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3月

     3月

湖面に春風、季節の移ろい
彩り深まる手賀沼




春爛漫 水辺、名刹が似合う桜


白井市今井、流山市東深井
清龍院:流山市名都借1024



 

 

湖面に春風、季節の移ろい
彩り深まる手賀沼

――柏、我孫子両市にまたがる手賀沼の岸辺で早咲きのカワヅザクラをはじめ、遊歩道脇で春の野草が顔を出し始めた。

写真上:満開のカワヅザクラ。散歩の市民を楽しませている

 

 

手賀沼をまたぐ県道船橋―我孫子線(通称・ふなとり線)の手賀大橋柏側にある「道の駅しょうなん」。裏の土手にあるカワヅザクラは盛りを過ぎたとはいえ、やや濃いピンク色の花が青空と見事なコントラストを描いていた。

 

 

写真:青空が似合う桜。すてきなコントラストを描く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

散歩する市民がひっきりなしの遊歩道。脇の土手で紫の小さなオオイヌノフグリ、赤いホトケノザに交じってペンペングサやアブラナ科のミチタネツケバナ(?)の小さな群落があった。よく見ると、いずれも小さい可憐な白い花を咲かせていた。

 

 

 

写真:春風の遊歩道から眺める湖面に映るもう一つの我孫子

 

 

 

対岸にある我孫子市手賀沼公園の広場は、木々の向こうに湖面が広がる。所々に植えられたカワヅザクラが柔らかい日差しに輝き、春風で静かに揺れる。岸辺では冬色の枯草を背に黄色のナノハナが満開になった。

 

 

 

写真:花の絨毯?北岸では里山保護団体が毎年作るナノハナ畑が今年も見事に開花した

 

 

東側にはドーム型展望塔がシンボルの手賀沼親水広場・水の館があり、周辺でも若木の桜がピンクの花をつけた。園路の脇で茎の短いタンポポが一輪、地面をはうように咲く。近くの植え込みでナンテンだろうか、艶のある赤い葉っぱが目に留まった。

 

 

 

写真:茎の短いタンポポがひっそり咲いていた

 

 

気象庁のさくら開花状況によると、桜の代表ソメイヨシノは平年よりかなり早いという。福岡3月12日(平年3月23日)、東京3月14日(同3月26日)に咲き出した。桜前線の北上とともに一気に本格的な春がやってくる。

 

 

 

写真:じっくり見ると可憐な花をつけるペンペングサ(左)、岸辺に咲く白い小花が群れをつくっていた(右)

 

 

 

写真:湖畔にある民家の生け垣に咲いていたハナニラ(左)とツルニチソウ(右)

 

 

(文・写真 Tokikazu)

春爛漫 水辺、名刹が似合う桜
今井、利根運河、清瀧院

―桜前線が超特急で北上した。3月11日、全国に先駆けて広島で平年より16日早く開花。翌12日福岡で観測史上最速という同11日早く咲いて前線が北上した。14日は東京で昨年に続き観測史上最速タイ、25日福島、28日仙台……。


写真上:利根運河にある桜並木の脇で菜の花の群落が咲き誇る(流山市東深井)

 

平年より1週間から10日以上早いのがざらで、初めて3月中に満開という所も少なくなかった。いずれも暖冬の影響らしい。千葉では県の観測地点、銚子で9日早い22日だった。

 

写真:幾重にも花びらを重ねる満開の花(白井市今井)
 

 

 

柏、白井両市境にある「今井の桜」を訪れた。辺り一帯田んぼのほぼ中央を流れる「金山落」(かなやまおとし)という用水路。この両岸約2㌔にソメイヨシノなど280本が植わっている。1960(昭和35)年代に景観保護のため、名所づくりが進められたそうだ。

 

写真:昔の風情を残す土手から用水路に枝を伸ばす桜(白井市今井)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下手賀沼にそそぐ用水路だが、コンクリートなどでの護岸工事がされていない。様々な野草が顔を見せる昔ながらの土手から桜が枝を伸ばす。春風に川面が小さく揺れる川面で2羽のハクチョウが姿を見せ、釣り糸を垂らす花見客もいた。

 

 

 

写真:「隠れた桜名所」といわれる土手沿い並木を散策する見物人(白井市今井)

 

 

 

利根川と江戸川をつなぐ利根運河の桜並木も見事だ。流山市の東武アーバンパークライン・運河駅近くに「眺望の丘」というちょっとした小高い場所があり、上下流両岸の桜が遠望できる。目前の土手にある菜の花の群落が黄一色となり、桜並木のピンクと「春本番」のコントラストを描く。並木の下では家族や若者の小グループが陣取っていた。

 

 

 

写真:利根運河で桜見物を楽しむ市民(流山市東深井)

 

 

 


写真:利根運河北側の「花のトンネル」のような桜並木(流山市西深井)

 

 

 

同市内に開創が室町時代の1450年代といわれる古いお寺がある。「荒井山清瀧院」。名刹にふさわしい境内にあるメイヨシノの古木は当然のように満開だった。

 

 

 

写真:清瀧院のお参り客を出迎える満開の桜(流山市名都借)

 

 

 

隣に樹齢400年のシダレザクラがあるが、今年はやはり開花が早く、すでに咲き終わっていた。樹高10㍍の上から滝のように流れ落ちるような見事な枝ぶりで、見応えがありそうだ。来年また来よう、と思った。

 

 

写真:花の名残をとどめる清瀧院のシダレザクラ(流山市名都借)

 

 

 

(文・写真 Tokikazu)