青空が広がる好天に恵まれた
我孫子市若松地区防災防犯委員会、県立我孫子高校、川村学園女子大学、自然エネルギーをすすめる我孫子の会などの関係者による実行委員会主催。当日は秋晴れの青空が広がる絶好のコンデションだった。一般グループは県内をはじめ、都内、長野、神奈川、栃木の各県から13のエントリーがあった。中学・高校の部には野田、流山両市の中学・高校の9グループが参加した。
■写真上:蒸気を舞い上げる鍋。好天に恵まれて早々に湯沸かしに成功した
午前9時半過ぎからの開会式で、実行委員会の太田安則会長(我孫子市若松地区防災防犯委員会会長)は「過去には曇天で性能を発揮できない出展者もいた。きょうは皆さんの日頃の行いがよいためか、すでにナベから湯気が上がっているクッカーもあり、素晴らしい天気に恵まれた」と天を見上げた。
■写真上:中学、高校生らも集まった開会式。実行委員会の太田安則会長(左)は大会継続に若者の協力を呼びかけた
会場には様々な「作品」がお目見えした。段ボールなどにアルミ板を張り付けた大小円形のパラボラ型や箱型、さらにパラボラと箱型を組み合わせたものなど出展者が工夫を凝らした装置が展示された。
■写真上:パラボラ型、箱型を組み合わせ、太陽光を水入りのアルミ缶に集中させていた
第1回大会があった栃木県の足利大学はメーカーと共同開発した複数のパネル型を披露した。折り畳めるA4サイズ、A3サイズの2タイプは教材用だが、器のように広げて太陽光を集めると、しっかりケーキやゆで卵ができる。さらにもう1種類は1㍑の水を90分以内に95度のお湯にできて、レトルト食品やアルファ米を30分でほかほかにするという優れものだ。
■写真上:足利大学がメーカーと共同開発した装置
「ソーラーハウスにしかわ」の西川豊子代表は、神奈川県茅ケ崎市からやってきた。「なんといっても太陽の力だけで作ったお料理って美味しくて、楽しいのよ」と笑う。今回は特に災害時に役立つようにと、台所にあるもので作ることができる物を持ち寄った。
■写真上:「ソーラーハウスにしかわ」の台所にある材料で作ったという装置。お手軽だが本格的な料理ができる
正方形の段ボールに切り込みを入れたり、発泡スチロールの箱を使ったりして、内側にアルミホイールを光反射用に貼り付けたクッカー。これなら誰でも出来そうな装置だが、ミートローフ、ホットドック、ゆで卵などができるというから驚きだ。
鎌ヶ谷市の「エコネットかまがや」(西川久雄代表、13人)は今夏、我孫子市の川村学園女子大学であった「第5回東葛エリアソーラークッカー大会」の湯沸かし部門で優勝した装置を紹介した。
■写真上:今夏の第5回東葛エリアソーラークッカー大会で優勝した「エコネットかまがや」の作品
底に置いた直径75㌢のパラボラ型に長さ65㌢の円筒形フードを付けた装置で、40分間で82度のお湯を沸かして初優勝した。西川代表は「パラボラ型にフードを付けたのがよかった」と分析した。地球温暖化防止を身近な、できるところから始めようと、ゴーヤのグリーンカーテン普及やマイバッグ作り、幼稚園児・小学生の環境学習などをしている。
中学・高校生のコンテストは大会本部が配るアルミ缶に入った水200ccを40分以内にいかに速く90度にするかを競う。野田市立南部中学校科学部は大小3枚のパラボラに5枚のミラーを組み合わせた。
■写真上:野田市立南部中学校のクッカー。パラボラ型とミラーを組み合わせた
中村朝陽部長(2年)は「学校の不用品となった段ボールを使うなどお金をなるべくかけず、1、2年生のアイデアを集めたらこんな形になった。100度が目標です」と鼻息が荒かった。
■写真上:湯沸かしコンテストで優勝した野田市立第一中学校。アルミ缶に入った水200ccを19分24秒で90度にした
流山市立南部中学校から4グループが出展。同校理科部の山田智子副部長(3年)率いるグループは上部がパラボラ型、下部が箱型の組み合わせを考え、これまでの大会で達していない90度を目指した。「大会に出るのも楽しいし、大会用に形を考えるのも楽しい」と話していた。
忙しく動き回る中学・高校生を見ながら太田会長は「高校、大学連携の中で続いてきた大会。大会を通じて電気やガスを使わなくても料理できることを知ってもらいたい。全国的に広めていくため、若い人の応援を得たいと思っている」という。
全国大会は2015(平成27)年栃木県足利市で始まり、甲府市、静岡県浜松市、愛知県豊田市、茨城県筑西市で毎年開催されてきた。太田会長らが主導する東葛エリア大会は1~3回を野田市でスタート、4、5回は我孫子市で開かれた。
■写真上:一般出展の「工房あまね」。長野県佐久市から参加し、大小のパラボナ型を会場に並べた
そんな実績もあって昨年の全国大会は我孫子市開催だったが、今大会は地元大会発祥の地への回帰的な意味があって野田会場になったという。全国大会は3年連続で県内開催となったが、来年は県外での実施が模索されている。
■写真上:会場近くの古民家「聚楽館」では世界各地のソーラークッカーを紹介する写真展もあった
(文・写真 Tokikazu)