香取さまのウシ展
干支にちなんだ作品ずらり
■写真上:会場いっぱいに並ぶ丑年にちなんだ作品を楽しむ家族連れの市民
正月に「浦安の舞」などで初詣客を迎えたウシ展会場近くの香取神社で、清掃などのボランティアを続けるグループ「オキクルミ」が企画した。元々は2016(平成28)年から正月の三が日だけ、社務所で開いていた「干支展」。「三日間だけだと、出品者が見に来づらいし、もったいない」として、「子年」の昨年から同ギャラリーでも開催している。
■写真:会場入り口の案内板
「オキクルミ」の主宰者、秋元佐予さんは「社務所だと生活空間の中で来場者は身構えずに気楽に入って来られます。ギャラリーは無機質な空間ですが、白壁の中で作品が際立つ感じですね」との印象だ。
「作る」「見てもらう」「楽しむ」がコンセプト。神社の社務所で活動したり、習い事に来たりのプロアマ、年齢を問わない54人から計225点が集まった。
■写真:壁際の床を飾るように並べられたオキクルミスタッフ手作りの「こけし」
愛らしいミニ縫いぐるみや置物、子どもたちの絵がある。「丑」「牛」とある四つ折りの書を開くと、中から牛の絵や正月のあいさつ文が出る「書アート」が楽しい。「書アート」を出品した中学1年の姉と会場に来た小学1年の女児は色鉛筆で絵を描いた。「牛が月を見ているところなんだけど、三日月が難しかった」
■写真:作者の子どもたち。毎日のように顔を見せる子もいるそうだ(左)、小学1年の女児が色鉛筆で描いた「三日月をみる牛」(右)
吊るし雛のように吊るされて寄り添う張り子の牛、落花生に描かれた牛が虫のように木の棒をよじ登るアイデアには驚いた。三方にある壁の床際には大小こけしが113点。干支ではないが有名なこけし工場から材料を大量に仕入れ「オキクルミ」のスタッフが手作りした。
■写真:ピーナッツに描かれた牛。虫のように群れ、木登りしているようだ(左)、吊し雛ならぬ「吊し牛」。寄り添うような姿が愛らしい(右)
壁に掛けられた書家の作品と打ったピンにかけた糸が幾何学的な模様を描き出す「糸かけ曼荼羅」のコラボに不思議な魅力を感じた。高さ約50㌢のヘチマに描かれた人気絶頂の「鬼滅の刃」の主人公もあった。
■写真:「書アート」と「糸かけ曼荼羅」のコラボ作品
ヘチマをよく見ると疫病退散の「アマビエ」や牛もあった。話題の絵柄で引き付け、作者が意図するテーマをさりげなくアピールする新しい手法なのかも知れない、と思った。
■写真:ヘチマに描かれた「鬼滅の刃」の主人公。よく見ると、疫病退散の「アマビエ」や牛が描かれていた
「社務所での展示を終えて数週間でギャラリーなので大変だけど、来場者の反応もいいし、何より自分が楽しいので気に入っています」と秋元さん。その言葉通り干支展が好きで、楽しむように赤基調のエスニックな色彩の牛も描いた。
■写真:入場者に愛嬌をふりまくような置物の大小の牛(左)、書を習う児童・生徒の作品集(右)
(文・写真 Tokikazu)